2017年夏アニメはこれを見ろ!

面白いアニメはわからないが面白そうなアニメならわかる。本日よりスタートの2017年夏アニメから気になる作品をピックアップしてみた。

 

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先月末に念願の『HUNTER×HUNTER』第34巻が発売されたが、同時に購入し、負けず劣らずの迫力に圧倒されたのがこの夏アニメ化される『ボールルームへようこそ』の原作第9巻だった。

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そんなノリにノッている原作を監督する板津匡覧氏は、故・今敏監督の遺作となるはずだった『夢見る機械』の監督代行を務めるはずだった男である(残念ながら制作中止となった)。今回が待望の初監督作品だ。 キャラクターデザインは岸田隆宏氏、作画監督千葉崇洋氏、本田真之氏というとこで『ハイキュー!』作画チームの手腕も再び拝むことができそう。今期最も楽しみにしている作品だ。

とりあえずキレッキレの作画とUNISON SQUARE GARDENの新曲が心地良いPVを見て欲しい。

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監督はマッドハウスで『マスター・キートン』『MONSTER』『花田少年史』など数々の名作を手掛けたベテラン小島正幸氏。キャラクターデザインは『機動警察パトレイバー』『攻殻機動隊』の黄瀬和哉氏、シリーズ構成は硬軟書き分けが上手いうえに原作付きもオリジナルでもどんと来いな『R.O.D.』『灼熱の卓球娘倉田英之氏というビッグネーム揃い。

つくしあきひと先生の原作は……未読であるが、コナミ勤務時代に美術を担当されてたゲーム『エレビッツ』は好きであるし、過去にはコミケで同人誌も買わせて頂いたことがあるので気になっていた。アニメ開始後に読んでみるつもりだ。何と今なら電子版が10円!(PR)

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  • ザ・リフレクション

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このところアニメに力を入れだしているNHK総合の新作はなんとスタン・リーおじいちゃんと『蟲師』長濱博史監督によるオリジナルヒーローアニメ。キャラクターデザインは『蟲師』、『僕のヒーローアカデミア』の馬越嘉彦氏。ストーリーもヒーローアカデミアライクである。

スタン・リー氏原作のアニメといえば過去に『HEROMAN』などもあったが、今回こそはMARVELユニバースの昨今の盛り上がりに乗じた合流なんかも期待してしまう。さてどうなるか。

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今期は原作ものが元気ある印象。引き続き放送となる『レクリエイターズ』『サクラクエスト』の展開も注目である。

 

ガチンコ『ARMS』の危うい面白さ

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今朝起きたら腱鞘炎になっているぐらいに週末熱中していたNintendo Switch用新作ゲーム『ARMS』。こんなにガチンコで良いのかなという疑問半分、しかし当分止められられなさそうでもあり。

 

  • ついに登場した『Splatoon』以来の新キャラクター

まず『ARMS』についてサクッと説明すると、Nintendo Switch用として発売された新作アクションゲームである。Switchの特徴でもある2本のコントローラー(Joy-Con)を両手に構え、ボクシングの要領で伸びる腕で攻撃し合う2人用対戦モードがメインとなっている(2人対2人のチームバトルや、バレーボールやバスケットボール風のおまけ対戦モードなどもある。また実は通常のコントローラ両手持ちプレイもできる)。

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他のゲームで例えるなら、ベラボーマンとダルシムしかいない『電脳戦機バーチャロン……と言うと余計に分かりづらいか。Wiiスポーツ』のボクシングを対人戦用にパワーアップしたようなゲームである。

そして実は本作は、大ヒットタイトルSplatoon』以来2年ぶりとなる任天堂が据え置き機向けに発売する新規キャラクターゲーム。Switchを代表する1本になるのではないかと、密かに注目を集めていたタイトルでもある。

 

  • 間口を狭めかねないガチンコ加減

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Wiiスポーツ』然り、『1-2-Switch』然り、これまで腕を振り回して遊ぶ体感型ゲームの多くは気軽に遊ぶ事、観衆も一緒に楽しめるものが主だった。そのため今作も気軽に遊べるゲームでは……という想像を膨らませていたのだが、開始早々にそんな思いは崩れ去った。

本作のメインとなる対戦モードは「パーティマッチ」「ランクマッチ」に分かれているのだが、この「ランクマッチ」は一人用モード「グランプリ」の全7段階の難易度のうちレベル4(丁度真ん中の難易度)をクリアしなければ解禁されない。これは2D格闘ゲームでいうところのアーケードモードのような、任意のキャラクターを選んでCPU10人と連戦するモード。当然さっさとクリアして対戦を楽しもうと思ったのだが、1人目から負け続ける始末。特に7戦目のニンジャラ戦で1時間以上の足止めをくらったこともあり、クリアするのに結局4~5時間程度かけてしまった。

レベル1から順に時間をかけてプレイしなかったのが悪いということも、トレーニングモードをクリアして上達してから挑戦すべきだったことも、そして私みたいな下手っぴがいきなりランクマッチに行ってボコボコになるのを防ぐために任天堂があえて困難な関門を作って成長させてくれたことも、全てわかっている。わかっているが、なんというガチンコっぷりだろうか。

任天堂のバトルゲームといえば『マリオカート』『大乱闘スマッシュブラザーズ』などの運が大きくからむ乱戦ゲームや、『Splatoon』のようにチームメンバーでリスクが分散される協力ゲームなど、初心者でも気軽に手を出せるゲームが主軸だと思っていた。本作ではそんな甘い気持ちは許されない。全ては自己責任の真剣勝負。しかしこの「体感アクションゲーム」なのに「ガチンコバトル」を強いるアンバランスさは、ゼルダなのに終始リモコンを振らせるWii用ソフトゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』を彷彿とさせるものがある。

 

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ここまで『ARMS』は異質だという話をしてきたが、じゃあつまらないのかというとそんなことなことはない。いざ遊べるようになったランクマッチは想像以上に熱くて面白い世界だった。ガチンコだからこそ、一戦一戦に一喜一憂できる。負けたら反省して対策を考えるし、それがハマると気持ち良い。これはもしかしたら、自分がいつもちょっとやっては挫折して気付くことのなかった、格闘ゲームが本来持っている熱さなのかもしれない。

『ARMS』は多くの格闘ゲームのように「パンチ」「投げ」「ガード」の3すくみが基本になっているが、キャラクターの手が伸びるという特殊性により、お互いに相手の動きを見てから回避or反撃を行うのが容易になっている。また格闘ゲームのようにコマンドを覚えるということも必要ない(全ては腕を振るかワンボタンで技が出る)。これらは任天堂なりに格闘ゲームのエッセンスを昇華した結果に思える。

 

本作はおそらく間口の狭さからしてかなり人を選ぶゲームだと思うし、長いストーリーモードもなければやり込み要素も少ないところはまるで発売当初の『ストリートファイターⅤ』のようだ。『Splatoon』先輩のように喝采を浴びて万人に受け入れられることはないだろう。けれどもランクマッチを通じて真剣勝負の面白さを広く伝えたいという、任天堂の意気込みを強く感じる。だから私個人としては腱鞘炎を押してでも、もっと遊びこんでみたいと思っている。

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そしてゲームを続けるのに一番大事な事は、好みのキャラクターを見つけること。幸いツインテーラの健康的なセクシーさに一目惚れしてしまったので、続けるのに苦はなさそうだ。

 

「湯浅政明の夜明けを告げる」ルーのうた

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夜明け告げるルーのうた』を見た。驚いた。湯浅政明監督が新たなステージに踊り出たのだ。

 

・ドラッグ、トリップ、湯浅政明

湯浅政明監督といえばフジテレビのノイタミナ枠で放送された『四畳半神話大系』『ピンポン』で有名かと思うが、どちらもノイタミナという受け皿があったからこそ放送できたであろう独創的な映像作品であったことは見た人ならご存知かと思う。けれどあの2作が特殊なわけではなく、それ以前にWOWOWで放送されたオリジナルアニメシリーズや、そして監督デビュー作である映画『マインド・ゲーム』に至っては、更にアナーキーでドラッギーな作品であった。だから湯浅政明監督は、なんだかへんちくりんでぶっ飛んでいるトリップ映像作品しか作れない、いわゆる「一般ウケする映画」が作れない人だという固定観念を持ってしまっていた。

『夜明け告げる~』に先んじて公開された『夜は短し歩けよ乙女』は、まさにそんなアナーキーな湯浅監督の集大成ともいえる映画となっており、森見登美彦氏の原作におけるマジックリアリズム的色合いが監督独自の映像表現により一層引き立ち、原作ともまた異なる印象を物語に添える傑作だった。

 

・これまでにない、物語とキャラクターの力


『夜明け告げるルーのうた』予告映像

そして『夜明け告げるルーのうた』だ。予告映像を初めて見た時の印象は、『夜は短し~』に続いて湯浅監督のドラッグ映画がまた一本増えることへの期待と、監督作を見たばかりなのにという若干食傷気味な面持ちだった。それがどうだろうか。いざ鑑賞した映画から受ける印象はとても晴れやかだ。いつもの「なんかやべぇもん見ちまったな…」という困惑がないのだ!

この映画を清々しい印象にしている要因は、瑞々しい物語とキャラクターの力に他ならない。

物語は王道の青春ジュブナイルファンタジー。瀬戸内海を思わせる港町・日無町に東京から越してきた中学生カイが、音楽に引き寄せられて現れた人魚の女の子ルーと出会い、地元の中学生である遊歩と国夫とのバンド結成や、ルーを利用しようとする大人たちとの争いを乗り越え、やがて心を開くというもの。筋だけを追えば宮﨑駿監督の『崖の上のポニョ』や、今敏監督が執筆した漫画『海帰線』を彷彿とさせるものだが、そこは現代アニメで王道を書かせたら他にいない吉田玲子さんの脚本である(代表作は『けいおん!』『ガールズ&パンツァー』)。台詞や仕草の丁寧な積み重ねに自然に引き込めれ、カイを、ルーを応援したくなる気持ちが止められなくなってしまった。

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キャラクター原案を手がけるは漫画家として活躍しているねむようこ先生(『午前3時の無法地帯』、大好きです)。アニメのキャラクターデザインを手がけるのはほぼ初めてのこと。これまでは原作付きであってもどこか異世界の住人ばかりに見えた湯浅作品であるが、本作の地に足の着いた、それでいてキュートなキャラクターの数々はねむようこ先生とのタッグなくしては生まれなかったであろう。

 

・湯浅監督の原点回帰

強い物語とキャラクターを得た『夜明け告げるルーのうた』は、「ユニークで、楽しい、一般受けする」映画となり、湯浅監督の新たな一面を引き出すことに成功した。そしてこの気持ちのいい映像体験こそ、ルーツである『ちびまる子ちゃん』や『クレヨンしんちゃん』で監督が描き、そして世界に向けて改めて本当に描きたいものなのだろう。

新海誠監督に、山田尚子監督、片渕須直監督、そして湯浅政明監督。ベテラン監督の次世代ステージがリアルタイムに更新されていく様を追える、現代アニメ映画はやはりとてつもなくオモチロイ。(湯浅監督風に言ってみる)(やはり監督のセンスはちょっとずれてる)(ダンスシーンだけはサムいと思った)

マチ★アソビで声優さんと飲んだ話

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2017年5月5日から5月7日までの3日間、徳島県徳島市で開催されたマチ★アソビ Vol.18に初めて行ってみたところ、声優である清桜の飲み会イベントに参加できたり色々盛り沢山で楽し過ぎた。

なぜ今まで行かなかったのかというと私の住む東京から遠いからでしかないのだが、距離なんかを理由にこれまで17回もの間参加しなくて後悔する私のような人間を一人でも減らすためにここが良かったというポイントを紹介してみる。

 

  • 清桜との飲み会が楽しい

声優ユニット「清桜」の清水彩香さん、中村桜さんと2,000円で日本酒飲み放題というイベント「清桜 in マチ★アソビ トーク&飲み会」に幸運にも当選したら最高に楽しかった。何せ綺麗な声優さんたちと飲めるだけでなく、日本酒の著書を出されている杉村啓先生の解説付きで飲みながら楽しく学べるのである。

今回は三芳菊酒造の様々なお酒を、ラベルを隠して飲みながら、清桜お二人のイメージに合った日本酒を決めるという変わった趣向。いざラベルを隠して飲んでみると銘柄から受ける先入観がなくなり、目的意識もあることから、普段飲む時よりも嗅覚・味覚を研ぎ澄まして味わうことができた。最終的にラベルが剥がされ解説も聞き、もう一度飲むことで味覚と知識が一体に。これはただの飲み会などではなく、まぎれもなく杉村先生のありがたい講義だった。参加者の持ち込みの酒も振る舞われ、もはや何杯飲んだか覚えていない状態になったとはいえ。

またなんと言っても、声優さんたちとの距離が近い! これはマチ★アソビで開催されるイベント全般に言えることだが、近いうえにやたらと多くて、出演声優も被っているのでどんどん身近に感じてしまう(それは錯覚だが)。しかもこのイベントでは目の前で軽く酔っ払っているのである。夢のような体験である。調子に乗ってサインまでもらってしまった。

イベント詳細はこの記事なども見てもらえればわかると思う。より距離の近さが伝わるのではないか。

dengekionline.com

 

マチ★アソビ最大の目的はアイマスのステージイベントだったのでもちろんこれも楽しかったということはプロデューサー(アイマスファン)の1人として強く主張しておきたい。

1日目は「ガミPとまったりミーティング にかいめ。」という、アイマスの総合プロデューサーであるガミPこと坂上陽三氏にファンが際どい質問をぶつけまくるイベント。メディアの取材禁止、観客のネットへのカキコミ禁止というアナウンスが出ているだけに、ここだけでしか聞けないスレスレな発言が交わされていたので、内容についてはもちろん何も書けない。真のプロデューサーなら次回開催時に来るしかない。

2日目はもちろん「アイドルマスターシンデレラガールズ劇場 スペシャトーク in マチアソビ2017」。双葉杏役の五十嵐裕美さん、依田芳乃役の高田憂希さんという濃い2人が場を盛り上げたのだが、こちらもあんまり過激な内容なので詳細は伏せる。五十嵐裕美さんはマチ★アソビ全18回皆勤という強者なので、五十嵐裕美さんを間近で見たいプロデューサーはやはり次回も来るしかない。とにかくプロデューサーはマチ★アソビに来るしかない。

 

  • 徳島グルメが美味い

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出店の中では半田そうめんがとびっきり美味しい。ハンバーガーもおすすめだ。

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その他、徳島ラーメンに阿波尾鶏と、昼も夜も徳島グルメを食べ歩いた。確実に増えた体重で現在腰回りが苦しいことになっているがそんなことを気にしてもしょうがないので、次回は絶対に深夜0時開店という幻の鯛ラーメンを絶対に食すと心に誓った。

 

  • 聖地が近い

徳島のある四国、そして瀬戸内海を挟んだ中国地方はアニメの舞台、いわゆる聖地が多いので、この機会を逃すまいとものはついでと巡ってきた。

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この世界の片隅に」の舞台となった広島県呉市

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かみちゅ!」の舞台、広島県尾道市

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ついでに岡山県倉敷市では「ひるね姫」のVRコンテンツなんてのも。VRなら瀬戸内海だって飛び越えられる。

 

  • 他のイベントも楽しいものばかり

他に観覧・体験したのは「チャリティーオークション」「春奈るな ミニライブ」「エロマンガ先生ニコ生公録」「眉山ロープウェイ」「徳島VR映像祭」「アニメーションズDJライブ」「アニメガタリトークイベント」などなど。

川沿い・商店街を中心に非常に多くのイベント・展示が所狭しと開催されており、全てをまわるのはとてもじゃないが無理なので厳選したが、どれも時間を忘れるほど楽しいイベントばかりだった。

 

 

最後に、今後に期待する点も書いておきたい。

アニメスタジオufotableを中心に中小の企業が集まって開催されているため、中高生~大きいお友だちに向けたコンテンツが多く集まっている一方で、子供や大人が安心して楽しめるものというのは極めて少ないと感じた。集英社講談社がVRコンテンツのみとはいえ参加しており、それを小さい子らが楽しんでいる姿にはちょっと安心したが(そして空気の読めない知ったかぶりオタクが横から回答しづらい質問を投げて、ただでさえ1人でお客さんの対応に追われている編集者さんがイライラを募らせるという地獄も見てしまった。次回も来てくれるだろうか某社……)

そんな中、1日目夜に開催された「第1回 アニものづくりAWARD」表彰式は、アニメとCM・広告・製品のコラボコンテンツを評価するというもので、大人目線で楽しむことが出来たので大変有意義な時間だった。普段コラボCMなどは気にして見ているつもりでいたが、随分取りこぼしていることに気付かされた。MCの高野麻里佳さんが大変可愛く、利発であったことも特筆しておく。他にもセミナーはいくつか開催されてはいたものの、定員の関係や時間の都合でなかなか足を運べなかったのは残念だ。

下記CMは会場で紹介されていて、おおっ!(知らない or すごい)と思ったもの。やつか整形外科内科のヤバさよ。


【手描きアニメ】「サヨとコウの出発」 駅すぱあと


やつか整形外科内科CM


"Fastening Days 2" Japanese audio version (Subtitles available)

housefoods.jp

www.itmedia.co.jp

 

 

というわけでマチ★アソビ初心者として今回のイベントを通して思ったのは、お子様の方も向いている企業との協力であったり、より広い会場の確保によりセミナー関係の充実を図ることが、地元と長く良い関係を続けるうえで必要ではないだろうか、ということだ。当然そういった施策をすでに打っていて、会場も運営側もキャパ不足だから特化したコンテンツに徹している、という状況は想像に難く無いが。けれどももっと良いものにしていけると思う。

とはいえ地元、出演者・登壇者、そして参加者の強い絆を感じる、都内には無い素敵なイベントだったのは確か。次回以降も是非とも参加してみたい。

 

2017年春アニメはこれを見ろ!

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今期は見なくてはいけないアニメが多すぎる。

 

今期一番楽しみなのが、TOKYO MX他で今夜から放送開始の、今井哲也先生の同名原作をアニメ化した『アリスと蔵六』だ。

自身もアニメ好きとして知られる今井哲也先生の原作からしてアニメを意識した構図、アクションが随所に見られたので、本当にアニメ化してしまうことでどのように表現されるのか、長年のファンとしては楽しみで仕方ない。

本作は「アリスの夢」と呼ばれる、要は魔法を持った少女・紗名と原宿で花屋を営み頑固じじい・蔵六との家族の形成、そして冒険、バトルが描かれる変化球魔法少女アニメ。J.C.STAFFのベテラン桜見かつし監督と、リアリティある描写に定評のある脚本家髙山文彦氏の手にかかれば素晴らしい作品に仕上がることだろう。

公式サイト

 

花咲くいろは』、『SHIROBAKO』に続くP.A.WORKSのお仕事アニメ第三という触れ込みなので面白くなるに違いない。『アイドル事変』と設定が被っている気がしないでもないが。

sakura-quest.com

 

東映アニメーションの『楽園追放』に次ぐCGアニメ第2弾は、傑作SF小説『know』の野崎まど氏が脚本を手がける注目作。

トーリーはもうすぐ実写映画化もされる『あなたの人生の物語(メッセージ)』のような、異物を介したファーストコンタクト物のようだが……野崎まど氏のことだ。一癖も二癖もあるミステリアスな展開が待っている予感しか無い。

seikaisuru-kado.com

 

BLACK LAGOON』の広江礼威先生が連載の手を止めてまで仕込んだオリジナル新作アニメ。同じく漫画家である久保ミツロウ先生がアニメ用の原作を手掛けた『ユーリ!!! on ICE』のような爆発力を生む、のかもしれない。

あおきえい氏が監督を手がけるという点でも大注目作品となること必至だ。

recreators.tv

 

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我々はこの時を何年待ったことだろうか。『コードギアス 反逆のルルーシュ』以来となる、谷口悟朗監督×脚本家黒田洋介氏の新作である。何も言わずこの目に焼き付けるだけだ。

公式サイト

 

新作を中心に紹介したが、シリーズものでは進撃の巨人Season2アイドルマスターシンデレラガールズ劇場BORUTO(なんと劇場版BORUTOを手掛けた山下宏幸氏が監督を、そしてアルペジオ上江洲誠氏がシリーズ構成に!)、信長の忍び~伊勢・金ヶ崎篇~有頂天家族2冴えない彼女の育て方♭ソード・オラトリア、あたりも楽しみだ。

もはや睡眠時間を削るしか無いのでは。

 

シリーズを離れていた人をも動かすオープンエアーの魅力 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』ファーストインプレッション

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遡ること1週間ほど前、離れて暮らす兄から久しぶりの連絡があった。こういう時は良い知らせか悪い知らせと相場が決まっているが……、今回は良い知らせだ。Wii Uを送ってくれないか、と言ってきたのだ。当然、Wii U版、Nintendo Switch版が3月3日に同時発売となるゼルダの伝説シリーズ最新作『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(以下ゼルダの伝説BOTW)』をプレイしたいがためのことだろう。『スプラトゥーン』がしばらくできなくなるな、という気持ちは抑えて快く送ることにした。

兄はかつて、『ゼルダの伝説 夢を見る島』や『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』をプレイしていたものの、最近はPCやPS4洋ゲーに傾倒していると聞き及んでいた。なぜ兄が今になって、とも思ったが、今回の『ゼルダの伝説BOTW』がオープンワールド、ではなく任天堂の提唱するオープンエアーであることが大きな理由に違いない。シリーズを離れていた兄までも呼び戻した。それだけ今回のシステム大刷新が衝撃的だったのだ。そして兄は今頃存分に満喫していることだろう。発売日から約15時間プレイした私にはわかる。ゼルダの伝説BOTW』は大傑作なのだから。

 

まずオープンエアーとはなんぞや、というとつまりはオープンワールドである。『グランドセフトオート3』を皮切りに海外で大流行した、とにかく見渡す限りの世界まるまるを、ロードもなく駆け回れるゲームシステムの総称だ。リアリティ・没入感が段違いで高まることから現在ではヒット作には必須の条件のようにもなっているが、総じて製作側の負担も増すことから国内では二の足を踏まれている節があった。しかし近年はようやく『メタルギアソリッド5』や『FF15』などでも採用されており、任天堂としてはモノリスソフト開発の『ゼノブレイドクロス』以来の2作目となる。

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ただし世界的には周回遅れで参入した任天堂は、ただのオープンワールドなど出して来るわけがなかった。ゼノブレイドクロス』においてさえ、驚異的な高低差のある地形による「感動を呼ぶ情景」を生み出してた任天堂は、その技術をゼルダの伝説に導入するばかりか、ゲームがもたらし得る最大限の自由度をプレイヤーに与えることに成功した。これをオープンエアー名付けたのだろう(と解釈している)。

ゼルダの伝説BOTW』はとかく自由だ、なんでも出来る、と喧伝されている節があるが、所詮ゲームなので開発者の用意した選択肢の中にしか自由はない。しかしその選択肢の多さが驚異的なのだ。これまでのゼルダの伝説シリーズであれば、用意されたダンジョンを、決められた通りの順番で周って、手に入れたばかりのアイテムで謎を解いての繰り返しというのが常であった。

しかし今作は、ダンジョンをどんな順番で攻略するか、そもそも攻略するかどうかもプレイヤーの手に委ねられている。主要な攻略アイテムは序盤に全て手に入るので、どれを使うかの試行錯誤が必要となるが、無数にあるダンジョンは何れも小規模。いつものように相当な覚悟をもって挑まずに済むのも良い(謎解きによっては複数解や、アイテムの組み合わせもあるので奥が深い)。

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自由度の広さは敵の倒し方にも及び、複数の武器種のどれを使うかで戦法が変わるばかりか、ダンジョン攻略アイテムや火・氷・雷を制御することで無限の戦い方が見えてくる。例えばゲーム序盤から、松明で野焼きに巻き込んで倒したり、矢でランタンを撃ち落として爆弾に引火させたりと、とにかくボコブリンが出る度にどうやって焼こうかと考えるのが楽しくて仕方がなくなる。

戦うばかりでなく、食べ物の採取と調理、動物の写真撮影など脱線要素も数多く用意されており、美麗な地形と相まって、新たな土地を走り回るだけでただただ楽しい。オープンエアーという単語を聞いた時は、またなんだかわからない小洒落た単語を作りやがって、などと思ったのは本当のことだが、プレイした今はわかるような気がする。今までのゼルダの伝説シリーズも、数々のオープンワールドゲームをも過去にする、新しいゲームシステムを任天堂は生み出してしまったのかもしれない。

 

ここまで自由だ自由だと聞くと、過去のゼルダの伝説シリーズとは別物のような、特にストーリーが薄味になっていることが心配になるかもしれない。けれどそこはゼルダの伝説だ。攻略の順番は自由とはいえ、お馴染みの各種族絡みのエピソードはかなり骨太なものが用意されている。現時点で攻略したのはゾーラ族のみだが、ちょっとこれは、あんまり切なくて泣きそうになってしまった。おっさんはこういう話に弱いんだ……。オープンエアーならではの、ゼルダとのエピソードの積み重ね方にも唸らされる。

また世界中には多くの集落や村が点在している。シリーズでお馴染みとも言えるユニークな人々との交流やサブクエストも多数あるので、過去作のようなメインクエストとサブクエストを交互にクリアするプレイ感はそのままだ。そしてなんと言っても、女性キャラが魅力的。

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最初に惚れたのはカカリコ村のパーヤちゃん。しかしその後も、ハテノ村のあの娘のインパクトにやられ、そしてゾーラのあの娘にはハートを鷲掴みにされた。人種を問わず女性に悩むのもまたゼルダの常ではないだろうか。

 

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ゼルダの伝説BOTW』にとって大事なことを書き忘れるところだった。Wii U用タイトルとして開発されていた本作は、新ハードNintendo Switchでも発売されたのだ。Wii Uを送り出してしまい、そもそも任天堂の新ハードを買わないわけがない私はハードごとSwitch版を購入したわけだが、これが『ゼルダの伝説BOTW』とめっぽう相性が良い。

Nintendo Switchは据え置き機ながら液晶画面を本体に備えているため、手軽に携帯も出来るハイブリッドゲーム機。だからこの3日間だけでも、謎解きに詰まったときにはアニメ『正宗くんのリベンジ』をながら見しながら頭を捻っているうちに閃くことができた。お台場ガンダムの有終の美を拝みに行きたいけどゲームを止められない時にも、止めずに移動中もプレイできた。

このひと回り大きなPSVitaのようなNintendo Switchは、あんまり手軽に携帯可能なのでもはや任天堂の新型携帯ゲーム機のような気さえしてくる。そして本作のような、長時間のプレイを要するゲームには最高に最適なハードだ。

 

  • まとめ

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ゲームに触れ始めた幼少の頃、画面の向こう側のキャラクターが思い通りに動くだけで楽しかった。数多のゲームをプレイするうちにそんなキラキラした気持ちは薄らいでしまっていたが、そんな私の原体験を『ゼルダの伝説BOTW』は蘇らせてくれた。遠くで暮らす兄も、そして世界中のプレイヤーもきっと同じ気持ちを抱いているはずだ(世界中のゲームレビューを集計したメタスコアで98点と、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の99点に次ぐ歴代2位のスコアを叩き出してしまったのだから!)。

ゼルダの伝説BOTW』は、任天堂史上最高のソフトとして今後語り継がれるかもしれない伝説級タイトル。ゲーム好きはもちろんのこと、ゲームがかつて好きだった人や、シリーズ未プレイの人であっても、万難を排して遊ぶべきだ。

 

90年代風リアリティアニメのシンガリとしての『虐殺器官』

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伊藤さんは、僕らよりも一世代若い方で、アニメ界がスーパーリアル志向というか、現在のベテランがまだ若手でバリバリと仕事をしていた時代のアニメを観て育ってきた方なんですよね。だから多分、そういう映像を念頭において小説も書かれていたと思うんです。伊藤さんが思い描いていた映像には、普通のことをやっていてはなかなか到達できない。伊藤さんがもし存命だったとしたら、満足していただく映像を作るのはかなり難しいことではあるんですが、 できる限りの努力はしたいですね。

以上は故・伊藤計劃氏の遺した原作をアニメーション映画化した『虐殺器官』のパンフレットに掲載された村瀬修功監督のインタビューからの引用である。完成したフィルムを観た時の私は言いようのない郷愁と違和感に苛まれたのだが、この発言を読んで得心がいった。伊藤計劃氏の好きだったであろう、そして今現在のアニメーションの主流からは真反対の位置にあるスーパーリアル志向、1980年代末から2000年代初頭までは確かにあったその潮流(本文ではひっくるめて90年代と呼称する)を受け継いだ映画がこの『虐殺器官』である、と言えるのではないだろうか。

 

この映画は二人のキーパーソンが欠けては成立しなかったであろう。一人は総合プロデューサーの山本幸治氏。山本氏はフジテレビの深夜枠アニメ、所謂ノイタミナの設立以来のプロデューサーで、現在はフジテレビを退社し、氏の立ち上げた株式会社ツインエンジンの代表取締役を務めている。

ノイタミナで放送された作品は、多くは広い視聴者に向け、時にはマニアックに過ぎる作品も見られ、その多様性は視聴者のアニメを見る力を育てようとする山本氏の思惑が透けて見えるようであった。

そんなノイタミナでも特に人気となった『PSYCHO-PASS』という近未来の警察ドラマ、と見せかけて世界の真実を暴かんとするSFサスペンスは、今振り返ると『虐殺器官』の原作小説の影響を多分に受けた物語だった。山本氏はきっとこの「大人のドラマ」で、90年代風リアリティアニメを見たこともない若い世代を「教育」し、『虐殺器官』を含む一連の伊藤計劃3部作の呼び水にしたかったのではないだろうか。ともすると2005年から始まったノイタミナ自体、この『虐殺器官』のための盛大な下準備だったのかもしれない。

そんな思慮深い山本氏と今回タッグを組んだのが村瀬修功監督である。村瀬氏は今回、監督の他、脚本、絵コンテ、キャラクターデザイン、作画監督までもを務めており、氏の全身全霊全てがフィルムになっていると言っても過言ではない。村瀬氏は今回が映画監督としてはデビュー作ということもありご存知でない方も多いかもしれないが、かつて90年代には『新機動戦記ガンダムW』のキャラクターデザインで、当時の腐女子のハートをノックアウトした他、2000年代に入ってからはSFアニメ『Witch Hunter ROBIN』『Ergo Proxy』などで監督を務めてきた。世界的には『ファイナルファンタジーⅨ』のキャラクターデザインが最も有名だろうか。

村瀬氏の描くキャラクターはハードな世界観に耐えながらも色気のある独特なデザインで、とりわけ『ガサラキ』という、私自身がアニメにはまるきっかけとなった作品で描かれた、現代日本と、中東の紛争地域、そして平安時代京都という、世界と時間を越境する見事なキャラクター群は、今振り返ると世界中を舞台とする『虐殺器官』に通底するものが多くあるように思える。村瀬氏が山本氏と結託し、今作の監督を務めたのは必然だったといえよう。

 

  • 半歩先の、その先に

さて映画本体についてようやく触れる。私がこのタイトルを初めて見た時の率直な印象は、語感からしてなんだかグロテスクな、嫌悪感さえ覚えるものでしかなかったが、いざ映画を見てみると(グロテスクな描写が無いとは言わないが)真反対なものであった。

物語は、テロの脅威を恐れる大国と、紛争が加速する中東を舞台に、特殊部隊に所属するクラヴィス・シェパード(声:中村悠一)を主人公とし、紛争地域の「虐殺」を仕掛け人であるジョン・ポール(声:櫻井孝宏)を世界を股にかけて追い続ける軍事・スパイ・SFドラマだ。非常に現代的で、クールで、グローバルな視野を持ち、示唆に富む、かつて多くのアニメ映画(『AKIRA』、『パト2』、『人狼』、『パプリカ』、etc…)がそうであったように、「大人の世界を垣間見ることができる」アニメに仕上がっていた。「伊藤さんに満足していただける映画」そのものである。

ただしあまりにも「伊藤さんに満足していただける」90年代風アニメであるために、観客の拡大にはつながらない結果を招いているようにも思える。昨年のヒット作を振り返ると『君の名は。』に『聲の形』、『この世界の片隅に』である。キャラクターは可愛く、親しみやすく。舞台は遠いどこかではなく、身近な半歩先にあるかもしれない世界。恐らく多くのアニメファンにも、もちろんそうでない人にも、このトレンドから真反対に突っ走る『虐殺器官』は見向きもされないだろう。

けれど見られないことが作品の価値を貶めるわけではない。90年代の潮流を受け継ぎ、2017年現在に見るべきリアリティ志向映画として、『虐殺器官』の持つ力強い物語とインパクトのある映像は本物である。かつてのアニメ映画が好きだった人たちはもちろん、『PSYCHO-PASS』が好きな若い世代であっても、見れば確実に何かが遺る作品だ。そしてこの潮流が絶えることなく、今なお情熱を燃やす山本氏により次の世代にバトンが渡っていくのなら、間違いなく後世から振り返られる作品となるはずだ。

だから上映中の今、『虐殺器官』を多くの人に見て欲しい。アニメは、世界は、半歩先のその先にこそ広がっているのだから。

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