アニメ監督・富野由悠季をフィーチャーした展示会「富野由悠季の世界」の最後を締めくくる青森会場に先日行ってきた。これまで福岡会場に2度、神戸会場に1度行ったのでこれで4度目となる。
なんで何度も通っているのかというと、各美術館の大きさやスケジュールの都合で展示内容に微妙な変化があり、またあまりに物量が膨大なので行く度に新しい発見があるからである。特に今回の青森会場は青森県立美術館の学芸員・工藤健志氏の肝いりで、他会場にはない展示が多数展開されていると聞いて何としても足を運びたかった。
なお「富野由悠季の世界」は工藤健志氏及び、島根県立石見美術館の川西由里さん、静岡県立美術館の村上敬氏による視覚文化研究チーム・トリメガ研究所が中心になって、さらに福岡市美術館、兵庫県立美術館、富山県美術館を巻き込んで開催されたもの。東京で開催されないのもやむなしである。
さて青森会場の特徴はなんといっても、青森県立美術館の天井の高さを活かした「巨大ロボットの大きさを実感させる」展示だろう。『逆襲のシャア』展示エリアには劇中にも登場した「リ・ガズィのダミーバルーン」の実物大胸像が展示されており、圧倒され、じっと見惚れてしまった。
青森県立美術館で開催中の「富野由悠季の世界」展。3月12日付デーリー東北文化面で、富野監督のオンライン会見でのお話をまとめました。展示しているリ・ガズィのダミーバルーン迫力ありますね。逆シャア冒頭5thルナの攻防で、ダミーバルーンにこっそり機雷を入れて射出するアムロ好きです。 pic.twitter.com/4r8d8O08jE
— デーリー東北新聞社編集局文化部(DTB) (@BUNKA_DAILY) 2021年3月12日
高さ4mもの∀ガンダム&ターンXのパネル展示も圧巻だったし、これらだけでも撮影可としてほしかった……!
またイデオンの展示ブースが他会場より拡大しており、演出やシリーズ構成にまつわるメモがイデオンフロア中央に大量展示。この日のためにイデオンのテレビシリーズから劇場版まで予習した直後だったのもあり、これまでの会場とはまったく違い、感慨に耽りながら見ることができた。
青森会場のイデオンへの力の入れようはリーフレットからもうかがえる。
そして最終展示コーナーもまた青森会場独自のもの(他会場は『Gのレコンギスタ』で締めていた)。概念としての富野由悠季を表現した立体アート、とでも呼べばいいだろうか。気づいたら閉館間際になっていたのでじっくり観賞できず惜しいことをしたが……、それもまた富野展らしい体験だと思いたい。
「富野由悠季の世界」青森会場オリジナルの展示として追加された「エンディング」のコーナー・伊藤隆介さんによる《飛ぶことについての試論》。
— 青森県立美術館 (@aomorikenbi) 2021年3月10日
フィクションの世界から現実世界へ。一体どんな展示があるのか?その目でお確かめください。#青森県立美術館 #富野由悠季の世界 pic.twitter.com/5ijJdafjHy
富野由悠季監督の作品群に改めて触れ、生きる活力を注入された気がする。コロナ禍が納まらない微妙な時期ではあるが、やはり行ってよかった。
青森での開催は残念ながら5/9までとなってしまうが、実はこれが最後ではなく、他会場に展開されるという噂もある。まだまだ多くの人に"富野由悠季の世界"に触れてほしいと思う。
【写真いろいろ】
【参考リンク】
・富野由悠季監督と樋口真嗣監督の対談(5/9までの限定公開)
シャガールからアニメと実写の関係までさすが話題が幅広い。キングゲイナーのOPを見てはにかむ富野さんがかわいい。
・矢田喜多さんのレポ漫画
富野監督の世界展行って来ました☺️#富野由悠季の世界 pic.twitter.com/QQZ3u0VQ6H
— 矢田喜多 (@yattakita) 2021年3月23日
・庵野秀明監督の「エヴァはロボットアニメ」発言に言及する富野由悠季監督
・工藤健志学芸員のマニアック対談
・「富野由悠季の世界」公式サイト
・青森県立美術館公式サイト
・福岡展レポ
・神戸展レポ