ユウキズ・ダイアリー

アニメ・映画・ゲームについての雑記

2022年映画ベスト10

  1. NOPE
  2. トップガン・マーヴェリック
  3. RRR
  4. すずめの戸締まり
  5. GのレコンギスタⅣ 激闘に叫ぶ愛
  6. THE FIRST SLAM DUNK
  7. 犬王
  8. ゴーストバスターズ/アフターライフ
  9. ザ・バットマン
  10. さかなのこ

今年見た新作映画(映画館&配信)は64本、旧作映画(映画館&配信&地上波)は52本。例年通り海外SF、国内アニメ多めの観賞履歴から選んだベスト10は上記の通り。正直ベスト5は順不同と言いたいくらいの、傑作揃いの1年だった。

観賞時にフィルマークスに記載した感想を一部修正のうえ転記しておく。

 

  • NOPE

父親が死んで落ち目の牧場を切り盛りする兄妹。馬を売って生計を立てるギリギリの暮らしの中、ある夜UFOらしきものを目撃したのをきっかけに更なる事件が…。
という導入こそ『ET』でも始まりそうな宇宙人SFだか、そこは『ゲットアウト』のジョーダン・ピール監督なので一筋縄ではいかない。
変遷する映画ジャンルに翻弄されていくうちにそもそも映画とは何か、というメタ的なことまで考えさせられる。最終的にはなんだろう…カウボーイ映画を見た気にさせられた。

ジョーダン監督に対しては「テーマ性をはらんだホラー映画の人」というカテゴライズをしてたのだが、今回『インターステラー』『TENET』のホイテ・ヴァン・ホイテマ撮影監督と組んだことで一気に映像がグレードアップ。一線級のエンタメ映画が撮れる人として認識を改めた。

まあ小難しいこと考えずに、すごい役者が広大な舞台でめちゃくちゃな目に遭う映像は面白いだろ!という映画の原初的な快感が味わえる映画だ。

 

映画とは映像の発明の歴史でもあると思うのだが、今回は久々に歴史の更新に立ち会えた。

ストーリーは、トム演じるマーヴェリックがトップガンに帰還し、高難度ミッションに取り組むという実にシンプルなもの。とはいえ前作のしこりの解消やオマージュをきっちりやっていて、前作を見てる人は嬉しいし、今回からの人でも十分わかる作り。

なんといってもすごいのが空戦シーンで、前作はトムキャットに乗ってるように見えるだけの演出だったのに対し、今作は本当に乗っている! 見せかけではなく、実景だからこその迫力がとてつもない。列車が走るだけで観客が飛び上がったという最初期の映画の衝撃が分かった気がする。

 

  • RRR

英国植民地時代のインドを舞台に、英国政府要人にさらわれた妹を救い出そうとするビームと、英国政府に認められ成り上がろうとする警察官ラーマ。
身分を隠して出会った2人の間に熱い友情が芽生えるが、お互いが責務を果たそうとしたために絆が引き裂かれ…という愛と友情と炎と水と熱血と筋肉の物語。

バーフバリゆずりの想像を超えるアクションの連続に血がたぎりっぱなし。今回はバイクを駆使するし、何と言っても最強の乗り物「肩車」には舌を巻いた。
3時間に及ぶ上映時間ながら、冗長に感じるシーンは一切なかった。インド映画ならではのダンスシーンはあるが、劇中で披露されるのは1シーンだけ。唐突感もないのでインド映画見慣れてない人でも見やすいだろう。

血の気の多い映画ではあるが、ブロマンスなシーンも多いので男女問わず楽しめると思う。

 

  • すずめの戸締まり

今回大きな挑戦だと感じたのが、公開前から謳われていた「ロードムービー」であるという点。新海誠監督は以前にも、地下世界アガルタを女の子が冒険する『星を追う子ども』でロードムービーに挑戦したのだが、興行収入も作品評価も芳しいものではなかった。演出や絵面にジブリ作品のイメージが色濃く出ており、そこに当時の新海誠の内面そのままを描いたようなひっ迫感・焦りが融合して、死の影が常に付きまとう暗い作品になってしまっていた。

11年ぶりのロードムービーとなった今作は、天真爛漫な女子高生を主人公に据え、相棒は椅子である。物語には暗い側面もあるのだが、主人公2人のキャラクター性はもちろん、旅先で出会う個性あふれる面々の放つエネルギーが凄まじく、死の影を跳ねのけていた。

過去2作と違い直接的に特定の災害に触れている点は、新海監督なりの覚悟と自信と受け取り好感を覚えたが、多少なりとも反発は免れないだろう。

 

各媒体に掲載されていたインタビュー記事から新規カットが非常に多いという情報を得ていたので全5部作の中で最も期待していた本作だが……あまりの出来に思わず感涙させられてしまった。
80歳にもなる富野由悠季監督のフィルムだからというのは超えて、ロボットアニメとしてべらぼうに面白いのだ。

『Gのレコギスタ』といえばTV版放映時によく言われるのが「わかりづらい」という点。『GのレコンギスタⅣ』はⅢまでと同様にわかりやすく編集されているのだが、新規カットが圧倒的に多いのが特徴だ。
今回描かれるビーナス・グロゥブ編(TV版19~22話)はくわの終着点の割に「何を得られたのかがわからない」「敵であるジット団の魅力がもうひとつ」という点が弱点だった。
本作ではラ・グー総裁とのやり取りの大幅増量し、戦闘シーンの尺を伸ばして各団員の魅力をアップすることで弱点が完全にカバーされていた。

ただそれだけでなく、映画のラスト20分を完全新規の戦闘シーンに描き換えられていたことが大きな衝撃だった。
ラストに長尺の戦闘シーンがあるのはシンプルに嬉しい。ただそれ以上に、この戦闘ひとつでGレコに足りなかった様々なピースが埋まった気がする。Gセルフの本当の強さやカシーバ・ミコシという舞台設定の見事さ、ベルリとマスクのライバル関係、マニィがマスクを想う強さ、など。

カシーバ・ミコシ戦は富野作品、ひいてはロボットアニメ史上最高峰の戦闘シーンとして今後も語り継がれることだろう。この第4部のために、劇場版5部作は作られたと言っても過言ではない。

 

来年は年始から春にかけて、『バビロン』『アントマン&ワスプ クワントマニア』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3』と続いて、夏にはいよいよ宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が待っている。2023年も多くの傑作映画に出会えることを祈るばかりだ。