劇場版『GのレコンギスタⅡ』「ベルリ撃進」が本日2月21日より公開された。早速チネチッタ川崎のLIVE ZOUND+4Kレーザーにて観賞した。
本作は2015年に放映されたTVアニメ『ガンダム Gのレコンギスタ』の劇場用編集版の第2作目。1作目の『GのレコンギスタⅠ』は以前当ブログでも紹介した。
元気のGは幾千年の未来から 『GのレコンギスタⅠ』「行け! コア・ファイター」 - ゲーマーズライフ
今回の映画ではTVアニメ版第6話の宇宙空間でのデレンセン教官との死闘からはじまり、第7~8話の海洋戦、第9話のキャピタルテリトリィへの帰還、第10話のベッカー大尉との夜間戦、そして第11話の再び宇宙でのマスク戦まで、全6話分の内容を1本の映画としてまとめている。
なお第10話について語ったコンテ担当の荒木哲郎(『進撃の巨人』監督)と富野総監督の対談は必読だ。
Gのレコンギスタ:富野由悠季×荒木哲郎再び 総集編は「ニュートラルにやらないと破綻する」 ネット依存に警鐘も - MANTANWEB(まんたんウェブ)
まとめかたとしては第1作目同様、主にTV版で不評の大きかったドラマパートに厚みを持たせることでキャラクターの心情をよりわかりやすくし、MS戦は細かいカットの追加・差し替えによりグレードアップしている。
全5部作を予定しているため全体尺がTV版とさほど変わらないということもあり、劇場版『機動戦士ガンダム』や『機動戦士Zガンダム』のように大幅にカットされたパートはなく、TV版の語り直し・別解釈という感覚で見ることができる(それゆえ明確な起承転結がないのが映画として見たときの弱点ではある)。
第1作目との大きな違いは、まずはDREAMS COME TRUEによる主題歌「G」の存在だろう。
前作はTV版と同様のOP・EDテーマが付いていたために映画としての匂いに乏しいのを残念に思ったものだが(どちらも大好きな曲とはいえ)、今回はOPアニメーションを廃し、新規ED主題歌がついたことでより映画らしくなった。
なぜ前作からこれをやらなかったのかという疑問は残るが、それはさて置き。MVも非常に良い。
ドリカム中村正人と富野総監督の対談も読むべし。
また新規カットが序盤から非常に多いのも好感触だ。前作は元になったTV版1話の出来が良かっただけに、冒頭1分を越えるとまとまった新規カットがなかなか出てこずにヤキモキさせられた。
今作ではのっけからメガファウナ艦内の新規カットを配し、デレンセン教官戦はTV版没カット(Gセルフの盾アタック)が復活して完全版となり、その後のベルリの悲痛な心情を描くカットまで追加されたことでTV版6話相当のパートが厚みを増している。
特にTV版デレンセン教官戦は大事なカットが欠けているせいでとても見づらくなっていると常々感じていた。せっかく劇場版をやるなら絶対に直してほしい!というこの願いが天に届いていたようで本当に良かった。
その他かなり分量の追加・差し替えカットがあるが、前作のように「物語をベルリ&アイーダに寄り添うからクリム・マスクの名場面は削除!」という無慈悲なことはなく、各キャラ万遍なく活躍の場が用意されている印象(まだ細かい比較を行っていないのであくまで印象だが)。前作はそれゆえに見やすくなっていた面もあったが、群像劇な本作の方が"Gレコらしい"とも言えるだろう。
ただし前作はキャピタルVSアメリアという2項対立として見れたのでまだわかりやすかったのが、本作は4つ巴の大混戦。
物語から振り落とされないようパンフレットなどでの予習を推奨したい。
その他ちょっとしたこと。
・LIVE ZOUND+4Kレーザーは音に厚みがあって映像がとてもクリア。とはいえドルビーシアターやIMAXほどの圧倒的な感動は正直なところ感じられなかった。もし近くにお住まいなら推奨、という程度。
・今回新規グッズとして書籍「Gレコのひみつ」(500円)が登場した。わかりにくいことでおなじみのGレコ用語の解説+おまけ漫画集。TV版当時からファンアートを書いていたKEI-CO氏(最近ではいだてんのファンアート「絵だてん」おなじみ)の描きおろしイラストも掲載。
TV放映時からこういう解説を公式が進んで提示していたら振り落とされる視聴者も減ったろうにと思っていたので、こういうグッズは良いと思う。パンフレットが2200円と高額だし(値段分の価値ある高クオリティなのだが)。
ただこの内容をパンフレットに収録できなかったのか、解説ならいまどきは有料のグッズじゃなくてYouTube動画ぐらい作れないのか、とか色々思うところはある。
舞台挨拶に行ったら何か書くと思うので、いずれまた。