2018年上半期映画ベストは『リズと青い鳥』

2018年上半期映画ベスト10を書いてみる。範囲は今年見た2017年末~2018年6月公開の映画。

1位 リズと青い鳥

yuki222.hateblo.jp

2位 さよならの朝に約束の花をかざろう

yuki222.hateblo.jp

3位 リメンバー・ミー

巧みなシナリオに舌を巻いた。泣いた。

4位 スリー・ビルボード

フランシス・マクドーマンドサム・ロックウェルの演技に震える。

5位 ブラックパンサー

アフリカンなビートに溢れるヒーロー映画。鳴り物を多用した曲と、ひねりの効いた脚本、強くて良い女。完璧。監督は31歳。驚異。

6位 ブリグズビー・ベア

7位 恋は雨上がりのように

小松菜奈から目が離せない。

8位 勝手にふるえてろ

松岡茉優から目が離せない。

9位 GODZIILA 決戦機動増殖都市

眠たい画が続くのは前作ゆずりだが、前作では意図不明だった異星人の配置がようやく機能して後半のドラマには熱くなった。
メカゴジラの扱いには仰天。予想を裏切り期待に応える流石の虚淵&村井さだゆき脚本。

10位 ヴァレリアン 千の惑星と救世主

 

見たリスト(36本)

 

このアニメを見ろ2018年夏

アニメは全部見るのが基本だが、とはいえ今期も視聴前に推しアニメを挙げてみる。

ちなみに前期ハマったのは『ひそねとまそたん』『シュタゲゼロ』『ウマ娘』『多田くんは恋をしない』『ガンゲイル・オンライン』。

 

sirius-the-jaeger.com

監督は伝説的アクション映画『ストレンヂア』から人情劇の『花咲くいろは』まで手がける奇才・安藤真裕氏。キャラクター原案は元カプコン西村キヌさん。制作は『ウマ娘プリティーダービー』が記憶に新しいP.A.WORKS

安藤監督久しぶりのアクション物ということで今期最も期待している。

 

www.harukana-receive.jp

今期きらら枠を映画『ベルセルク』の監督、というよりか『アイドルマスターキャラクターデザイナーとして名を馳せる窪岡俊之氏が監督。なぜ。異色の組み合わせの生む奇跡にほのかな期待。

 

  • プラネット・ウィズ

planet-with.com

漫画家・水上悟志氏のネームを元にしたオリジナルアニメ。『ユーリ on ICE』に習った形か。水上氏の漫画は未読ながら、まだまだ未知数な作り方に挑戦する姿勢に敬意を評して楽しみたい。

 

こんなところで。シリーズ物、原作物について知りたい方は他で確認を。

2018夏アニメ一覧|今期(7月放送開始)新作アニメ情報 | アニメイトタイムズ

Oculus Goで寝ながらNETFLIX

5月2日に突如Oculus Goが発売された。スタンドアローンで動く初のVRデバイスとあってはVR愛好家として黙っていられないので早速購入してみたところ、これが寝ながらにしてNETFLIXを見るのに最適だった。 

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著者近影

 

Oculus Goを触って気付かされるのがこれまで買ってきたVRデバイスの不便さだ。

Oculus RiftはPCと、PSVRPS4との接続が必須であるし、接続ケーブルの距離内でしか移動ができない。スマホのVRアプリを使うにはスマホの保護ケースを外してハコスコ規格の箱に突っ込まなくてはいけない。起動させるまでにえいやっと気合いを入れないと取り組めないので自然と使用頻度が下がっていた。 

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Go近影

それがスタンドアローンタイプのOculus Goだとどうだろうか。デバイスを被って電源ボタンを押すだけである。移動距離の制限もないのでなんなら外でも使用できる。さらにはヘッドホンも付けずに360度サラウンド音声が聴こえてくる。

アプリケーションはというと特にNETFLIXが素晴らしく、映画館並みの大画面で、寝ながらにして映画やアニメを楽しめる。これは会う人会う人に必ず言っているのだが、NETFLIXなら今期最高に面白いアニメ『ひそねとまそたん』が見ることができるので最高と言うしかない。

またYouTubeAmazonプライムビデオなどもインターネットブラウザ経由で見ることができる。

余談であるがDMMのVR動画も見ることができる。

 

もちろん全てが優れているわけではない。  PSVRなどとは異なりVR空間内で徒歩移動ができないし、外部媒体のマシンパワーが使えないのでリッチなゲーム体験はできない。ゲーム系のアプリは今のところいまひとつに感じるが、そこは安価であることを考慮すると仕方なしか。32GB版が23800円、64GB版が29800円。香港からの発送となるがなぜか送料は無料だ。

 

昨年Nintendo Switchが出た時には家庭用ゲーム機が場所を問わずに体験できるという驚きがあったが、Oculus GoはVR界にとってのSwitchのように思える。安価で手軽に触れるエントリーモデル。現在は公式サイトからしか購入できないが、販路が増えれば日本国内でもかなり受け入れられるポテンシャルがありそうだ。

 

映画『レディ・プレイヤー1』で、屋外でVRを楽しむ様を見たときにそんな未来はすぐに来るわけがない、と高を括っていたのだが。未来はあまりにも早く来てしまった。

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著者近影

 

  • 2年前に書いたVR記事 

yuki222.hateblo.jp

 

  • Oculus Go 公式サイト

www.oculus.co

 

耳をすませて、イスになって。『リズと青い鳥』

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映画『リズと青い鳥』が4月21日に公開された。幸い舞台挨拶付きの回を観賞することになったので山田尚子監督の言葉に聞き入っていると思わぬ発言が。曰く「BGMは校舎内の備品、机やイス、ビーカーなどを楽器に見立てて奏でている」「観客もイスになったつもりで見てほしい」とのこと。

ワタシハイスダ、ワタシハイスダ…。自己暗示をかけながらの奇妙な観賞体験が始まった。

 

liz-bluebird.com

リズと青い鳥』は武田綾乃さんの小説を原作としたTVアニメ『響け!ユーフォニアム』の最新作。アニメ第2期の翌年の時間軸を描いているが、黄前久美子を主人公としたTVアニメシリーズとは打って変わって、久美子の先輩に当たる鎧塚みぞれと傘木希美の2人にフォーカスしたスピンオフ作品となっている。そのためかタイトルから「響け!ユーフォニアム」の文字は廃されている。

劇中では、吹奏楽コンクール金賞を目指しながらも3年生となり受験も控えるみぞれと希美が、互いを想い、すれ違う、どこにでもあるかもしれない、けれど眩しいくらいの青春のきらめきがつぶさに描かれる。

 

観賞前に最も注目していたのがキャラクターデザインの変更だ。TVアニメ版から比べて頭身が上がり、目は小ぶりに、影やディテールの書き込みも随分シンプルになっている。こうしたキャラクターの大幅な変化といえば、『機動警察パトレイバー2 the Movie』や『機動戦艦ナデシコ The prince of darkness』、『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』などを思い出すところだが、最近の作品ではあまり見ない試み。そこには果たしてどういう意図があるのか?

ここで効いてくるのが前述の「ワタシハイス」だ。けれど自己暗示など必要もなく、BGMがいざなってくれるという手法だった。複雑でノイジー、けれど聞き馴染みのある校内備品が奏でる音色を聴いているうちに、自分自身がイスに、というよりも音の一部になって、みぞれ達をそっと校舎の隙間から覗き見ているかのような気持ちになってくる。

そうすると見えてくるのが、シンプルなキャラクターデザインの意図だ。書き込みが最小限ゆえに、ディテールではなく"しぐさ"が、セリフよりも雄弁に観客へ語りかけてくる。揺れる髪、翻るセーラー服、交差する脚、異なる歩幅、まばたき、ゆれる瞳孔、みぞれが幾度も左手でなでつける右の髪。

BGMだけではない。カメラワークはみぞれの鼻先まで迫ったと思ったら離れていき、時にはフレームアウトして表情を隠し、身体の動きばかりを追いかける。またSEも効果的で、上履きが床を踏む音さえ耳に残るようTVアニメ版から変更されている。映画を構成するすべての要素が、キャラクターのしぐさを追うために意図されている。

 

こうした山田尚子監督の演出は前回の監督作『聲の形』をはじめ様々な作品で見られてきたが、今作に見られるしぐさ―言いかえると"アニメーションキャラクターの芝居"に対するこだわりはいままでになくストイックだ。

ストイックゆえに物語上の起伏は少なく、コンクールの行方は描かれないし、セリフ量もTVアニメ版に比べて控えめ。けれどしぐさに注目するだけで、ぐっと豊かな感情が画面を踊るのが見えてくる。

 

響け!ユーフォニアム」シリーズに連なるものの、キャラクターを絞っているので本作から見ても問題ない。私小説的映画や、女性同士の共依存関係―直接的な言い方をすると"ソフトな百合"が好きな方なら、きっと忘れられない一作になるはずだ。

 

俺たちはいつも原作が先かアニメが先か悩むけれど『PERSONA5』は先にゲーム版に触れてほしい

原作を先に読む/遊ぶか、原作には触れずに映像作品を見るかといった問題をメディアミックス作品と対峙する時にはいつも悩まされる。がこと『PERSONA5』に関してはゲーム版に先に触れてほしいと『PERSONA5 the Animation』の第1話を見て感じた。

PERSONA5 the Animation』を卑下するわけではない。けれどゲームとアニメというメディアの差により、『PERSONA5』という"体験"は確実に変質する。変質により一長一短あろうが、アニメ版のそれがゲーム版を上回るかは未知数であるから、確実な感動が待っているゲーム版を私は推す。

p5a.jp

 

 

PERSONA5 the Animation』は2015年に発売されたPS3/PS4用に発売されたRPGゲーム『PERSONA5』をテレビ向けのアニメーション作品にしたもの。4月7日深夜から放送が開始された。

1話目の筋は原作の序盤通り。主人公のカジノでの逃走劇から逮捕、そして尋問を受ける形で7ヶ月前に記憶が遡り、秀尽高校への転入と竜司との出会い、異世界へ迷い込みペルソナを覚醒するまでが描かれる。

 

ゲームとアニメ、何がそんなに違うのかというと、上記内容がゲームでは数時間に渡り描かれるのに対し(記憶違いでなければ少なくとも2時間は要したはずだ)、アニメでは25分しかかからない。ゲーム本編は100時間近くのボリュームがあるが、アニメが完結してももちろんそんな長時間にはならない。仮に26話なら10.8時間。ゲーム版からわずか1/10程度に短縮されるであろう。

同じ物語なら短時間で接種できる方が効率的、という人が多いことは理解している。けれど『PERSONA5』は無駄にプレイ時間を誇っているわけではない。いち高校生の視点で1年間、仲間たちと苦楽を共にする濃い体験を積み重ねているうちに気づけば100時間経ってしまうのだ。シナリオ自体大変優れたものであることは疑う余地もないが、仲間たちに対する愛着は、長時間のプレイ時間に依るところも大きい。時間が限られるアニメというメディアが、シナリオのベースは同じであっても、駆け足で描かれる時に同じ感動を生み出すことができるだろうか。

体感時間は物語を変化させる要素であるし、これはメディアごとにどうしたって変化する。メディアミックス作品についてはそれを踏まえて、最初にどのドアを叩くか慎重に考えないといけない。どうしたって最初に触れたメディアで一番大きな感動を覚えるし、その感動が大きいに越したことはないからだ。

 

なお『PERSONA5 the Animation』の1話は非常に美麗な映像であったし、監督はゲーム版のアニメパートも監督した石浜真史氏である。アニメならではのアクションや、キャラ同士の掛け合いといった面も見えてくるであろう。アニメはアニメとして、今後の展開を楽しみにしている。

ただそれはそれとして、『PERSONA5』にこれから触れるならばゲーム版を先にプレイすることを強く推したい。 

 

新作アニメはこれを見ろ2018年春

昨年夏に福岡に転勤になったがなんやかんやあってジョブチェンジに成功して東京に戻ってきた。福岡在住中はテレビを買わずにいたが各種定額配信サイトを駆使したらまったくアニメ視聴に困らなかったので定額配信サイトすごい。毎クール判を押したようにお勧めアニメを書いてきたものの、こんなに楽に後から容易に追っかけられるならみんな話題になってから見ればいいのかもしれない。

けどまあ更新ネタとして書くのが楽なのでおもしろアニメがいっぱいあることはいつも声高に叫んでいたいので今期も書く。

 

gundam-bd.net

Figure-rise LABOのフミナさんが何かと話題になっているガンダムビルドシリーズ最新作。フミナさんは出ない。各テレビ局の権利が切れたからか『ガンダムAGE』『Gのレコンギスタ』のアレンジモビルスーツが出るようなのでその点非常に楽しみ(前作では権利関係から『ガンダム00』までの登場だった)。 

 

  • ひそねとまそたん

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hisomaso.com

シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督が総監督を務める完全新作アニメ。脚本は『さよならの朝に約束の花をかざろう』を監督したことで話題の岡田磨里さん。キャラクターデザインはNintendoSwitchの音ゲー『がるメタル』の青木俊直氏で主演声優は『アイドルマスターシンデレラガールズ市原仁奈役の久野美咲さん。大好きな黒沢ともよさんも出演している。好きな要素が多過ぎる。

航空自衛隊がドラゴンを使役するというハードな設定に対して、久野ちゃんの電波ボイスと手書き感たっぷりで再現度の高い青木キャラ。どんな化学反応を起こすのか。

 

手短かだけどもこんなとこで。身の回りが落ち着いたので更新頻度を増やす…増やしたい…どうかな…。

 

雨と雪とファンタジーと『さよならの朝に約束の花をかざろう』

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脚本家として知られる岡田麿里さんの初監督映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』が2月24日に公開日を迎えた。早速劇場に足を運んだのだが、予想を超える出来に心底震え上がった。いくつものシーンで滂沱の涙が止まらなかった。ファンタジーアニメ映画という鬼門に立ち向かい、真摯な答えを提示した岡田麿里監督には敬意を表したたい。

 

鑑賞前は「なぜファンタジーなのか」という点が疑問に浮かんでしょうがなかった。ファンタジー、ましてや国産のオリジナルアニメ映画となると、宮﨑駿監督作以外にヒット作がない(漫画やゲームのタイアップ、テレビアニメの総集編や続編は当然除く)。他は単に面白くないか、面白くないのに売れてしまったか、面白いのに売れなかったかの、いづれかだ。近年に限らず、そんな博打を打つ企画はほとんど通らず世に出ないのが現状である。脚本家としては『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』などのヒット作があるものの、監督としては実績0の岡田麿里さんを監督に据えてファンタジーアニメ映画とは、よくもまあこんな大大博打を打つものである。堀川プロデューサーは肝っ玉だ。

 

人里離れた土地に住む長命な種族イオルフの少女マキアが、あるきっかけを契機に里を離れ、赤子を拾い、女手一つで育てあげるというのが『さよならの朝に約束の花をかざろう』のあらすじ。物語の骨子は細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』とかぶる。おおかみこどもの雨と雪では宮崎あおい演じる主人公・花が人間と狼のハーフを女手一つで育てる姿が描かれた。決定的に違うのは、現代日本を舞台にしたおおかみこどもの雨と雪に対して、異世界を舞台にした純ファンタジーだという点だ。

『さよならの朝に約束の花をかざろうは、女性である岡田麿里監督自身が脚本も含めて手掛けているためか、母と子の関係性とその変化は極めてリアリティがあり、『おおかみこどもの雨と雪』以上に胸を打つ。またおおかみこどもの雨と雪』は公開時、物語の細部が現実的かどうかという無駄な揚げ足取りが一部で行われていたが、異世界ファンタジーであるおかげでそのような隙がない。ファンタジーである理由はここにあるのだろう。現実世界を舞台に据える物語以上に、世代を越え、文化を越えて、誰にでもフラットに受け入れてもらえる。これは所謂俳優の演じるドラマや映画に対するアニメの特性でもあるが、ファンタジーと組み合わさることで相乗効果が生み出される。

 

ただ陳腐なファンタジーであれば逆効果、シラけてしまうところだが、その点『さよならの朝に約束の花をかざろう』のファンタジー強度は高い。歴史、文化、風習、言語を系統立てて構築している。世界観を長々と説明するシーンなどなくても、仔細まで描かれる建築物、衣装、小物で伝わってくる。『十二国記』を彷彿とさせる、と言ったら言い過ぎであろうが、『ブレイブストーリー』『バケモノの子』『メアリと魔法の花』はまとめて束になっても敵わない。凡百のゲームゲ―ムした浅い設定群とは一線を画している。

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監督自身が『オウガバトル』シリーズのファンであるということをきっかけに起用したキャラクター原案・吉田明彦氏が世界感の厚みに寄与しているのは間違いないであろう。

 

ファンタジーアニメ映画というある種のリスクを背負って飛び立った『さよならの朝約束の花をかざろう』は、そのリスク故に世代を越え、文化を越え、更には国を越えて多くの人の琴線に触れるはずだ。リスキーな企画ほど応援したいし、面白い作品なら尚のこと。丁半どっちに転ぶかまだまだ未知数であるが、このご時世なので公開規模に負けず口コミでの人気の高まりに大いに期待したいところだ。

(余談であるが昨年発表されたアトラスの純ファンタジー企画も大いにリスキーだと感じたが、現代日本以外を描くことによるユーザー層の広がりを期待しているのだろうと、今ならわかる。こちらも楽しみにしている)

 

sayoasa.jp