ユウキズ・ダイアリー

アニメ・映画・ゲームについての雑記

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』と『GのレコンギスタⅣ』が出るのでSONYの65インチ有機ELテレビBRAVIA「XRJ-65A80K」とサウンドバー「HT-A5000」を買ったら最高の一人暮らしが始まった件

今年2月に劇場版Gレコシリーズ最高傑作『GのレコンギスタⅣ』のBDが、3月には『GのレコンギスタⅤ』のBDと、待ちに待った『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の4K UHD BDが発売!

とはいえ15年前に買い揃えた視聴環境でこれらの最高映像を堪能するのに無理を感じるし、いつ独立するのかとドヤされる実家で買い換えるのは厳しい……。

ということで、この際だから部屋を借りて、
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SONYの65インチ有機ELテレビBRAVIA「XRJ-65A80K」を買ってみた。
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比較用にSwitchをテレビ直下に置いている(XRJ-65A80KはSwitch 70台分のサイズ)。

 

まずはテストとしてDisney+で4K配信されている『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』を視聴。
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MARVELロゴの時点でバチバチにきらびやかですごい!これがHDRってやつか〜。
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冒頭の映像がとにかく圧巻のストレンジ先生を65インチTVで見ると映画館そのまま、いや3Dメガネ無しなので映画館以上の豊かな色彩と精細さ!

なのだが、映像に比べて明らかに音が負けている。薄型テレビの限界か……。





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ということでサウンドバー「HT-A5000」を追加購入。

 

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これこれ!ストレンジ先生とアメリカ・チャベスの声は明瞭だし、SEとBGMは大迫力!完璧に映画館!

 

届いたばかりの『GのレコンギスタⅣ』も再生。
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BDなので4Kテレビで再生するには本来解像度が足りないのだが、BRAVIAパワーで適切にアップコンバートしており問題なし(ちなみに色彩が濃いめに見えるのはiPhoneのカメラ越しだからなので、実際にはナチュラルな色彩で再生されていれ)。

何よりサウンドバーのサウンドフィールド機能による擬似サラウンドで、Gレコの弱点である音響効果がマシマシに! GレコⅣの戦闘シーンが映画館で見る以上にかっこよく見えたのは幻覚ではないだろう。

 

そして最後に『シン・エヴァンゲリオン』…は発売前なので『ヱヴァンゲリヲンQ』4K UHD BDを再生。
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これはHDR祭り…! ただでさえすごいヱヴァQ冒頭が、見たことないレベルの輝度の高いフラッシュの連続でBDとは全く別物になっている。これを見た人はヱヴァQへの印象がガラッと変わるんじゃないだろうか。『シン・エヴァンゲリオン』4K UHD BDへの期待も否応なしに高まる。

 

いやぁここまでの環境が揃うと、映像オタクの夢が叶った気分……。いや本当にそうか?まだあるんじゃないか?

次はリアスピーカーだな…!(続くかもしれない)

 

 

トミノガンダムを過剰摂取すると刻が見えるーサンライズフェスティバル2023レポ

サンライズフェスティバル2023という、アニメ制作会社サンライズ(現バンダイナムコピクチャーズ)のアニメ上映企画の一環で開催された「『機動戦士Ζガンダム A New Translation』三部作一挙上映」と「ふざけているのか!?タブー破りの一挙上映!劇場版『∀ガンダム』&『Gのレコンギスタ』2つのGのユニバース!!」に参加してきた。

休憩とトークイベントを挟みつつとはいえ、6時間と14時間の2日連続上映イベント。バンナムピクチャーズの企画担当者はバカだし、参加者みんな大バカである。

 

感想

  • Ζガンダムは音響が良い!という新発見。円盤仕様を見返したらDolbyTrueHD(5.1ch)だったわけだけど、家の貧弱な音響環境だと気付かなかった(公開当時も映画館で見たはずだが気にしてなかった)。音響のおかげで古い作画も映画らしいリッチな映像に見えてくるから効果は絶大だ。今後も映画館で再上映の機会があれば見る価値おおいに有り。
  • ドルビーデジタル5.1chとはいえ∀ガンダムの音響は驚くほどではないし、2.1chのGのレコンギスタはもっと貧弱だった。予算の関係か敢えてのこだわりかわからないが、Gレコはもっと音にこだわって欲しかった。
  • 劇場では初観賞の∀ガンダム。肝である暖かな空気感がダイジェスト展開によって減じているのは気になるが、TVアニメのレベルを超える演出は映画のスクリーンに十分映える。菅野よう子のMVとして見れば全然有り。
  • 高速展開のΖ、超高速展開の∀の後に見るGレコはものすごくゆっくりに見えた。修行のために背負った亀の甲羅を外すのはこんな気持ちなのか!テンポ早すぎてわからない言われてきたのはなんだったのか。これまでで1番高い解像度で作品を理解できた気がする。

 

印象的だったトーク内容

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  • (メカ作画監督仲盛文さん)ΖガンダムⅠのアッシマーは三つ目が特徴的だが、富野監督からの指示は単にサブカメラが出てくるだけというもの。三つ目設定は作画サイドで起こしたもの。
  • 仲盛文さん)ZガンダムⅠラストのアムロを包むガンダムMk.Ⅱの手は当初旧作画の予定だったが、入念な描き込みはやはり新たに設定を起こたもの。
  • (プロデューサー・仲寿和さん)ガンダムUC作画監督の玄馬宣彦さんはモビルスーツの手を描く際に上記を参考にしている。
  • 仲盛文さん)ZガンダムⅠラストバトルでMK.Ⅱが持つ武器が一瞬手から消失するが、これは修正が間に合わなかったカット。
  • 仲盛文さん)Ζガンダムグリプス内の三つ巴戦闘シーンは当初旧作画ママの予定だったが、「これをやらないと映画としての見せ場がない」と仲さんから富野監督に直訴。辞めさせられる覚悟だったが、富野監督も乗り気になって一晩でコンテ描き上げてきた。原画担当の重田敦司さんには根回し済みだったものの、根回ししてなかった仕上げ担当の方などにこってり叱られた。
  • 仲盛文さん)ΖガンダムⅢのゼダンの門でちらっと映るヘイズルと、長物を持ってるマラサイは原画担当者がしれっと描いたもの。
  • 仲盛文さん)ΖガンダムⅢ公開後に仲さんとしては修正したいカットがあったものの、サンライズの方針として円盤発売に伴う修正はNGとして断られそうになったところ、横から口を挟んできた富野監督の意向で結局40カット程度が旧作画から新作画に置き換わった。ミネバのバイオリンレッスンシーン、シロッコのジャミトフ殺害シーンなど。後の仕事が決まっていたキャラ作画監督恩田尚之さんが結果的に割を喰う羽目に。
  • (仲寿和さん)告知したきりだった劇場版Ζガンダム原画集は鋭意制作中。

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  • 稲田徹さん)∀ガンダムTV版当時、スタジオで台本を読み込んでいたところ、富野監督から「これからも長く続けるつもりならもっと視野を広く持て」と教えられ、それ以降スタジオ内の人と積極的にコミュニケーションを取るようになり、今も指針になっている。
  • 稲田徹さん)ハリーは月に奥さんがいる。
  • 稲田徹さん)キエルに告白されてキスで返したように見えるシーンは、「こいつうるせーなー」と唇で口を塞いだだけだった。どちらも富野さんから収録前に教えてもらった裏設定。
  • 稲田徹さん)Gレコ収録時間に別の仕事が入っていたため1時間前にスタジオ入りして別録りした際、富野監督に「ハリーの役があったから今も別録り必要なくらい仕事させてもらってます」と話したところ「それはちがうよ。お前が16年間がんばってきたからだよ」と優しい言葉で返され、思わぬ答えに泣き崩れてしまった。
  • 稲田徹さん)打ち上げでその話をしながら「急に優しくされて、富野さんもうすぐ死ぬんじゃないかと思った」と冗談めかして言ったところ、殴られると思ったら「最近よく言われるんだよねそれ……。優しくしない方がいいのかな?」と悩ませてしまった。

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アクリルスタンドは自分を讃えるトロフィーとして購入。入場特典のポストカードも嬉しい。
一気に見ることで新しい発見があったし、いつも通りお茶目な富野監督エピソードを聞けたので結果的に満足度は高いイベントだった。が、本当に疲労困憊になったのでこんなイベントは二度とやらないでもらいたい笑

【2023年冬クール】今期アニメはこの3本

  • 『お兄ちゃんはおしまい!』

Go!プリンセスプリキュア』や『無職転生』の圧倒的アクション作画が印象深いアニメーター藤井慎吾の初監督作。非常にフェティッシュでキワどいシーンが多いので決して万人向けの内容とは言えないが、細やかな日常芝居には惚れ惚れするばかり。
すべてのカットがキマっているのは昨年の『リコリスリコイル』同様、作画出身監督の成せる技か。渡辺明夫の手掛けるOP、鈴木典光によるED(ノンクレジットだが間違いない)は共に現代アニメーションの神髄が味わえる。作画アニメとしては今期ダントツトップの注目作(というか前期いっぺんに出し尽くしたからか、今期は注目の作品が非常に少ない……)。


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onimai.jp

 

  • 『大雪海のカイナ』

類を見ないSF世界の構築することで知られる漫画家・弐瓶勉が原作を手掛けるオリジナルSF作品(先行して漫画版も連載しているが、同発の企画)。今作でも雪海に佇む大樹の麓に暮らす王女と、大気層まで伸びた大樹のてっぺんで暮らす男の子の壮大なボーイミーツガールを描いており、奇抜ながら映像映えも意識した弐瓶ワールドの新境地が伺える。

現在までに放送された2話時点では世界観を提示したに過ぎないので、ここから物語がどう転がっていくかに期待が高まる。

ooyukiumi.net

 

内藤泰弘の漫画『TRIGUN』のTVアニメ(1998)、映画(2010)に続く3度目の映像化はなんと3DCGアニメ。しかも原作通りと思いきや設定まわりに様々な変化が。ミリィが知らないひげ面のおっさんに置き換わっていることにショックを隠せないし、ストーリーにどう影響があるのだろうかと不安で仕方ない。
それはさて置き『宝石の国』『BEASTARS』を手掛けたアニメ制作会社オレンジの、TVアニメの域を超えた細やかなCG映像は称賛せざるを得ない。同じくCG作品の『カイナ』はメリハリが効いてるというか、今のところ“静”のシーン中心なので、“動”の『TRIGUN』を対比しながら見るのが今期の楽しみだ。

trigun-anime.com

ゲームオブザイヤー2022

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  1. MAVEL SNAP
  2. スプラトゥーン3
  3. ソニックフロンティア

映画、ドラマ、アニメに夢中になってた今年は本当にゲームが手薄になってしまった。いざ話題作を買ってもなかなかクリアできない(ないしレビューできる程度まで進まない)始末。

そんな中でも一番遊びこんだのが『MAVEL SNAP』。THE GAME AWARDSのモバイルゲーム部門でもBESTに選出されたというのにいまいち日本では注目されてない気がする……映画がヒットしても、やはりマーベルキャラはバタ臭いからだろうか。

本作はカードゲームだがガチャ課金さえないので手軽に始められるし、3分程度で決着が付くシステムが非常にスマホとマッチしている。カードはたった12枚しか使わないのに、ステージの特性とカードのスキルで無限の戦略が生まれるため、すきま時間を見つけてはついつい1ゲーム……で辞められずにもう1ゲーム、いや2ゲーム!と熱くなってしまう。

デジタルカードゲームでこんなにハマったのは初めてのこと。この分だとフレンド機能がようやく解禁される来年以降も引き続き遊ぶことになりそうだ。

 

スプラトゥーン3』は文句なしのシリーズ集大成。『ソニックフロンティア』は惜しいところだらけだが(つまらないボス戦とか虚無感しかないファストトラベル用アイテム入手法とかな!)、新たな出発を期待させる佳作。もっと遊ばれていいはずなので推していきたい。

 

話数単位で選ぶ、2022年TVアニメ10選

絵コンテ・演出:高橋 賢 / 総作画監督補佐:坂東美佳、佐藤美幸 / 作画監督佐藤哲人、藤原将吾、緒方美枝子、秋山幸児、茂木貴之、塩島由佳、永森雅人、外崎春雄

後半のアクションシーンはHDDが擦り切れるまで見た。

 

  • 『その着せ替え人形は恋をする』#8「逆光、おすすめです」

脚本:冨田頼子 / 絵コンテ:川上雄介 / 演出:川上雄介 / 作画監督:小林恵祐

突然の彼氏彼女の事情みにしびれた。

 

脚本:中西やすひろ / 絵コンテ:渡部穏寛、畠山守 / 演出:菊池貴行 / 総作画監督:針場裕子、田中紀衣 / 作画監督:横山穂乃花、斉藤準一、世良コータ

EDのラップに仰天。

 

  • 『ワンピース』第1015話「麦わらのルフィ 海賊王になる男」

脚本:山崎亮 / 演出:石谷恵 / 作画監督:森佳祐、伊藤公崇、小島崇史、山本拓美

石谷牛乳劇場再び。FILM REDに負けていないというか、もはや超えてるのでは。

 

脚本:瀬古浩司/ 絵コンテ・演出:矢嶋哲生作画監督:西谷泰史

1話限りの作画回。校舎全体を駆使した立体的な演出が見事。

 

  • 『ぼっち・ざ・ろっく!』#7「君の家まで」

脚本:吉田恵里香 / 絵コンテ:アマタジャンチキ / 演出:篠原啓輔 / 作画監督:けろりら、Park Se Young、 石田一将、川妻智美

8話、12話を挙げる人が多そうだが、最もトンチキな7話を推したい。『その着せ替え人形は恋をする』もそうだが、Clover Worksにはカレカノ好きが潜伏してるのだろうか。

 

脚本:立川譲 / 絵コンテ・演出・作画監督:伍柏諭

モブサイコ100のアクション回ではお馴染みの伍柏諭の、まさかの日常回。イマジネーション溢れる異星描写に脱帽。

 

【BUMP-BOO-CRUSADERS】脚本:ジャブ林 / 監督・絵コンテ・演出:篠原ぱらこ / キャラクターデザイン・作画監督:伊藤憲子 / 美術監督:中村千恵子 / 制作:コントレール

片渕須直監督率いるコントレール制作アニメが地上波の、しかもポプテピピック内で見れるとは。90年代アニメの再現度に舌を巻いたが、その後90年代の面影をふりきった『THE FIRST SLAM DUNK』が上映されたことでこのエピソードがより際立ったように思う。

 

脚本:大河内一楼 / 絵コンテ:金澤洪充、綿田慎也、小林 寛 / 演出:倉富康平、綿田慎也 / 作画監督:菱沼義仁、戸部敦夫、丸山修二、宍戸久美子 / 作画監督協力:飯野利明

沖浦啓之が原画に参加! ミオリネがスレッタを追うシーンだろうか。

 

脚本・絵コンテ:山本裕介/演出:重原克也/作画監督:牧茶、髙橋瑞紀、松尾祐輔総作画監督松尾祐輔

長く続いたシリーズのおそらく最大のクライマックス。高山病にかかった苦しい富士山登頂を重ねながら見た。カトキハジメコンテ回の4話アバンや、松本憲生の5話Aパート1人原画、吉成鋼の各話別EDなど、シリーズ通して見どころが多かった。

 

年始から『鬼滅の刃 遊郭編』を見せられてもう今年はこれを超えるアニメに出会えないんじゃないかと危惧していたが、年間を通して豊作で、特に10月開始クールが傑作揃い。10作選ぶのに非常に苦慮した。

顕著なのがClover Worksの躍進だろう。脅威のクオリティを見せつけた『明日ちゃんのセーラー服』『その着せ替え人形は恋をする』の連続放送にとどまらず、今年最大の話題作『SPY× FAMILY』をWIT STUDIOと共同制作し(主に偶数話を担当)、とどめに『ぼっち・ざ・ろっく!』である。2023年も最注目のスタジオであることは間違いないだろう。

 

 

2022年映画ベスト10

  1. NOPE
  2. トップガン・マーヴェリック
  3. RRR
  4. すずめの戸締まり
  5. GのレコンギスタⅣ 激闘に叫ぶ愛
  6. THE FIRST SLAM DUNK
  7. 犬王
  8. ゴーストバスターズ/アフターライフ
  9. ザ・バットマン
  10. さかなのこ

今年見た新作映画(映画館&配信)は64本、旧作映画(映画館&配信&地上波)は52本。例年通り海外SF、国内アニメ多めの観賞履歴から選んだベスト10は上記の通り。正直ベスト5は順不同と言いたいくらいの、傑作揃いの1年だった。

観賞時にフィルマークスに記載した感想を一部修正のうえ転記しておく。

 

  • NOPE

父親が死んで落ち目の牧場を切り盛りする兄妹。馬を売って生計を立てるギリギリの暮らしの中、ある夜UFOらしきものを目撃したのをきっかけに更なる事件が…。
という導入こそ『ET』でも始まりそうな宇宙人SFだか、そこは『ゲットアウト』のジョーダン・ピール監督なので一筋縄ではいかない。
変遷する映画ジャンルに翻弄されていくうちにそもそも映画とは何か、というメタ的なことまで考えさせられる。最終的にはなんだろう…カウボーイ映画を見た気にさせられた。

ジョーダン監督に対しては「テーマ性をはらんだホラー映画の人」というカテゴライズをしてたのだが、今回『インターステラー』『TENET』のホイテ・ヴァン・ホイテマ撮影監督と組んだことで一気に映像がグレードアップ。一線級のエンタメ映画が撮れる人として認識を改めた。

まあ小難しいこと考えずに、すごい役者が広大な舞台でめちゃくちゃな目に遭う映像は面白いだろ!という映画の原初的な快感が味わえる映画だ。

 

映画とは映像の発明の歴史でもあると思うのだが、今回は久々に歴史の更新に立ち会えた。

ストーリーは、トム演じるマーヴェリックがトップガンに帰還し、高難度ミッションに取り組むという実にシンプルなもの。とはいえ前作のしこりの解消やオマージュをきっちりやっていて、前作を見てる人は嬉しいし、今回からの人でも十分わかる作り。

なんといってもすごいのが空戦シーンで、前作はトムキャットに乗ってるように見えるだけの演出だったのに対し、今作は本当に乗っている! 見せかけではなく、実景だからこその迫力がとてつもない。列車が走るだけで観客が飛び上がったという最初期の映画の衝撃が分かった気がする。

 

  • RRR

英国植民地時代のインドを舞台に、英国政府要人にさらわれた妹を救い出そうとするビームと、英国政府に認められ成り上がろうとする警察官ラーマ。
身分を隠して出会った2人の間に熱い友情が芽生えるが、お互いが責務を果たそうとしたために絆が引き裂かれ…という愛と友情と炎と水と熱血と筋肉の物語。

バーフバリゆずりの想像を超えるアクションの連続に血がたぎりっぱなし。今回はバイクを駆使するし、何と言っても最強の乗り物「肩車」には舌を巻いた。
3時間に及ぶ上映時間ながら、冗長に感じるシーンは一切なかった。インド映画ならではのダンスシーンはあるが、劇中で披露されるのは1シーンだけ。唐突感もないのでインド映画見慣れてない人でも見やすいだろう。

血の気の多い映画ではあるが、ブロマンスなシーンも多いので男女問わず楽しめると思う。

 

  • すずめの戸締まり

今回大きな挑戦だと感じたのが、公開前から謳われていた「ロードムービー」であるという点。新海誠監督は以前にも、地下世界アガルタを女の子が冒険する『星を追う子ども』でロードムービーに挑戦したのだが、興行収入も作品評価も芳しいものではなかった。演出や絵面にジブリ作品のイメージが色濃く出ており、そこに当時の新海誠の内面そのままを描いたようなひっ迫感・焦りが融合して、死の影が常に付きまとう暗い作品になってしまっていた。

11年ぶりのロードムービーとなった今作は、天真爛漫な女子高生を主人公に据え、相棒は椅子である。物語には暗い側面もあるのだが、主人公2人のキャラクター性はもちろん、旅先で出会う個性あふれる面々の放つエネルギーが凄まじく、死の影を跳ねのけていた。

過去2作と違い直接的に特定の災害に触れている点は、新海監督なりの覚悟と自信と受け取り好感を覚えたが、多少なりとも反発は免れないだろう。

 

各媒体に掲載されていたインタビュー記事から新規カットが非常に多いという情報を得ていたので全5部作の中で最も期待していた本作だが……あまりの出来に思わず感涙させられてしまった。
80歳にもなる富野由悠季監督のフィルムだからというのは超えて、ロボットアニメとしてべらぼうに面白いのだ。

『Gのレコギスタ』といえばTV版放映時によく言われるのが「わかりづらい」という点。『GのレコンギスタⅣ』はⅢまでと同様にわかりやすく編集されているのだが、新規カットが圧倒的に多いのが特徴だ。
今回描かれるビーナス・グロゥブ編(TV版19~22話)はくわの終着点の割に「何を得られたのかがわからない」「敵であるジット団の魅力がもうひとつ」という点が弱点だった。
本作ではラ・グー総裁とのやり取りの大幅増量し、戦闘シーンの尺を伸ばして各団員の魅力をアップすることで弱点が完全にカバーされていた。

ただそれだけでなく、映画のラスト20分を完全新規の戦闘シーンに描き換えられていたことが大きな衝撃だった。
ラストに長尺の戦闘シーンがあるのはシンプルに嬉しい。ただそれ以上に、この戦闘ひとつでGレコに足りなかった様々なピースが埋まった気がする。Gセルフの本当の強さやカシーバ・ミコシという舞台設定の見事さ、ベルリとマスクのライバル関係、マニィがマスクを想う強さ、など。

カシーバ・ミコシ戦は富野作品、ひいてはロボットアニメ史上最高峰の戦闘シーンとして今後も語り継がれることだろう。この第4部のために、劇場版5部作は作られたと言っても過言ではない。

 

来年は年始から春にかけて、『バビロン』『アントマン&ワスプ クワントマニア』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3』と続いて、夏にはいよいよ宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が待っている。2023年も多くの傑作映画に出会えることを祈るばかりだ。

 

 

『すずめの戸締まり』試写会レビュー ―新海誠の挑戦と覚悟

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明日11月11日から公開される新海誠監督の新作映画『すずめの戸締まり』を、一足早く完成披露試写会にて見させてもらった。公開前なので極力ネタバレを避けつつ、魅力を伝えたいと思う。

 

  • あらすじ

宮崎に住む女子高生・すずめが、廃墟にたたずむ謎の扉を発見し、これを開けたことで災いが発生してしまう。扉を探していた青年・草太と協力してなんとか扉を封じるも、中から出てきた謎の猫・ダイジンの力で草太は椅子に変身させられてしまう。
各地の扉を閉め、そして元の姿に戻るため、2人は旅に出る……というのが物語のはじまり。

 

今回大きな挑戦だと感じたのが、公開前から謳われていた「ロードムービー」であるという点。新海誠監督は過去にも、地下世界アガルタを女の子が冒険する『星を追う子ども』でロードムービーに挑戦したのだが、興行収入も作品評価も芳しいものではなかった。演出や絵面にジブリ作品のイメージが色濃く出ており、そこに当時の新海誠の内面そのままを描いたようなひっ迫感・焦りが融合して、死の影が常に付きまとう暗い作品になってしまっていた。

その後『言の葉の庭』で自身の得意とする「恋愛ドラマ」「誰よりも美しく描く東京」に立ち戻り、『君の名は。』『天気の子』で大成功を収めたわけだが、そこからあえて再挑戦するところにロマンを感じざるを得ない。

11年ぶりのロードムービーとなった今作は、天真爛漫な女子高生を主人公に据え、相棒は椅子である。物語には暗い側面もあるのだが、主人公2人のキャラクター性はもちろん、旅先で出会う個性あふれる面々の放つエネルギーが凄まじく、死の影を跳ねのけてしまった。間の3作を経て、本当に人間を描くのが達者になったと感じる。

オトナになったと感じる一方で、ジブリへの目くばせを忘れないのが新海誠の茶目っ気だろうか。探さないでもわかるあまりの露骨さなので、大先輩へのリスペクトとして受け取らせてもらった。

今作は『君の名は。』後の新海誠にしか描けないロードムービーなのは間違いない。だが『星を追う子ども』の設定が下敷きになっている部分も強く感じるので(続編かどうか云々ではなく、あくまでベースとして)、『すずめの戸締まり』観賞前後にぜひ比較として見てもらいたい。やはり『星を追う子ども』なくしては描けなかったとも言えよう。

 

  • 災害映画3部作完結編としての覚悟

隕石落下という架空の災害を描写することで東日本大震災への願いをも描いた『君の名は。』、度重なる水害を受けて描かれた『天気の子』と、直近2作はSF要素を色濃く交えながら「日本と災害」を描いてきた。そこに続く今作は、当初の触れ込みだと「扉を閉める」という何のことやらイメージしづらいものだったのだが、蓋を開けてみると今回も災害映画だった。オフィシャル情報として宣伝はされてないので言明は避けるが、公開されている冒頭映像を見れば勘づくことだろう。

今作では過去作とは違い、直接的に特定の災害に触れており、そこは新海監督なりの覚悟と自信を強く感じた。生半可な気持ちで描いては、バッシングされ兼ねないからだ。

公開され、世間の評価に接するのはこれからなのでどういった受け止められ方をするのかまだわからないが、試写会の帰りに「当事そこにいたから覚えてるけど、星が綺麗だったんだよね」という声が聞こえてきたので、少なくとも当事者には届く作品になったのだろう。当事者以外にも、きっと響く作品になっているはずだ。

 

  • まとめ

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明日から公開の『すずめの戸締まり』は、今までにない挑戦と覚悟を感じる、まさに新海誠監督の集大成といえる作品に仕上がっていた。試写会で見たとはいえ、すでに2度3度と見返したくなっている。

この傑作は是非劇場での観賞をおすすめしたい。きっと日本に住むすべての人が感動を覚えるはずだ。

 

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