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10年越しのクリアを達成させるレベルの顔の良さ――『ゼノブレイド ディフィニティブ・エディション』

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2010年にWiiで発売されたRPGゼノブレイド』。当時ソフトが枯渇していたWiiに降臨した大規模RPGということで大変興奮したのだが、そのあまりの大規模っぷりにモチベーションが保てなくてエンディングを迎えることができなかった。仕事が忙しかったり、他のゲームに浮気してしまったり、理由はまあ色々あったんだと思う。

その後1年ほどしてからWii版をやり直したり、2015年に発売した3DS版をやったりと何度も挑戦して、その度に失敗してきた、この10年で最大の喉に引っ掛かかった骨が『ゼノブレイド』だった。

それが今回、Switch用に生まれ変わったゼノブレイド ディフィニティブ・エディション』でついにエンディングを迎えることができた。クリアタイムは77時間(高難易度クエストは除く)。感無量である。

 

改善点①:顔が良い

クリアできたのには、生活上の優先順位を最上位にするとか、クリアするまで他のゲームを一切やらないと自分に課したこともあるが、何と言ってもゲーム内の変化が大きい。まず顔が良い。

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Wii版『ゼノブレイド』の唯一無二の弱点が顔のモデリングだった。これは『ゼノブレイド』というゲームが広大な背景描写を優先するためにキャラクターに容量を割けなかったという特殊な事情によるものだが……ハード性能向上によりみんな顔が良くなったことで、自然とモチベーションが高まった。

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参考にWii版の画像も貼っておく(『ゼノブレイド』公式サイトより)

 

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元々動きで魅せていたイベントシーンは、顔が良くなったことで完璧なものに。出来が良いなあと思って調べたらイベントシーンは元からProduction I.Gグラフィニカが参加してたとか。Switch版ならイベントシアターで見直せるのも嬉しいところだ。お気に入りのシーンがあればも本体機能で簡単にスクショを残せるのもまた嬉しい。

 

改善点②:クリアしやすくなったサブクエス

またサブクエストがクリアしやすくなったのも大きな改善点だ。大量のサブクエ×複雑な地形によりWii版では時間を要したサブクエストが、今回はクリアまでのルートが地図に表示されるようになったので大幅に楽になった。

あまりに簡単になりすぎて冒険心を削ぐ点でもあるが、もう10年も前のゲームだし、ルート表示はON/OFF切り替えできるし、これぐらいあっても良いだろう。社会人ゲーマーとしては最高の改善点だと声高に叫んでおきたい。

 

クリア後のおまけ「つながる未来」

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Switch版はただの本編リマスターではなく、「つながる未来」という新たなエピソードも入っている。こちらは本編クリア/未クリアに関わらず最初から遊ぶこともできるので、もう1本のゲームが入っている感覚だ。

クリアまでは11時間ほど。本編に比べればごく短いが、本編中で訪れることができなかった没マップとして有名な巨神左肩を歩くことができシュルクとメリア、そしてメリアと関係の深い某キャラの本編から1年後の活躍を見ることができるのは堪らない。

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特にメリアは本編では不遇なサブヒロインポジに甘んじていたが、今回は唯一の女性キャラとして大活躍。某キャラとの絡みも含めて、完全にメリアのための物語となっている(シュルクの影は薄い)。

このために買うのは少々高くつくかもしれないが、Wii版クリア済の人にこそ遊んでほしいエピソードになっている。

 

まとめ

難点をあげるとすれば、モデリングが向上しているのは主要キャラの顔や新規衣装に限るので、既存の衣装や、背景グラフィックなどは元のままというところ。Wiiとしては最高レベルの背景も、Switchのゲームとして見ると解像度が低くボケっとした印象を感じてしまうことが度々あった(気候や近景・遠景など条件によるが)。

またSwitchの携帯モードで遊ぶと解像度が落ちるので(テレビモード:720p→携帯モード:520p)、携帯モードで基本的に遊ぶという人や、Switch Lite(テレビ接続できない)で遊んでいる人は注意が必要だ。

 

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とはいえ難点はその程度。Wiiで最高評価を受けるRPGだけに、今遊んでも古さを感じない面白さを誇っている。巨神の身体という、広大で高低差のあるマップを冒険する体験は、かつて果てしなく広い世界に感じていたSFC・PS時代のRPGの原体験そのもの。RPG本来の楽しさを思い出させてくれる傑作だ。

はじめてプレイする人はもちろん、私のように未クリアだった人にはぜひ本作で再挑戦してもらいたい。

 

コロナで147本ゲーム断捨離したら1万円のソフトもあって懐が温かくなったので焼肉食べたい

新型コロナウイルスによる長い自粛期間、ほとんど家にこもりっきりだったわけだが、そうなると流石に住環境を良くしたくなるわけで、最初に思いついたのがゲームソフトの断捨離だった。

最近ではパッケージソフトを買うことが少なくなったものの、それでも生まれてこの方買い続けたゲームの山は果てしなく積み上がり、どこに何があるやらわからない状態が長く続いていたのでこの際すっきりさせることにした。

手放すゲーム

・10年後を想像して絶対やらないもの

・面白くても思い入れが薄いもの

クソゲー

残しておくゲーム

・10年後にやらないかもしれないけど、それでも残しておきたい思い入れが強いもの

・面白くて思い入れが強いもの

・クリアしてなくて未練があるもの

 

だいたいこんな指針で手放すゲームを決めることにした。面白いけど、とはいえ思い入れが薄いものはこの際ばっさり手放すことにした。『街』とか、『キャプテン・ラヴ』とか。面白いけど、きっとやることはないだろう。

というわけで選び抜いた147本、駿河屋に預けてきた。預けた後に、これはやっぱりやめとけばよかった…というのもあるのだが、時間が解決してくれると願いたい。

ちなみに一番高かったのは『ワンダーウィッチプレイヤー』だった。1万円。『ダイシングナイトピリオド』はソフトのみでも1万2千円と言われたが、なんか惜しくなってやめた。

 

数を減らすと、目端が利く。自分の大切なものもより明確に見えてくる。『メタルギアソリッド』、『エースコンバット』、『メトロイド』、『ゼルダの伝説』シリーズは手放せなかった。任天堂プラチナゲームズモノリスソフトナムコ(PS後期~PS2初期)のタイトルもかなりの割合でとってある。このあたりが自分のど真ん中ということなんだろう。

 

だいぶ少なくなり少々寂しい気もするが……それでも残りは176本。これを機に、たまには昔のゲーム機にも火を入れて、好きだったゲームのことを思い出していきたい。

1回10分の宇宙船共同生活シミュレーション『グノーシア』クリアレビュー

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Nintendo Switch用テキストアドベンチャーゲーム『グノーシア』をクリアした。……いやテキストアドベンチャーと呼んでいいのだろうか。特殊なゲームをプレイすると一般的なジャンル付けがあまりに無力に感じる。

このゲームは体裁こそテキストアドベンチャーであるが、プレイ中に想起したのはシミュレーションゲーム高機動幻想ガンパレード・マーチ』だ(ガンパレもシミュレーションと呼んでいいのか悩むところだが)。テキストシミュレーションゲームという造語でも作るのが適切かもしれない。

 

『グノーシア』は元々Playstation Vita用に2019年に発売されたソフトで、今年4月にNintendo Switch移植版が発売された。2019年に今更Vitaで?と思ってVita版には手を出さなかったのだが、数少ないプレイヤーからはとにかく絶賛の声しか挙がらない。どんなものか気になって仕方ないので移植を機にプレイしてみた次第だ。買う前に聞いていた触れ込みは「人狼ゲームを元にしたアドベンチャーゲーム」。

人狼ゲームは本来、正体不明の「人狼」と「村人」に分かれて争う犯人当てパーティーゲーム。1、2度プレイしたことがあるくらいで特別興味を惹かれる題材ではなかったし、それをデジタルゲームにして面白いものになるのか?プレイ前は疑問符だらけだった。

 

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プレイしてみると、確かにゲームの根幹は人狼ゲームだ。ただし設定はSF風味。タイトルにもなっているグノーシアは、いわゆる「人狼」のゲーム内での呼称。プレイヤーは乗員(村人)として、時にはエンジニア(占い師)、ドクター(霊能者)など力を借りながら、村…ではなく宇宙船内に潜むグノーシアを見抜いてコールドスリープして(吊るして)いく。過半数がグノーシアになったら乗員側の負け、逆にグノーシアを全員コールドスリープすれば乗員側の勝利だ。

慣れれば1ゲーム10~15分程度で、プレイ前に乗員数(プレイヤー含めて最大15人)やその内のグノーシア数(最大6人)、プレイヤー自身の役職も自由に変更でき、グノーシアとして殺戮に興じることもできる。

 

これがなんでそんなに絶賛されるのか、とプレイ当初こそ懐疑的だったのだが、気づくと10周、20周……エンドロールを迎えたときには150周中近くになっていた。

何周遊んでも苦にならないのはひとえにキャラクターの魅力だろう。SF少女漫画風のキャラデザが良いとか、ループの先を目指す壮大なシナリオが良いとかではなく(いやもちろんそれらも秀逸なのだが)、何せ人狼ゲーム中の各キャラの挙動が良い。

 

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始めたばかりの頃は、なんで勝ったのか負けたのかもわからないままもやもやとするばかり。それがゲームに慣れてくるとそれぞれの発言、行動から「このキャラは嘘が下手」「人に媚びて平気で嘘つく」「論理的だけど信用されない」「助かるためには土下座も厭わない」など性格が見えてくる。

キャラクターも周回が進むごとに極端な行動をとりだし、より性格付けがはっきりしていく。はっきりしてくるとキャラクターの動きが読みやすくなり、「こいつとこいつは裏で手を握ってるな」「この発言は嘘じゃないな」というのが分かってくる。目に見えないパラメータをだんだんと手の内に掌握し、コントロールしていく感覚、とでも言えばいいだろうか。

 

そこで思い出したのが前述の『高機動幻想ガンパレード・マーチ』だ。熊本の学校を舞台にしたこのゲームは、毎日学校に通いながら同級生たちと友情や恋愛を育み、時に戦地に赴き死闘を繰り広げるという自由度の高いシミュレーションゲーム。とりわけ同級生たちの自由なふるまいが面白く、まるでゲームの中に生きているかのような錯覚を覚えるものだった。

『グノーシア』はテキストアドベンチャーだが、プレイ感は『高機動幻想ガンパレード・マーチ』に通ずるところがある。人狼ゲームを繰り返しているだけなのに、それが14人のAIとのかけがえのない数日間の共同生活を過ごしている気分になってくるのだ。

なおこのゲームで機能しているのはAIではなく「アフォーダンス」というらしい。詳しくは下記インタビューを参照のこと。

jp.ign.com

 

長い共同生活を過ごしていると時には単調な展開が続いてダレることもあったが……それはそれで『シュタインズ・ゲート』や『涼宮ハルヒの憂鬱』の無限ループをリアルに味わっているような妙な感覚もあり、苦しい時期も良い思い出になった気がする。

そう、今はもうエンディングを迎えてしまったのだ。楽しかった思い出と、大きな喪失感が胸に去来している。なるほど絶賛されるのも納得である。

 

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このゲームを遊ぶにあたって「人狼ゲーム」は入り口の一つすぎない。内容的には『シュタインズ・ゲート』に代表されるループもののゲーム/アニメ、世界観的には萩尾望都手塚治虫といった古典SFが好きな人に特におすすめだ。

『グノーシア 』は14人のキャラクターとの忘れられない思い出作りを楽しめる新感覚ゲーム。ぜひ多くの人に遊んでもらいたい。

 

グノーシア|NintendoSwitch版公式サイト

FF13ティザートレーラーの実現化とコンフリクト――『ファイナルファンタジーⅦリメイク』クリアレビュー

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ファイナルファンタジーⅦリメイク』(以下FF7R)をようやくクリア。タイムは43時間。PS版『ファイナルファンタジーⅦ』(以下FF7)の序盤――ミッドガル編までのストーリーをリメイクした内容だと事前に聞いていたのでここまでの大ボリュームだとは思っていなかった。長く楽しめた一方、このボリュームこそが『FF7R』の優れた演出のパワーを削いでしまったように思う。

 

  • FF13ティザートレーラーの呪いとその実現化

『FF7R』の最も気に入っている点は戦闘時の演出だ。

そもそもファイナルファンタジーというシリーズはゲームという媒体で物語を如何に表現するかという点で長年挑戦し続けてきた。戦闘中にセリフを挿入し、召喚獣をど派手に呼び出すなど様々な工夫を続けるなか、プレイヤーに特別な衝撃を与えたのが『ファイナルファンタジーFFXIII』(以下FF13)のティザートレーラーだった。

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2006年のE3(14年前!)で発表されたこのトレーラー内の、カットシーンなのかプレイアブルシーンなのか判別できない流れるような戦闘演出は次世代のゲームを予感させるのに十分すぎるものだった。しかしあまりに先駆的だったためか、実際の『FF13』では実現されなかったのだが……。

そして時は流れ『FF7R』では、このなんちゃって演出を完全に実現。派手な敵登場カットシーンからそのままに戦闘へ移行し、特別な攻撃演出や敵の形態変化も流れるようにバンバン挿入。これが1度や2度の特別な演出ではなく、何十回も出くわすもはや当たり前のものなのだ。

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『FF7R』の野村哲也ディレクターの携わった過去作品(『キングダムハーツ』シリーズや『ファイナルファンタジーXV』)でもこのカットシーンとプレイアブルシーンの一体化には長年挑戦し続けてはきたが、14年の時を経てようやく完成形になったと思うと胸が熱くなる想いだ。

 

  • 演出とボリュームのコンフリクト

ただ、このバトル演出とカットシーンの美しい連続性に水を差すのが、度々挿入される水増し要素だ。FF7』では10時間にも満たなかったミッドガル編を1本のゲームに仕立てるためか、『FF7R』は幾度となく原作にはなかった脱線をしながら物語が進行していく。

序盤のジェシーの両親を訪れるシークエンスはまだ良い方で(ジェシーがかわいいので)、幽霊を昇天させるだの、逃げたコルネオを追っかけるだのといった長時間の寄り道で、危機感ある物語が弛緩していく一方だ。

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幽霊退治の一幕。このパートいる?

またダンジョンがいちいち複雑化しており、あっちのスイッチを押しこっちのスイッチを押し、と行ったり来たりを繰り返すこと多数。終盤、もうすぐクリアだと意気込んで新羅ビルに突入したのに、ダンジョン化した北条の研究室内を行き来しているときは本当にゲンナリしてしまった。

 

  • 気持ちよくないバトルバランス

バトル演出自体は大変気持ちいい反面、バトルバランスが気持ちよくないのも問題だ。

今回はバトルシステムがガラッと刷新されており、アクションバトルとコマンドバトルの良いとこどりとなっている。敵の攻撃を避けつつ通常攻撃(□ボタンを連打)でATBゲージ貯める→貯まったらアビリティor魔法を発動、という繰り返しが基本の動き。アビリティor魔法の選択時は時間が止まるのでじっくり考えながら行動を選択できるので、ここはコマンドバトルっぽさがある。

この流れ自体は面白いアイデアなのだが、バトルバランスがなんとも気持ちよくない。何せ通常攻撃は非常に微弱で、序盤から終盤まで通して2桁台の攻撃しか与えられない。対するアビリティ・魔法は3~4桁台。序盤~中盤の雑魚戦こそ気にならないが、ボス戦や終盤の敵は4桁5桁が当たり前。通常攻撃をいくら繰り返しても微動だにしない壁を殴っているかのようで、完全にATBゲージを貯めるための手段にしかなっていない。

難度もかなり高めで、ゲームオーバーになった回数は数知れず。本作は敵の総数が決まっているため、レベルを上げて物理で殴る作戦は無効だ。知恵とテクニックが必要なゲームは好きではあるが……、少々やりすぎに思う(とはいえイージーモードもあるので、アクションが苦手な人もご安心を)。

 

  • まとめ

そんなわけで手放しでおすすめできるゲームではない。本作だけでストーリーは完結しないし、そのくせ水増ししているから冗長で、バトルは気持ちよくない。

けれども最初から最後まで、バトル演出とカットシーンは途轍もなくかっこいい。投入されている技術も、制作規模も、業界トップクラスなのは間違いない。最新のすごいゲームを味わうのにこれ以上のものはそう無いだろう。

そしてストーリーは、非常に意味深だ。序盤から出てくる旧『FF7』には存在しない謎の存在"フィーラー"は終盤にかけて存在感を増していき、物語は謎を残しつつ一旦の幕を引く。本作単体で見たときには旧作からの物語上の決定的な変化があるわけではないが、もしかしたら次作以降、カミーユが壊れない『新訳Ζガンダム』のように、トウジが死なない『新劇場版ヱヴァンゲリヲン』のように、何かが起こるのかもしれない。

その時をリアルタイムで迎えることを考えれば、完結してから一気にやるなどと言うものではない。そもそも10年先に完結しているとも限らない。何せ『キングダムハーツ』は3部作完結に17年も要したのだ。この先のお祭りに参加したいなら、今すぐに遊ぶことをおすすめしたい。

 

 

 

『攻殻機動隊 SAC_2045』感想――期待される「SACっぽさ」は描かれたのか

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4月23日16時より、NETFLIXにて『攻殻機動隊 SAC_2045』全12話の配信が始まったので早速視聴。配信前に見た予告映像により期待値は下がっていたのだが……、実際見てみると意外や意外、これがかなりの面白さ。

ただし「SACっぽさ」が出てくるのは7話以降。1話だけで判断しないよう注意が必要だ。


『攻殻機動隊 SAC_2045』TVCM 30秒 - Netflix

 

まずは『攻殻機動隊SAC_2045』の位置づけについて紹介したい。攻殻機動隊士郎正宗による原作漫画から始まり、映画、TVアニメ、実写映画、ゲーム、スピオンオフ漫画などが入り乱れており全てを網羅している人は稀だろう。とりあえず本作は神山健治監督によるSACシリーズの最新作、ということだけわかっていれば良い。

もちろんこれまでのSACシリーズを見ているにこしたことはないが、前作からは作品内の時間が大きく経過しているからか過去の事象にはほとんど触れない。本作から入っても問題はないだろう。

【ざっくりとした攻殻機動隊各ユニバースの流れ】※[]内は作中の年代

士郎正宗漫画:(紅殻のパンドラ)→攻殻機動隊[2029年]→攻殻機動隊1.5→攻殻機動隊2(2035年)→(アップルシード[2127年])

押井守映画:攻殻機動隊[2029年]→イノセンス[2032年]

神山健治アニメ:(東のエデン[2010年])→攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX[2030年]→攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG[2032年]→攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society[2034年]→攻殻機動隊 SAC_2045[2045年]

黄瀬和哉アニメ:攻殻機動隊 ARISE[2027~2029年]→攻殻機動隊 新劇場版[2029年]

 

  • 「SACっぽさ」

さて『攻殻機動隊SAC_2045』は派生作品の中でも1、2を争うほどの絶大な人気を誇る人気シリーズSACの最新作。シリーズファンからすると気になるのは「SACっぽさ」だろう。「SACっぽさ」とは端的に言うと1話完結の刑事ドラマみたいなやつである。こういうのはそもそもアニメ作品には少ないので需要が高く、なおかつSACで描かれたドラマはかっこいいアクションから泣ける人情もの、哲学に社会風刺などバラエティー豊かで品質も高く、そこが人気のポイントだったように思う。

そこで本作だが、正直6話まではSACっぽくない(笑)。傭兵稼業に身をやつした草薙素子たち元9課メンバーが砂漠でドンパチしてヒャッハーなハイテンションから始まる6話連続のドンパチものである。声は同じであれど大きな見た目の変化(ツルっとしたルックの簡素なCG)もあり、違うシリーズを見ているようである。何っぽいかというと、神山健治監督と共同監督してクレジットされている荒牧伸志監督の『アップルシード』シリーズのノリである。『アップルシード』も少しはかじっている身としては、「こういうのも士郎正宗世界だし全然アリ。新しいことに挑戦してるじゃん」という気持ちと「こういうのは他でやってくれよ」という二つの気持ちがぶつかり合いながら見ていた。

しかしそれが7話以降、舞台を日本に移すと一変する。事件の核心「ポストヒューマン」を追う1話完結の刑事ドラマが始まりこれがなんとも「SACっぽい」! いやあやっぱりこういうのが見たかった。銀行強盗のじいさんらとバトーが丁々発止する第7話はなんだか往年の押井守の短編を見ているかのようだし、謎が謎を呼ぶシマムラタカシ(CV.林原めぐみ)を巡る第11話、12話は夢中で見てしまった

話が面白いと気になっていたCGの見た目も気にならない!……かというとやっぱりそこは気になる。『スパイダーマン:スパイダーバース』を引き合いに出すのはずるいかもしれないが、それにしても『宝石の国』、『ドロヘドロ』を経た2020年の日本のアニメである。もっと表情豊かにできないものか。もっと快楽度の高い映像表現ができないものか岡村天斎(『ウルフズレイン』監督)や宮地昌幸(『忘念のザムド』監督)など実力派演出家のコンテ回は見所も多いものの、今のままでは表情の乏しい役者の実写芝居を見せられているようである。過去作から見劣りするその点は唯一の、大きな不満である。

 

  • まとめ

本作は12話まで配信されたが、物語は大きな謎を残して突然終わりを迎える。こんな終わり方あるかよ!と言いたいところだが、すでにシーズン2の配信もアナウンスされているので安心だ。

とにかく7話以降はかなり「SAC」しているので、1話だけ見て「なんか期待してるのと違う」と言って切らないでほしい。7話からが本番である。気になるCG表現の飛躍はシーズン2に期待しよう。

とりあえずシリーズファンなら必見の出来。東のエデン』劇場版から『009 RE:CYBORG』、『ひるね姫』と「こんなん求めない!」と叫びつつも付き合ってきた辛抱強い神山健治ファンとしては、往年の勘が戻ってきたかのような出来に泣いて喜びたい気分だ。

 

攻殻機動隊 SAC_2045 公式サイト


『ジャストダンス2020』で世界のみんなと運動不足解消を

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『フィットボクシング』、『リングフィットアドベンチャー』と人気フィットネスゲームが続くNintendo Switch市場に第三のフィットネスゲームが登場した。『ジャストダンス2020』だ。

フランスのUBIソフト開発のジャストダンスシリーズの歴史は古く、1作目が発売されたのは2009年。以降毎年発売されている世界屈指のフィットネスゲームだ。日本でもWiiWii U任天堂から3本、レベルファイブから1本ローカライズ版が発売されているので見知っている人も多いだろう。Switch版は日本未発売ながら海外では既に4本発売されており、その4本目が今回日本でも発売された形だ。

私は出不精のくせに一人では筋トレも続けられない意識の低さなので、自発的に運動したくなるフィットネスゲームが大好物。過去作もわざわざ輸入版を買って毎日のように遊んでいたほどだ。なのでようやくこのシリーズが日本でも改めて遊ばれる機会が訪れたのには嬉しい限り。

 

ジャストダンスシリーズの特徴は「簡単」で「沢山の曲」が遊べるダンスゲームというところだ。

操作方法は、片手にJoy-Conを持ってモニターに映るお手本と同じ動きをするだけなので誰でもすぐにプレイ可能。

パッケージ収録曲数は30曲程度とそう多いわけではないが、オンラインにつなぐと過去作に収録されていた500曲以上の楽曲が追加される。この追加楽曲は月額費がかかる有料制ではあるが、30日間は無料なので買ってすぐは気にせず遊ぶことができる。

パッケージ収録曲の中ではアナと雪の女王2』の「イントゥ・ジ・アンノウン」がとりわけ馴染み深いか。その他の新曲は知らない曲ばかりだが…とはいえ洋楽のトレンドを知る機会になるのでそれもまた楽しい(日本発売の過去作のようにJ-POPは収録されていないのでそこは要注意)。

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Queen「Don't Stop Me Now」

追加楽曲は500曲もあるので洋楽に疎い私でもさすがに知っている曲がいくつかあり、とりわけ耳馴染みのあるQueenABBAの楽曲が複数収録されているのは嬉しいところだ。

『アナ雪2』意外のディズニー楽曲も多数収録されており、定番の『リトルマーメイド』、『アラジン』から新しいところでは『モアナと伝説の海』、『リメンバー・ミー』、もちろん『アナ雪1』まで入っているのでお子様も安心。

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The Bangles「Walk like an Egyptian」

個人的にはTVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダーズ』のED曲にも採用された「Walk like an Egyptian」にはオタク心をくすぐられる。

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初音ミク「PoPiPo(ぽっぴっぽー)」

また洋楽一色の中で異彩を放つのが初音ミク。彼女にとってもはや国境は関係ないということか。

 

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一番好きなのはオンラインモード対戦モード「ワールドダンスフロア」。ここではノンストップで全世界のプレイヤーとダンス勝負ができる。一曲ごとに世界ランキングまで表示される。

自動 or 2択投票で楽曲が決まるので大量の曲から選ぶ手間がないし、何より世界のみんなと頑張ってる感が楽しい。外に出ても不安になるこんな時だから、せめて家の中では楽しく体を動かしていたい。

 

『GのレコンギスタⅡ』「ベルリ撃進」公開初日レビュー

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劇場版『GのレコンギスタⅡ』「ベルリ撃進」が本日2月21日より公開された。早速チネチッタ川崎のLIVE ZOUND+4Kレーザーにて観賞した。

本作は2015年に放映されたTVアニメ『ガンダム Gのレコンギスタ』の劇場用編集版の第2作目。1作目の『GのレコンギスタⅠ』は以前当ブログでも紹介した。

元気のGは幾千年の未来から 『GのレコンギスタⅠ』「行け! コア・ファイター」 - ゲーマーズライフ

 

今回の映画ではTVアニメ版第6話の宇宙空間でのデレンセン教官との死闘からはじまり、第7~8話の海洋戦、第9話のキャピタルテリトリィへの帰還、第10話のベッカー大尉との夜間戦、そして第11話の再び宇宙でのマスク戦まで、全6話分の内容を1本の映画としてまとめている。

なお第10話について語ったコンテ担当の荒木哲郎(『進撃の巨人』監督)と富野総監督の対談は必読だ。

Gのレコンギスタ:富野由悠季×荒木哲郎再び 総集編は「ニュートラルにやらないと破綻する」 ネット依存に警鐘も - MANTANWEB(まんたんウェブ)

 

まとめかたとしては第1作目同様、主にTV版で不評の大きかったドラマパートに厚みを持たせることでキャラクターの心情をよりわかりやすくし、MS戦は細かいカットの追加・差し替えによりグレードアップしている。
全5部作を予定しているため全体尺がTV版とさほど変わらないということもあり、劇場版『機動戦士ガンダム』や『機動戦士Zガンダム』のように大幅にカットされたパートはなく、TV版の語り直し・別解釈という感覚で見ることができる(それゆえ明確な起承転結がないのが映画として見たときの弱点ではある)。

 

第1作目との大きな違いは、まずはDREAMS COME TRUEによる主題歌「G」の存在だろう。
前作はTV版と同様のOP・EDテーマが付いていたために映画としての匂いに乏しいのを残念に思ったものだが(どちらも大好きな曲とはいえ)、今回はOPアニメーションを廃し、新規ED主題歌がついたことでより映画らしくなった。
なぜ前作からこれをやらなかったのかという疑問は残るが、それはさて置き。MVも非常に良い。


DREAMS COME TRUE - 「G」

ドリカム中村正人と富野総監督の対談も読むべし。

DREAMS COME TRUE「G」×劇場版「Gのレコンギスタ」特集|中村正人(DREAMS COME TRUE)×富野由悠季総監督対談|子供たちの今と未来に願いを込めて - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

 

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また新規カットが序盤から非常に多いのも好感触だ。前作は元になったTV版1話の出来が良かっただけに、冒頭1分を越えるとまとまった新規カットがなかなか出てこずにヤキモキさせられた。
今作ではのっけからメガファウナ艦内の新規カットを配し、デレンセン教官戦はTV版没カット(Gセルフの盾アタック)が復活して完全版となり、その後のベルリの悲痛な心情を描くカットまで追加されたことでTV版6話相当のパートが厚みを増している。

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特にTV版デレンセン教官戦は大事なカットが欠けているせいでとても見づらくなっていると常々感じていた。せっかく劇場版をやるなら絶対に直してほしい!というこの願いが天に届いていたようで本当に良かった。

 

その他かなり分量の追加・差し替えカットがあるが、前作のように「物語をベルリ&アイーダに寄り添うからクリム・マスクの名場面は削除!」という無慈悲なことはなく、各キャラ万遍なく活躍の場が用意されている印象(まだ細かい比較を行っていないのであくまで印象だが)。前作はそれゆえに見やすくなっていた面もあったが、群像劇な本作の方が"Gレコらしい"とも言えるだろう。

ただし前作はキャピタルVSアメリアという2項対立として見れたのでまだわかりやすかったのが、本作は4つ巴の大混戦。

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物語から振り落とされないようパンフレットなどでの予習を推奨したい。

 

その他ちょっとしたこと。

LIVE ZOUND+4Kレーザーは音に厚みがあって映像がとてもクリア。とはいえドルビーシアターやIMAXほどの圧倒的な感動は正直なところ感じられなかった。もし近くにお住まいなら推奨、という程度。

・今回新規グッズとして書籍「Gレコのひみつ」(500円)が登場した。わかりにくいことでおなじみのGレコ用語の解説+おまけ漫画集。TV版当時からファンアートを書いていたKEI-CO氏(最近ではいだてんのファンアート「絵だてん」おなじみ)の描きおろしイラストも掲載。

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TV放映時からこういう解説を公式が進んで提示していたら振り落とされる視聴者も減ったろうにと思っていたので、こういうグッズは良いと思う。パンフレットが2200円と高額だし(値段分の価値ある高クオリティなのだが)。
ただこの内容をパンフレットに収録できなかったのか、解説ならいまどきは有料のグッズじゃなくてYouTube動画ぐらい作れないのか、とか色々思うところはある。

 

舞台挨拶に行ったら何か書くと思うので、いずれまた。