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『すずめの戸締まり』試写会レビュー ―新海誠の挑戦と覚悟

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明日11月11日から公開される新海誠監督の新作映画『すずめの戸締まり』を、一足早く完成披露試写会にて見させてもらった。公開前なので極力ネタバレを避けつつ、魅力を伝えたいと思う。

 

  • あらすじ

宮崎に住む女子高生・すずめが、廃墟にたたずむ謎の扉を発見し、これを開けたことで災いが発生してしまう。扉を探していた青年・草太と協力してなんとか扉を封じるも、中から出てきた謎の猫・ダイジンの力で草太は椅子に変身させられてしまう。
各地の扉を閉め、そして元の姿に戻るため、2人は旅に出る……というのが物語のはじまり。

 

今回大きな挑戦だと感じたのが、公開前から謳われていた「ロードムービー」であるという点。新海誠監督は過去にも、地下世界アガルタを女の子が冒険する『星を追う子ども』でロードムービーに挑戦したのだが、興行収入も作品評価も芳しいものではなかった。演出や絵面にジブリ作品のイメージが色濃く出ており、そこに当時の新海誠の内面そのままを描いたようなひっ迫感・焦りが融合して、死の影が常に付きまとう暗い作品になってしまっていた。

その後『言の葉の庭』で自身の得意とする「恋愛ドラマ」「誰よりも美しく描く東京」に立ち戻り、『君の名は。』『天気の子』で大成功を収めたわけだが、そこからあえて再挑戦するところにロマンを感じざるを得ない。

11年ぶりのロードムービーとなった今作は、天真爛漫な女子高生を主人公に据え、相棒は椅子である。物語には暗い側面もあるのだが、主人公2人のキャラクター性はもちろん、旅先で出会う個性あふれる面々の放つエネルギーが凄まじく、死の影を跳ねのけてしまった。間の3作を経て、本当に人間を描くのが達者になったと感じる。

オトナになったと感じる一方で、ジブリへの目くばせを忘れないのが新海誠の茶目っ気だろうか。探さないでもわかるあまりの露骨さなので、大先輩へのリスペクトとして受け取らせてもらった。

今作は『君の名は。』後の新海誠にしか描けないロードムービーなのは間違いない。だが『星を追う子ども』の設定が下敷きになっている部分も強く感じるので(続編かどうか云々ではなく、あくまでベースとして)、『すずめの戸締まり』観賞前後にぜひ比較として見てもらいたい。やはり『星を追う子ども』なくしては描けなかったとも言えよう。

 

  • 災害映画3部作完結編としての覚悟

隕石落下という架空の災害を描写することで東日本大震災への願いをも描いた『君の名は。』、度重なる水害を受けて描かれた『天気の子』と、直近2作はSF要素を色濃く交えながら「日本と災害」を描いてきた。そこに続く今作は、当初の触れ込みだと「扉を閉める」という何のことやらイメージしづらいものだったのだが、蓋を開けてみると今回も災害映画だった。オフィシャル情報として宣伝はされてないので言明は避けるが、公開されている冒頭映像を見れば勘づくことだろう。

今作では過去作とは違い、直接的に特定の災害に触れており、そこは新海監督なりの覚悟と自信を強く感じた。生半可な気持ちで描いては、バッシングされ兼ねないからだ。

公開され、世間の評価に接するのはこれからなのでどういった受け止められ方をするのかまだわからないが、試写会の帰りに「当事そこにいたから覚えてるけど、星が綺麗だったんだよね」という声が聞こえてきたので、少なくとも当事者には届く作品になったのだろう。当事者以外にも、きっと響く作品になっているはずだ。

 

  • まとめ

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明日から公開の『すずめの戸締まり』は、今までにない挑戦と覚悟を感じる、まさに新海誠監督の集大成といえる作品に仕上がっていた。試写会で見たとはいえ、すでに2度3度と見返したくなっている。

この傑作は是非劇場での観賞をおすすめしたい。きっと日本に住むすべての人が感動を覚えるはずだ。

 

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