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アニメ・映画・ゲームについての雑記

トミノガンダムを過剰摂取すると刻が見えるーサンライズフェスティバル2023レポ

サンライズフェスティバル2023という、アニメ制作会社サンライズ(現バンダイナムコピクチャーズ)のアニメ上映企画の一環で開催された「『機動戦士Ζガンダム A New Translation』三部作一挙上映」と「ふざけているのか!?タブー破りの一挙上映!劇場版『∀ガンダム』&『Gのレコンギスタ』2つのGのユニバース!!」に参加してきた。

休憩とトークイベントを挟みつつとはいえ、6時間と14時間の2日連続上映イベント。バンナムピクチャーズの企画担当者はバカだし、参加者みんな大バカである。

 

感想

  • Ζガンダムは音響が良い!という新発見。円盤仕様を見返したらDolbyTrueHD(5.1ch)だったわけだけど、家の貧弱な音響環境だと気付かなかった(公開当時も映画館で見たはずだが気にしてなかった)。音響のおかげで古い作画も映画らしいリッチな映像に見えてくるから効果は絶大だ。今後も映画館で再上映の機会があれば見る価値おおいに有り。
  • ドルビーデジタル5.1chとはいえ∀ガンダムの音響は驚くほどではないし、2.1chのGのレコンギスタはもっと貧弱だった。予算の関係か敢えてのこだわりかわからないが、Gレコはもっと音にこだわって欲しかった。
  • 劇場では初観賞の∀ガンダム。肝である暖かな空気感がダイジェスト展開によって減じているのは気になるが、TVアニメのレベルを超える演出は映画のスクリーンに十分映える。菅野よう子のMVとして見れば全然有り。
  • 高速展開のΖ、超高速展開の∀の後に見るGレコはものすごくゆっくりに見えた。修行のために背負った亀の甲羅を外すのはこんな気持ちなのか!テンポ早すぎてわからない言われてきたのはなんだったのか。これまでで1番高い解像度で作品を理解できた気がする。

 

印象的だったトーク内容

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  • (メカ作画監督仲盛文さん)ΖガンダムⅠのアッシマーは三つ目が特徴的だが、富野監督からの指示は単にサブカメラが出てくるだけというもの。三つ目設定は作画サイドで起こしたもの。
  • 仲盛文さん)ZガンダムⅠラストのアムロを包むガンダムMk.Ⅱの手は当初旧作画の予定だったが、入念な描き込みはやはり新たに設定を起こたもの。
  • (プロデューサー・仲寿和さん)ガンダムUC作画監督の玄馬宣彦さんはモビルスーツの手を描く際に上記を参考にしている。
  • 仲盛文さん)ZガンダムⅠラストバトルでMK.Ⅱが持つ武器が一瞬手から消失するが、これは修正が間に合わなかったカット。
  • 仲盛文さん)Ζガンダムグリプス内の三つ巴戦闘シーンは当初旧作画ママの予定だったが、「これをやらないと映画としての見せ場がない」と仲さんから富野監督に直訴。辞めさせられる覚悟だったが、富野監督も乗り気になって一晩でコンテ描き上げてきた。原画担当の重田敦司さんには根回し済みだったものの、根回ししてなかった仕上げ担当の方などにこってり叱られた。
  • 仲盛文さん)ΖガンダムⅢのゼダンの門でちらっと映るヘイズルと、長物を持ってるマラサイは原画担当者がしれっと描いたもの。
  • 仲盛文さん)ΖガンダムⅢ公開後に仲さんとしては修正したいカットがあったものの、サンライズの方針として円盤発売に伴う修正はNGとして断られそうになったところ、横から口を挟んできた富野監督の意向で結局40カット程度が旧作画から新作画に置き換わった。ミネバのバイオリンレッスンシーン、シロッコのジャミトフ殺害シーンなど。後の仕事が決まっていたキャラ作画監督恩田尚之さんが結果的に割を喰う羽目に。
  • (仲寿和さん)告知したきりだった劇場版Ζガンダム原画集は鋭意制作中。

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  • 稲田徹さん)∀ガンダムTV版当時、スタジオで台本を読み込んでいたところ、富野監督から「これからも長く続けるつもりならもっと視野を広く持て」と教えられ、それ以降スタジオ内の人と積極的にコミュニケーションを取るようになり、今も指針になっている。
  • 稲田徹さん)ハリーは月に奥さんがいる。
  • 稲田徹さん)キエルに告白されてキスで返したように見えるシーンは、「こいつうるせーなー」と唇で口を塞いだだけだった。どちらも富野さんから収録前に教えてもらった裏設定。
  • 稲田徹さん)Gレコ収録時間に別の仕事が入っていたため1時間前にスタジオ入りして別録りした際、富野監督に「ハリーの役があったから今も別録り必要なくらい仕事させてもらってます」と話したところ「それはちがうよ。お前が16年間がんばってきたからだよ」と優しい言葉で返され、思わぬ答えに泣き崩れてしまった。
  • 稲田徹さん)打ち上げでその話をしながら「急に優しくされて、富野さんもうすぐ死ぬんじゃないかと思った」と冗談めかして言ったところ、殴られると思ったら「最近よく言われるんだよねそれ……。優しくしない方がいいのかな?」と悩ませてしまった。

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アクリルスタンドは自分を讃えるトロフィーとして購入。入場特典のポストカードも嬉しい。
一気に見ることで新しい発見があったし、いつも通りお茶目な富野監督エピソードを聞けたので結果的に満足度は高いイベントだった。が、本当に疲労困憊になったのでこんなイベントは二度とやらないでもらいたい笑