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エヴァに振り回され日記② 福岡・「エヴァンゲリオン 使徒、博多襲来」編

前回0706作戦に参加した顛末をレポートしたが、実は遡ること6月からエヴァンゲリオン(とゴジラ)に振り回されて西へ東へと行ったり来たりだった。覚えているうちに福岡、そして大阪のこともレポートしておく。

 

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6月に「富野由悠季の世界」展のため福岡に飛んだのは以前書いたとおりだが、実はもうひとつの目的が「エヴァンゲリオン 使徒、博多襲来」を見ることだった。

キャナルアクアパノラマ第10作「エヴァンゲリオン 使徒、博多襲来」6月1日(土)公開 | CANAL CITY HAKATA

これは博多駅からほど近い総合ショッピングエリア キャナルシティ博多の、噴水とプロジェクションマッピングを駆使した上映イベントの最新コンテンツで1日に2~3度、無料で公開されているもの(スケジュールは時期により異なる模様)。

制作をメインで手がけるのは新劇場版のスタジオカラー、ではなくスタジオQ。カラーが九州に設立したCGスタジオ初の作品ということで、どういった映像になるのか非常に気になり生で見たかったのだ。

肝心の内容はというと…シン福岡市に襲来した第4の使徒サキエルエヴァンゲリオンが戦うというなんちゃってIFストーリー。なんといっても劇場版クオリティで描かれる全編CGの新作エヴァストーリー、そしてエヴァ初号機、弐号機、零号機のみならず8号機が共闘するのが最大の魅力。これまでの新劇場版では見ることができず、おそらく『シン・エヴァンゲリオン』でも見ることができないゴールデンメンバーだろう。彼ら彼女らが異常に強いサキエルを迎え撃つ!負けるなエヴァ!頑張れエヴァ!博多の未来は君たちにかかっている!

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10分に満たない全容はぶっちゃけYoutubeなどでも確認することはできるが(現地では「長時間の撮影は禁止」という言い回しだったのが規制する気もないのだろう)、向かいのホテル壁面を利用した大パノラマと噴水の見事な演出と迫力はPC・スマホじゃ全く伝えられないので、これから福岡に行く機会があるという人はぜひ現地で確認してみてほしい。

 

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なおエヴァンゲリオンの上映前後にはインベーダーとゴジラの上映があり、特にゴジラは楽しみにしていたのだが……不運にもどちらも機材トラブルが発生。観客のスマホと連動してインベーダー/ゴジラと戦う演出がまるまるオミット(画面中央が映らない!)でなんとも寂しい形に。

幸いエヴァンゲリオンには連動演出がないので行けば必ず見ることができるはず。とはいえいつかは上映期限が来るだろうからスケジュール確認は忘れずに。

 

次回はラスト、大阪USJ編。

 

エヴァに振り回され日記① 東京・『シン・エヴァンゲリオン劇場版』0706作戦編

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この数日間フランスはパリで開催されたJAPAN EXPOに、というか概ねエヴァガンダムの新情報に遠く離れた日本から気持ちを割いていたのだが、特にエヴァについては同時開催された日本国内でのイベントに参加できたのでその内容を書いておく。

 

ちなみにガンダムについては、劇場版『ガンダム GのレコンギスタⅠ 行け!コア・ファイター』が超先行公開された。日本国内では今冬公開なのに。ずるい。見たい。福岡市美術館でもこの夏先行公開予定であることは先日のイベントレポートにも記載した通りだが未だ詳細不明である。Gレコの国内プロモーションの遅さには参ってしまうがこれから何とかしてほしい。

Gレコの新規映像は7/5に公開されたこのPVでわずかに見られる(36秒~)。ガンダムの瞳(?)の表現にこだわりを感じる。

youtu.be

劇場版Gレコの内容についてはこちらの現地レポートがくわしい。英語だが、Google翻訳に突っ込めばだいたい読める。TV版1~5話の内容に沿いつつ、分かりやすくなるよう、テーマが明確になるようかなりいじっているようだ。期待通り。早く見たい。

nekketsunikki.com

Q&Aセッションの内容もまとめてくれている。神か。

nekketsunikki.com

公式レポートはこちら。

www.gundam.info

 

ガンダムの話おしまい。エヴァの話に戻る。

"『シン・エヴァンゲリオン劇場版』0706作戦"と銘打たれ発動した今回のイベントは、JAPAN EXPOでシン・エヴァの冒頭10分がお披露目されるにあたって、日本各地および上海でも開催時間の20時15分から同時に見ようという前代未聞のイベント。LINE LIVEでの配信も行われたのでイベント開催場所にわざわざ行く必要は実のところなかったのだが、お祭りごとは最前線で楽しみたいので現地参加してみた次第。

しかしこのイベント、現場での混乱を減らすために日本国内の開催場所は当日昼12時までシークレット。しかも開催場所によってレギュレーションが異なり、都内の開催地2か所(新宿シネシティ広場・ミッドタウン日比谷前)では14時から整理券を配布することが告知されたので着の身着のままで飛び出して日比谷に向かった。

https://twitter.com/operation0706/status/1147356359488184321

現地に着いた13時ごろの時点で既に100~200人ほどの列。エヴァ公式アプリの画面を見せるのが配布条件だったためスマホの電池残量にヒヤヒヤしたが、なんとか持ちこたえてくれて無事整理券ゲット。最終的には日比谷だけで1300枚の整理券を配り切ったようだ(新宿は850枚)。傘の使用禁止というアナウンスに不安を覚えつつ一時帰宅。

 

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そして集合時間の18時30分に合羽持参で再びミッドタウン日比谷。待機列から19時ごろにはモニタ前に移動となったが、このモニタが小さく、設置位置も低いことが発覚。1300人をカバーできるように最前と中間地点とに2枚設置されていたが、前に立つ人の頭がどうしてもかぶってしまう。座れればまた違ったであろうが、開催側の雨の心配をしてか最後まで立たせっぱなし。昼の整理券配布待ち時間も長かったので足にくる…。新宿はデカいモニタを高い位置(しかもミラノ座跡地!)に設置していたようなので判断ミスをちょっと後悔。まあかなり前方で見れたので良しとする。後方の人は大変だったと思う。暑さを心配してか水の配布もあったが、幸い涼しい中で見る事ができた。

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エヴァ

 

19時20分ごろからは告知映像集をリピート。にゃんこ大戦争エヴァコラボには笑いが起こったりもしたが何周もリピートされると流石に飽きてくる…がようやく20時ごろからは先日エヴァアプリ内で公開された過去作のダイジェスト映像集が流れる。これがまたよくできてるので信仰心が回復。

そしてついに20時15分。イベントスタート!高橋洋子さんのライブからゲスト緒方恵美さんのトーク庵野秀明監督のビデオレターと徐々に盛り上がりつつ、21時になり待ちに待った冒頭映像公開へ。

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この辺りは実際の映像を見てもらうのが良いだろう。LINE LIVEでは現地中継映像が全編公開されている(7月8日現在)。

live.line.me

当日は三脚の使用こそ禁止されていたが録画は禁止されていなかった。どんどん拡散してくれという方針なのだろう。YouTubeに上がってる中だとこれがなかなか見やすい。LINE LIVE版よりも色味が実際に近い。

youtu.be

 

今回公開された映像は、マリの搭乗するエヴァンゲリオン8号機β臨時戦闘形態と、冬月が差し向けたとされる新型エヴァとの市街戦が描かれるというもの。迫力ある"操演風"戦闘シーンに「庵野さんの撮るアクションシーンはやっぱすごいわ~」と見惚れていると、終盤になり赤い地上が本来の色を取り戻す衝撃的シーンが展開され会場全体からはどよめきが起こる事態に。これはやはり破~Q間のサードインパクトで2つの世界が重なってしまったことを示唆しており、シンは破の世界を取り戻す話になるのだろうか。

2世界説についてはこちらの解説が詳しい。

moon.ap.teacup.com

 

なんとか天気も持ちこたえ、冒頭映像も前向きな物語を予見しているようで非常に満足いくものだった。前代未聞の全世界同時/冒頭10分公開イベントは大成功、というところだろう。グルグル8号機を買って来年の本編公開を待ちたい。

 

今回のイベントレポートはこれにて終了だが、先日福岡、大阪のエヴァイベントにも参加したのでこちらも引き続きレポしたいと思う。

富野由悠季とは何者なのか?ー劇場版『Gレコ』や新企画の情報も飛び出した『富野由悠季の世界』オープニング記念トーク&展示会レポート

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祇園山笠の準備でにわかに活気付く博多駅前ーそこから電車で15分とほど近い福岡市美術館にて、巡回展『富野由悠季の世界』が6月22日より始まった。幸運にも応募倍率6倍にもなったというオープニング記念トーク富野由悠季とは何者なのか」に参加することもできたので、展示内容と併せてこちらの内容も紹介する。

 
富野由悠季の世界』について

まず『富野由悠季の世界』について紹介する。これは『機動戦士ガンダム』をはじめ、多くの作品を手掛けてきた日本を代表するアニメ監督・富野由悠季の担当作品を網羅した初の展示会である。福岡を皮切りに兵庫、島根、青森、富山、静岡と今年から来年秋にかけて日本各地での開催が予定されている(今のところ東京での開催予定はないので注意)。

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ダイターン3がお出迎え(展示場内は撮影禁止)

代表作『機動戦士ガンダム』こそ『機動戦士ガンダム展』(2014~2015年に開催)にて現存する多くの資料が公開されたが、今回は監督の真骨頂である"ガンダム以降"のあまり陽の目を見ない作品や、初公開資料の展示が多くを占めている。膨大な展示数はその数なんと3000点。もともと2時間ほどの観覧を予定していたのだが全く時間が足りず、翌日さらに5時間滞在したほどだ。これから観覧を予定している方は朝から夕方まで丸一日使うつもりで行くことをお勧めする。

展示内容は作品紹介に留まらない。こうしたアニメ関係の展示会でありがちな作中で使用した原画展示はむしろほとんどなく、大半を占めるのが富野直筆の企画資料やラフデザイン、デザイナーとのやりとりを記したメモ、そして膨大な絵コンテだ。特に絵コンテはモニターに映される当時の映像と比較しながら見る事により、大胆で的確な富野の演出意図に気づかされる。時に"絵が描けない"などと言われる富野だが、実はその非凡な発想力に筆が追いつかないだけで、脚本、キャラクター、メカ、美術―作品を構成するあらゆるものに目を走らせ、各部門と密接に連携しながら意図した画面を作り上げきた映像作家としての自負が、その膨大な資料からうかがい知れる構成になっている。

 

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逆シャアの絵コンテは必読(図録より)

また作品を彩ってきたポスターやジャケット原画の展示もあり、特に安彦良和安田朗の油絵は見所。できれば図録でも読むことができる濃密な作品解説は後にまわして、図録ではどうしても小さくなってしまう安彦らの原画鑑賞やコンテ&映像展示(逆シャア』に限りなんと絵コンテ全編展示!)、図録未収録が多い企画書の読み込み(『Gレコ』企画書には脚本:岡田麿里の記載アリ)、見る機会の少ない貴重なアニメの観賞(『しあわせの王子』『闇夜の時代劇』が全編公開!)に時間を割くべきだろう。

音声ガイドはベルリとアイーダによる富野台詞盛りだくさんの内容なので『Gレコ』ファンは必聴、ファンでなくとも作品解説の補足にぜひ。ベルリの「展示会開催期間中に、僕たちとスクリーンで会えることを期待して待っていてくださいね!」は涙なしでは聴けない。

 

 

オープニング記念トーク富野由悠季とは何者なのか?」

ここからは書き留めたメモを元に講演会の様子を紹介する。なお富野語を再現できずに要約していたり不足している箇所も多々あると思うが、ご容赦願いたい。

・開会のことば

(幕が左右に開くと2枚重ねの座布団に正座する富野)

富野由悠季(以下 富野):富野が主役なのにゲストとして呼ばれるのはおかしかろう、ということでこういう形で始めさせていただいきました。これからゲストとして展示会の企画チームをお呼びします。彼らがいたおかげで今回の展示会が開かれたましたが、私は一切感知しておりません!

(ここで各美術館の学芸員の方々が入場し自己紹介&展示担当作品を紹介)

山口洋三(以下 山口)…福岡市立美術館/担当:学生時代、『ガンダム』、全体の調整

村上敬(以下 村上)…静岡県立美術館/担当:『キングゲイナー』、『ガンダムF91』、『Vガンダム

工藤健志(以下 工藤)…青森県立美術館/担当:『イデオン』、『ザブングル』、『ダンバイン』、『Gのレコンギスタ

岡本弘毅(以下 岡本)…兵庫県立美術館/担当:『ライディーン』、『ラ・セーヌの星

小林公(以下 小林)...兵庫県立美術館/担当:『ガーゼィの翼』、『リーンの翼』、『∀ガンダム』、『リング・オブ・ガンダム

川西由里(以下 川西)…島根県立石見美術館担当『Zガンダム』、『ガンダムZZ』、『劇場版Zガンダム

 (富山県立水墨美術館の若松基は欠席。担当は『逆襲のシャア』、『ブレンパワード』)

 

・各々の感想

(以降は山口が司会を担当)

――監督の感想は。

富野:やってもらって良かったです。スタジオにしかないものが美術館に並べられることで今まで気づかなかった発見があったから。奴(富野)は今こうなんだと、劣化の歴史がわかる。ここに来るまではこいつら(企画チーム)を罵ってたんだけどね(笑)。

――展示内容をお任せすると監督に言われたことの重さを強く感じました。各担当者からもお願いします。

小林:大きな仕事をされた方なので、とにかく資料が膨大でした。また今回は担当者ごとに作品を振り分けたので、他の6人との勝負。私が担当した『∀ガンダム』は展示後半になるためセオリー通りだと不利と感じて、油絵を頭に持ってくるという構成にして変化球を狙ってみました。

富野:そんな理由を並べるんじゃなくて、『∀ガンダム』だから当然油絵からはじめましたって言ってればいいのよ!

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安田朗の油絵(図録より)

 

川西:概念の展示は可能かという宿題に悩みましたが、いつも通りの展示をこころがけることにしました。メカは苦手なのでどう解釈をすればいいかと悩みましたが…監督のメモが残ってるものを中心に展示をまとめてみました。特に印象的なのがガンダムMk2のメモガンダムは好男子!」で、これを見たことでキャラクターが好きな私もガンダムとの距離が縮まった気がしました。

富野:『Zガンダム』はいろんなデザイナーが入った結果、悪相があがってきました。ガンダムはキャラクタライズされてるものだから、本物のメカを作るつもりではいけないよ、という意図で書いたものです。

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ガンダムは好男子!(図録より)


岡本:私は『ライディーン』、『ラ・セーヌの星』を担当しましたが、資料があまり残ってなくて困りました(苦笑)。テレビまんがからアニメへと移り変わる過渡期に富野監督が撒いた種を展示し切れなかったのが、反省点です。

富野:『ライディーン』ではね、ガンテとドローメを出したらテレビ局からクレームが来たんです。メカニカルなものに作り直せと。もう2話まで作ってたから制作費を出せるのか!と喧嘩しました。予定通り活躍していたらマジンガーZくらい有名になっていたはずです。……そういう経緯があるからこれらは未だにデザイナーが不明だったりします。

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ガンテとドローメ(図録より)

 

工藤:私はイデオン直撃世代で、当時高校生でした。月刊OUTで動画マン募集で落ちたりもして……それが今や監督の展示会に関われたのでアガリかなと思っています(笑)。今回は解釈論にはならないように、なるべく見られてこなかった資料を展示するようこころがけました。

ところで監督にお聞きしたいのですが、『Gのレコンギスタ』のイメージボードでは監督ご自身がデジタル彩色に挑戦されていました。なぜPhotoshopを使用されたのでしょうか?

富野:そのほうが早いだろうと思ってやっただけです。少しやってみて、あんまり手間がかかるんでやめました(笑)

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富野とフォトショの邂逅(図録より)

 

村上:私は担当することになった『Vガンダム』のDVDボックス買ったんですが、帯に監督のコメントが書いてあって。「このDVDは見られたものではないので買ってはいけません!」と(笑)。でも決してそんなことはなく、19世紀風の重厚さがある作品と感じました。今回の展示では、カテジナを主人公として見てもらい、復権させたい、そして成仏させたいという気持ちで構成しました。

ところで監督にお聞きしたいのですが、今回図録に「富野自身も毒気に当てられたように消耗し」と書いたところアンダーラインが引かれて監督から戻されました。これはどういう意図だったのでしょうか。

富野:アンダーラインを引いたのはもちろん意味があるからです。カテジナのようなキャラを作るとキャラクターの身体性、霊がよりかかってきます。目が見えなくなる運命を描くというのは、戦死させるよりも消耗するんです。でもそれぐらいしないとお客さんには読み取ってもらえないんですよ。だから誰でも簡単にキャラクターが作れるとは思わないでもらいたいんです。 

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毒気に当てられた富野(図録より)

 

――キャラクターについてもう少し教えてください。『ガンダム』ではブライトとミライが素晴らしいと思いました。監督のキャラクターがバラエティーとリアリティを持ち得た理由を教えてください。

富野:そんなのまぐれ当たりです。わかってたら大成しています(笑)。『ガンダム』がうまくいったのは、アムロの父をああいう風に設定したからです。ブライトとミライの関係が良いというが、あれはステレオタイプで、むしろうまく書けたと思ってるのはカムランとミライですね。

――そういったキャラクター造形は、高校時代に書かれた散文などからはとても飛距離を感じますが。

富野:それは絵空事、メディア媒体に見合うものを作ってきただけのことです。メカやギミック、巨大ロボを黙らせるためには人間ドラマを構成して足場を組まないといけません。必要なのは18メートルのロボを立たせるだけの、絶対的で過酷なドラマ。そこに見合うようなキャラクターをつくればいいだけのことです。バイプレイヤーにならないように"ダーッ!"と属性を重ねれば良いんですよ。

――その"ダーッ!"がわかりません(笑)

富野:例えば『ガンダム』のハヤトみたいなつまらない名前のキャラが操縦者になるというだけでキャラクターになります。設定を全部作りこんでから書くなんてことはしていません。これはどういうキャラクターで……なんて解説は後付けでされてるだけです。

けれど『Vガンダム』のカテジナは最初から設定を決めて、エンディングにもあのように据えました。『Vガンダム』は「俺がやれと言ったことはやれ」という偉いやつがいて…まだ生きているので誰とは言いませんが……それに反発してああいったキャラクターを設定したところもあります。

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学生時代の貴重な作品も多数展示されている(図録より)

 

・コンテについて

――ここからは監督のコンテについて伺いたいと思います。

工藤:監督はよく「顔はマルチョンでいい」とおっしゃっておりますが、『逆襲のシャア』のコンテでは顔を修正までされていましたが?

富野:覚えてるわけないじゃないの。僕の書いた『赤毛のアン』のコンテを高畑勲さんが直されたのだって昨日まで見たことなかったぐらいなんだから。

(この貴重な修正コンテも会場で見ることができる)

 

岡本:ライディーンのOPでは歌詞とコンテのシンクロ具合に工夫を感じました。

富野:OP、EDのコンテはいつも秒数への恐怖観念があります。そのせいで作品理念と合わないことも往々にしてあります。

 

小林:今回の展示では『∀ガンダム』のラスト6分のエピローグを展示しましたが、コンテは映画版、モニター映像はTV版としました。それぞれセリフのタイミングが違う部分があるからなのですが……監督の意図と、この展示構成が正解かどうかを教えていただきたいです。

富野:映画では直後にクレジットを入れるしかないから変えるしかなかったんですよ。……でもクレジットなんて、「次もよろしくね」っていうただの身内への営業論なんです。1分30秒までなら我慢しますが、本当なら3分も5分も入れたくありません。

 

川西:『劇場版Zガンダム』のクライマックスの戦闘シーンに注目しました。当初はTV版の切り貼りを予定されているようでしたが、後になって新たに描かれたコンテは、迫力あるものに変わっていました。そこが比較できるように今回は両方を並べて展示しています。

コンテには「バッと」や「グンと」などの擬音が多く使われていますが、そこはノッて描かれていたのでしょうか。

富野:TV版の映像をまとめるときは、1シーンだけ直すとそこだけ膨らむので、前後との流れを考えて変えるようにしています。ローラーを流してフラットにするという作り方です。このように編集版を作れる性能の良さは、撮り直しができない実写と違うのだから意識しないといけません。

――擬音は言いながら書いているんですか?

富野:僕はそんなに素頓狂ではありません(笑)。口に出すのは素人です。金田(伊功)くんみたいなアニメーターでもスタジオを飛び回ってませんでしたよ。

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迫力が伝わる劇場版Zコンテ(図録より)

 

村上:コンテには監督の書き文字が多く見られます。印象的だったのは「ヒーター座布団」、「お膝」、「シンシアうれしい」、「美しいサンドイッチ」。これは監督なりの演技指導でしょうか。

富野:作家になれなかった怨念です……というよりも形容詞を正しく使いたいからです。アニメーターはどうもアニメと漫画だけで覚えた言葉を書きがちですが、自分の言葉を持たない人にはアニメの世界には来て欲しくないんです。だから彼らが気付かない言葉遣いというのを、面倒でも使っています。

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美しいサンドイッチ(図録より)


・フリートーク

――ここからは自由に質問していただければと思いますが。

小林:『∀ガンダム』のリリについて監督にお聞きしたいです。初期のシナリオ案では番組後半でモビルスーツに乗る予定のようでした。ガンダムの作中でモビルスーツに乗るということは特権的なものと感じていますが、ではなぜリリが乗らなくなったのでしょうか。

富野:スケジュール上とりこぼしてしまったんだろうと……いや思い出してきました。彼女は動かしているうちに強い女になっていると感じて、放任してしまったんだろうと思います。

 

川西:監督の作品では女性が大きなテーマになることが多いと感じています。特に妊娠した女性は特別な力、聖性を持つもののように描かれ、『Vガンダム』では妊娠したマーベットしかシュラク隊で生き残ることができませんでした。一方で近作の『Gのレコンギスタ』では、主人公ベルリのウィルミットが実の母ではなかったことが劇中で判明し、独身の母親というものが描かれました。同じ独身女性としては救われた気持ちですが……監督の女性観に変化が生じたのでしょうか。

富野:母になれない女性を敵視してきたつもりもありませんでしたが……言われてみれば確かに『Gのレコンギスタ』まで描いてこなかったですね。今年公開予定の劇場版『Gのレコンギスタ』でもウィルミットには良いセリフを書いてるなと思っております(自画自賛)。

川西:他にも監督の作品ではバリエーションのある女性が描かれていますよね。個人的にはレコアさんとお友達になりたいと思っています。一緒に呑みたいです(笑)。

富野:レコアさんは、僕も"さん"付けしてしまいます。そういう印象のキャラクターです。

 

岡本:『ライディーン』の企画書にキャラの関係性を重視したと書いてありましたが、どういう意図で書かれたのでしょうか。

富野:そこには作為があったわけではございません。ただ、美形キャラは『ライディーン』で初めて描きました。美形キャラ―プリンス・シャキーンは、市川治さんがハイトーンの声がついたことで肉付けされたキャラクターです。『ライディーン』を通じて、声によって関係性が構築されるということを気付かされたんです。……誰とは言いませんが、「可愛い可愛い」と言い続けたって可愛くなるものではない、ということを知っておいてほしいと思います。

 

工藤:造形のラフスケッチを多く手がけられているのが今回の展示品からわかりますが、立体を把握してないと書けないものばかりです。こういった監督の発想の源はなんでしょうか。

富野宇宙のことを学んだ上で、アニメに落とすということをやっています。例えば『ガンダム』のルナ2やア・バオア・クーは、元々はただの石ころでしたが、それを敢えてわけのわからない形にしました。これは巨大ロボに並べるためにやってること。リアルではないとも言われますが、アニメだから勝手にやってるんです。

Gのレコンギスタ』でも、宇宙エレベーターは定時運行でなければ交通機関に成りえないと思ってそういう設定にしましたし、ワイヤー1本で支えきれるわけないので複線にしました。これは科学者に対する嫌みなんですが……どうやらJAXAから嫌われているみたいです(笑)。でもこういった視点があるから、『Gのレコンギスタ』は10~20年後には顧みられて、人気を得られるはずですよ。

ところで今朝決まったばかりですが……これは言っていいのかな? 8月にここ福岡市美術館で、『劇場版Gのレコンギスタ』を上映することが決まりました。

(突然の発表に驚き沸き起こる拍手喝采

TV版ではSF的な欠落があったことを反省しています。話が、移動場所がわからなくなるということです。これはたまたまTVで007最新作(『007 スペクター』か?)を見て気づいたんですが、街の景色をロングで映すから場所がわかりやすいんですよね。TV版ではエレベーターのどの位置にいるのか、ナット(エレベーターの中継基地)の色が同じだから分かりづらかったと気づきました。劇場版ではそこを大改訂しています。2、3カットの違いでも大きく印象が変わるはずです。

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大きく変わるというナット(図録より)

 

村上:美術館では市場原理に依らず、まだ芸術家として生まれてい人や、とっくに死んだ人を扱っています。そこに通じる『キングゲイナー』、『∀ガンダム』のような芸能、歴史に関わる作品がもっと見たいのですが……今後そういった作品は予定されていますか。

富野"認識力の問題が社会を作っているのか"ということを新企画のために調べ始めました。そこで鎌倉時代の北条政子の資料にあたったところ、どうやら昔の人は血縁関係で周りを認識していたようで、元々が蛮族の関東もそのころから家系図を意識するようになったらしい、ということがわかってきました。爺さん婆さんとひ孫、その間にいる自分、そういう認識です。

ところが近代の私たちは前後三代をも意識しなくなっています。そういった肉親のことを考える想像力がないから、北方四島で戦争をしかけようと言い出す政治家も出てくる。

未来を考える、孫のことを考える。それこそがニュータイプ論でないでしょうか。

これを本日最後の言葉として締めくくらせていただきたいと思います。

  

最後に

今回、飛行機に乗ってまでして福岡まで観覧に行ったわけだが、充実の展示内容は帰りの時間さえ忘れて見入ってしまうほどで、行った甲斐を十二分に感じるものだった。ちょうど今月23日まで開催されていた『河森正治EXPO』のように立体物やメカイラスト展示に特化したものではないので、富野作品をいくつか見ていないことには魅力が伝わりづらいものであろうと思われるが、ガンダムが作られる過程や、監督が具体的に何をしてきたのかが垣間見える展示は、きっと多くの人の胸に刺さることだろう。

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天候にも恵まれた福岡市立美術館。館外には大濠公園が広がっておりロケーション抜群。

地方巡回のみということで特に都内在住者にとっては困難を伴うものではあるが、会期は非常に長いので、観光ついでと思って足を運んでみてはどうだろうか。

なお会場には限定グッズも多く用意されているが、図録のみネット通販受付中だ。会期中に行ける見込みがない人、予習しておきたい人、重すぎて持ち帰れなかった人などはこちらからぜひ購入を。

【予約商品】富野由悠季の世界 | KINEJUN ONLINE

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いつでもどこでも富野とツーショットが撮れるアクリルスタンドは会場限定販売。発想が天才のそれ。

 

原作超えの奇跡体験―映画『海獣の子供』感想

6月7日より公開された映画『海獣の子供』を観賞したらあまりの感動に居ても立ってもいられず気づいたら水族館に来てしまった。

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今回はここ、神奈川県江ノ島新江ノ島水族館からお届けする。

 

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月刊IKKIで連載されていた五十嵐大介による漫画『海獣の子供』を、『アリーテ姫』、『鉄コン筋クリート』のSTUDIO4℃がアニメーション映画化したのが今回の作品。人間関係が思い通りにいかない中学生の少女・琉花(るか)が、ジュゴンに育てられたという2人の不思議な少年・海(うみ)、空(そら)と出会ったことで、謎の隕石、奇妙な魚たちの行動を追ううちに、やがて海で起こる奇跡"祭り"に迫っていく、というのがあらすじだ。

 

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原作は海にまつわる世界中の逸話を挟み、中盤からは事件に関わるキャラクターたちのバックボーンも描くことで群集劇の様相を呈し、それゆえにいつもの五十嵐大介風味というか散文的で壮大に過ぎるところがあったのだが、映画では特に1、2巻のジュブナイルの匂いを大事にし、あくまで琉花の主観を追うことで"ひと夏の経験"としてうまく2時間弱の映像に落とし込んでいる。原作にはなかった琉花の気持ちに寄り添う描写やカメラワークも多く見られ、さすが傑作『ドラえもん のび太の恐竜2006』の渡辺歩監督の手腕を感じるところだ。

とはいえ五十嵐大介の荒々しいタッチをアニメ風にマイルドに、などということにもなっておらず、『東京ゴッドファーザーズ』、『かぐや姫の物語』を手がけたスーパーアニメーター小西賢一総作画監督と、『鉄コン筋クリート』『血界戦線』の木村真二美術監督によりビジュアル面はとんでもないことになっている。 

特徴的な手足の大きい特徴的なスタイルや、まつ毛の一本一本まで描写する精緻な書き込み、荒々しい描線はまさに原作そのまま。美術に目を向けると、ここ新江ノ島水族館をモデルにした劇中の水族館こそ写真と見紛うほどだが、町並みや自然描写は原作よりも南国風味が強調され、非現実感を漂わせている。

 

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そんな渡辺監督と卓越した絵描きたちの力により中盤までは夏の匂いが鼻の奥にツンとくる、どこか懐かしいジュブナイルが展開されるが、終盤の"祭り"描写に至ると一転。宇宙と海の神秘がとてつもないアニメーションの力によりスクリーンを猛り踊り狂う様を固唾を呑んで見守るうちに、頭から足の先まで海の底に引き釣りこまれるかのような異様な体験にただただ唖然とするばかり。例えるなら『ファンタジア』で描く『2001年宇宙の旅だろうか。この点は間違いなく原作5巻で描かれる神秘的描写を大きくアップデートさせたものになっている。

 

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友達との不和から始まる物語の始点と終点こそ原恵一監督『バースデーワンダーランド』にあまりに近い印象があるが、絵の力、そして"祭り"によって連れて行かれる先は『バースデー~』のそれよりもはるか彼方。劇場を出たあともフワフワした気持ちは治まらず、なんだか自分の可能性の蓋を押し広げられたような、世界との距離感が変わったような、そんな気持ちまで抱かせてもらえるものだった。 

"祭り"描写が言葉足らずなためか映画全体を指して理解できないとの感想も多く見られるようだが、物語を注意深く追っていさえすれば"祭り"の意味はわかるもの。そしてそれよりも全神経を傾けて音と映像の洪水に身を任せることこそ、この映画の本質であろう。 

 

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東宝・夏の"かいじゅう"映画第2弾としても、そして東宝・夏のアニメ映画先鋒としても(このあとは湯浅政明監督の『きみと、波に乗れたら』、新海誠監督の『天気の子』が続く)、他作に勝るとも劣らない大傑作(になることだろう)。この類まれない”映画のためのアニメーション”はTVサイズでは印象が減ずることは間違いないので、絶対に映画館で体験すべきものだ。

 

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ちなみに新江ノ島水族館では現在、聖地巡礼フォトスポットキャンペーンや絵コンテ展示が実施中なので映画を見たあとに来るとより楽しめるはず。自然の見え方が変わってくるに違いないので、例えここでなくとも構わないので観賞後には身近な水族館や海に行くのがおすすめだ。

 


【6.7公開】 『海獣の子供』 予告2(『Children of the Sea』 Official trailer 2 )

 

怪獣の色づく季節―『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』感想

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を観賞。

ゴジラ映画は2014年から続けざまに実写2作、アニメ3作が作られ『ゴジラ ファイナル・ウォーズ』からの10年に渡る沈黙が嘘のようなお祭り状態。そんな中に投下された最新作が2014年版『ゴジラ』に続く、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』だ。

今度のゴジラは前作以上に過去の日本製ゴジラオマージュが盛り込まれ、オタク心に様々な点を突つかれてくすぐったいのだがそこはゴジラに詳しい諸氏に任せるとして、注目したのはその"色づかい"だ。

 

配色で映像のトーンを統一する映画は少なくないが、本作が面白いのはそのシーンを支配する怪獣により配色が変化すること。

ゴジラが出て来ると青、

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キングギドラは黄、

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ラドンは赤、

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モスラターコイズブルー

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と登場する怪獣により画面全体が怪獣色に染まる。 

ひとたび怪獣同士の戦闘が始まれば、色は混じりあい、優勢な方へと変化していく。

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試写では「全アクションシーンをPCの新しい壁紙に出来る」という海外レビューも聞こえたがまさにその通り。この映画の登場人物はエマにしろ芹沢にしろどこか頭のネジがはずれた怪獣狂信者だらけなのだが、まるで彼らの怪獣に抱く信仰心が、スクリーンをより幻想的に彩り、私たち観客にまで伝播してくるかのようだ。初代ゴジラのモノクロゆえに増幅されるリアリティや恐ろしさを思い起こしたのは私だけではないはずだ。

 

本作は怪獣プロレスディザスター映画として申し分ない出来。ただ畏敬の対象として怪獣をとにかくかっこよく荘厳に描くことに振り過ぎているために、まともな理性を欠いた人間側ドラマにはいくらか物足りなさは感じるが……そこは最近の各々個性的なゴジラ映画群が補いあっているので問題ではないだろう。これだけ多様なゴジラが生まれる時代に生きていることに感謝するしかない(非難の的になる事が多いアニメ版ゴジラ3部作でさえも、ゴジラのSFとしての可能性を広げたという点で意義あるものだろう。あと前日譚『怪獣黙示録』『プロジェクト・メカゴジラ』は『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』と重なる点が多い怪獣災害小説なので必読だ)。

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』ほどの大規模大予算怪獣大集合映画は、もしかしたら今後生まれないかもしれない。来年3月には早くも『Godzilla vs. Kong』の公開が予定されているが、きっとガラリと方向性を変えてくるはず。あなたが怪獣信者の仲間入りをしたければ、今すぐに、なるべく大きいスクリーンを選んで、世紀の怪獣王を目撃するべきだ。

 

Beat Saberがすぐに遊べるOculus Quest最高説

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Oculus Questがついに届いた。これまでいくつもVRバイスを触ってきたので今更VRすごい!感動!というのはないのだが、傑作VRゲーム『Beat Saber』がいつでもどこでもすぐに遊べるのが最高。今からVRバイスを買うならこれ一台で十分!とは思うものの気になる点もあるので書き綴ってみる。

 

  • そもそもOculus Questとは

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かぶれば視界全部を映像に覆われて高い没入感を得られるVRバイスはこれまで様々なタイプが発売されてきた。2016年に発売されたPC接続を要するOculus Rift、HTC Vive を皮切りに、PS VRPS4との接続が必要)、Oculus Go(単体で機動)などだ。

今回発売されたOculus QuestはPCとの接続が不要な単体機動タイプ。と聞くとOculus Goと似たようなものと思うかもしれないが全くの別物。ゲームハードで例えるならGoとQuestは3DSとSwitchぐらい違う。

 

Oculus Goは安価ゆえに性能が低く、特にVR空間内での移動が「360度ぐるり見回す行為のみ」に限られているためにVR内での自由度が低く感じられるものだった。スマホをハコスコ等の専用ケースに入れて被るのと大差ないものだ(とはいえ手軽に持ち歩ける初のVRバイスという利点はあったし、360度映像を見るだけならこれでも十分)。

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去年発売のOculus Go

 

対してOculus QuestはVR空間内で「見回すだけでなく前後左右を歩き回れる」ので、本当にVR世界に入り込んだような錯覚を覚えるもの。PCやPS4接続型と同タイプだがそれらが周囲にセンサーの設置を要したのに対し、Oculus Questでは本体前面のカメラがセンサーの役割を果たすことにより自由移動を実現している。

ケーブル接続無し&外部センサー無しでVR空間を自由に動き回れる。これがOculus Questの唯一無二で最大最高の特徴だ。

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今月発売のOculus Quest

 

更に両手それぞれに指の動きを機敏に検知するコントローラーを持つことで、VR空間内のモノへの干渉、具体的には「掴む動作」が丁寧にシミュレーションされるので、絶大な没入感を発揮している(これはPC接続タイプのOculus Rift同様だがHTC ViveやPS VRしか知らない人は感動することだろう)。

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アプリに目を向けると、単体機動ゆえにグラフィック性能やCPUはPC接続タイプに及ばないようだが、PC用VRゲームが見劣りしないレベルで再現されている。遊んだ範囲でお気に入りなのは、PC・PS4でも人気を博しているぶった斬りダンスゲーム『Beat Saber』XBOX360KinectからまさかのVRリメイクを果たしたDance Centralスターウォーズ世界を体験できる完全新作『Vader Immortal』あたり。

ここまでくると接続しないで遊べるPC用VRバイスみたいなもの。再びゲームハードで例えるならRiftとQuestの関係はPS4とSwitchのような、性能差はあれど近しい存在だ。


Beat Saber Release Trailer


Dance Central: Oculus Quest Mixed Reality Launch Trailer


Vader Immortal - Official Episode Teaser Trailer | Star Wars VR Game

 

  • Oculus Questの将来性

これまで書いた通りケーブルレスで高性能な点は素晴らしいの一言に尽きるのだが、いまひとつ不安なのは将来性だ。発売時にはストアに50ものアプリが揃っているので充実してるかのように見えるが、その多くは他機種からの移植もの。今後はオリジナルタイトルが増えるかもしれないが、これまで発売されたOculus Riftのラインナップを思い返すと楽観もできない。Oculus社がストアラインナップを厳選するとの話もあり、ワンアイディアの小規模なアプリや不道徳なアプリ―DMMビューアーのようなアダルトコンテンツを目的としたものは出ない可能性が高い。当然、PC用のアダルトVRゲームが移植されることもないだろう。

ということで現状のOculus Questを買って満足できるのは以下の条件に当てはまる人だろう。

・Beat SaberやVRChatがやりたいけどPC、PS4が高価で買えない

・もしくはすでにPC、PS4を持ってるけど起動するのが億劫(でもVRゲームがめちゃめちゃ好き)

・接続ケーブルが鬱陶しくてVRの中で自由に動き回りたい

・Oculus Goの性能では満足できない

・ローンチタイトルに欲しいソフトがいっぱいある

・アダルトコンテンツは興味なし

PS VR独占の『エースコンバット7』も『バイオハザード7』も『ASTRO BOT』も『Rez Infinite』も『Tetris Effect』も遊べなくても構わない

 

……まあそんな人がそうそう多くないのはわかっている。けれどOculus Questのケーブルから解き放たれた自由度の高さだけは、本当に想像以上の凄さ。とにかく即起動できるBeat Saberは最高に面白い。そんな凄さ・面白さは触ればわかるけど触らないと一生わからない。

気軽に持ち出せるOculus Questの利点を活かして今後いろんな機会に持ち出してみたいと思う。

 

これまで書いたVR記事はこちらから

yuki222.hateblo.jp

yuki222.hateblo.jp

 

映像ドラッグ『プロメア』に、100点!

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昨日全国公開が始まったばかりの映画『プロメア』を見た。涙の跡が頬に張り付いて開いた口も閉まりきらないまぬけ面を晒して出口に向かうとぴあのお姉さんに捕まる。仕方なく話を聞くと何点だったのかと問うてくる。え、この映画に点数つけるの?今すぐ?無理でしょ?でもちょっと考えてみるか。そうだなここは良かったけどあそこは、いやでも減点するほどじゃないし、というかお姉さんの目が早くしろと言ってるしあんまり難しく考えるべきじゃないな。自分のまぬけ面から点数考えればいいだけじゃん、ってことはうーん……「100点で!」 口に出してみるとしっくり来た。『プロメア』は100点! おしまい。いやもうちょっと書く。

 

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映画『プロメア』は、アニメスタジオGAINAXにて『新世紀エヴァンゲリオン』以来の、そして現時点ではGAINAX最後のロボットアニメ『天元突破グレンラガン』を監督し、その後新スタジオTRIGGERを立ち上げ『キルラキル』を手がけた今石洋之氏と、両作で脚本を務めた中島かずき氏とのゴールデンコンビによる待ちに待った5年ぶりの新作、そして初の劇場用長編オリジナル映画だ。

大好きなコンビの大作と聞いたらワクワクしないわけがないのだが……主人公は『グレンラガン』のカミナにそっくりだけど声が違う? 火消しの話って『出撃!マシンロボレ・シュー』か、はたまた大友克洋の『火要慎』?? これで面白くなるのかな、と半信半疑だったのが正直なところ。

けれど蓋を開けてみると、火消しこと"バーニングレスキュー"と"バーニッシュ"という火を操るミュータントによる体制 対 反体制、わかりやすい二項対立ものが展開。あー流行ってるもんねアメコミ映画、こういうのなら好きだよーと納得して楽しんでいるうちに二転三転し物語のスケールは急速に拡大。幾重にもなる名作オマージュに唖然とし、とどめの『トップをねらえ!』で涙腺崩壊。GAINAX石川賢の闇鍋」とでも呼びたくなる今石・中島のいつものやつが劇場スケールで展開するので過去作のファンは安心して見れることだろう。

 

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いつもどおりにとどまらないのは「絵」と「声」だ。

「絵」―ビジュアルは『グレンラガン』『キルラキル』のような昭和レトロ風ではなくビビッドな色使いで、主線までカラフル。CGはテクスチャをシンプルにしてのっぺり、ときにはやりすぎなぐらい幾何学に(太陽光のゴーストが四角い!?)。作画はCGに寄せて、CGは作画に寄せる調和した画風が独特で、ただCGを使いましたという次元を何段も越えている。今石監督の『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』を進化させたかのような独特なビジュアルは、今年一番の衝撃だったスパイダーマン:スパイダーバース』に匹敵するものさえ感じられた。

「声」―脇を固めるキャストこそ今石・中島一座の面々なのでそれだけで嬉しいところだが、面白いのはメインキャスト3人を松山ケンイチ早乙女太一堺雅人といういずれ劣らぬ演技派俳優が固めているところ。中島かずきが座付き作家を務める劇団☆新感線で大役をこなしてきた3人だけに、俳優ならではの瑞々しい演技にとどまらない迫力の芝居は圧巻。劇場音響で聴く芝居は心の臓までビリビリくるほど。話題作りのためだけにつまらない役者を使う映画はこれをこそ見習ってほしい。

 

唯一不満を述べるなら、描きたいことが膨らみすぎたゆえかバーニングレスキューの日常―レスキュー活動シーンが短いのでチームメンバーに愛着が湧く前にさっさか話が転がってしまうこと。と思ったら来場者特典のQRコードを読み込んだら10分ほどの短編アニメでレスキューシーンが描かれていた。イマ風の抜かりなさに拍手! やっぱり100点!