ユウキズ・ダイアリー

アニメ・映画・ゲームについての雑記

VR紗霧に頬ずりしたくなる東京ゲームショウ2017

福岡に居を移そうとも仕事を放り出し飛んで向かった今年の東京ゲームショウ

縁あってビジネスデイ入らせてもらったものの人気ゲームはどこも長蛇の列で、特に遊びたかった『エースコンバット7』『ラブプラスEVERY』は2時間待ち。そこで早々に回れ右して別館(7~10ホール)に移動すると、そこは例年通り世界中の個性的なインディ&VRゲームが集まる宝の山だったので幾つか紹介してみる。

 

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大手メーカーで唯一遊んだのは待ち時間が少ない以前から注目していた『ソニックフォース』。高速アクションがストレスなく遊べるだけでなく、新キャラ「アバター」のチェーンアクションで更に爽快感がアップしている印象。これは買う。隣のブースの牧瀬紅莉栖氏に見惚れていたらソニックの写真を撮り忘れたのはやむなし。

 

  • スマホVR/ARでアニメを身近にするGugenka

今回の東京ゲームショウで1番面白いと思ったのがGugenkaブース。ここではスマホを使ったVR/ARタイトルが、それぞれ違った切り口でアニメの具現化に挑んでいるのが見どころだった。


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『めざまし!VR 義妹と同居生活 エロマンガ先生 -紗霧の部屋着編-』は、アニメ『エロマンガ先生』のエロマンガ先生こと紗霧ちゃんを、開いたドアの隙間から舐め回すように眺めることができる夢のようなアプリ。

このアプリの特徴はiOS11から導入されたARkitを用いたポジショントラッキングにより、コントローラーも外部センサーも無しにVR空間を自由に歩き回れること。頭を下げれば(紗霧ちゃんがパジャマ姿なのが返す返す残念であるが)目線を下げられるし、前に動けば紗霧ちゃんの顔にずずいっと近づける。ここが現実世界なら警察沙汰であったろうがここはVR空間。ブースの方からは「VR空間での動き方わかってますね~」と褒められる始末。

iOSのARアプリは今のところ目ぼしいものがなくて期待はずれもいい所だったけど、技術の組み合わせでこんな事ができるのかと感心させられた。リリースされたら間違いなく買い。

 

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『PARALLEL VR LIVE』は複数人のプレイヤーがVR空間で踊るアイドルを応援するというVRライブ空間共有アプリ。PC用にこういうソフトが開発されているのは知っていたが、もうスマホにやって来たのかと驚き。あとスマホの画面を指でこすってサイリウムを振る操作方法がバカらしくて良し。

 

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『HolomModels』は打って変わって純粋なARアプリ。AR空間上のフィギュアを触って好きなポーズを取らせる事ができるというもの。ユニークなのが各種スプレーをかけることでサイズを大小変えられるという点で、大きくすればまさに実物大フィギュアに。

会場では10月からの新番組アニメガタリズのキャラクターをモチーフにしたフィギュアで遊べたが、今後は各企業にも売り込んでいくとのこと。様々なコラボが期待できそうだ。

 

スマホのVRアプリといえば操作性がネックで画質も低く、PCの下位互換という印象が拭えなかったが、今回見たコンテンツはコントローラーに頼らない操作性を模索し、スマホといえど再現度の高いアニメキャラが描画されていた。また拡張性が高いであろうARフィギュアにも驚かされた。Gugenkaには手軽で身近なVRの新たな萌芽を見た気がする。

 

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もう一つ紹介したいのが120ものブースが軒を連ねるインディゲームコーナーで見かけた、私と同じく福岡からやってきたガンバリオンの『修羅道』。

ガンバリオンといえば任天堂バンダイナムコゲームスのタイトルを開発してるメーカーという印象だが、今回はなんと初の自社販売タイトル。そしてアンリアルエンジンを使った度を越したハイクオリティグラフィックに驚愕させられた。このキャラがスマホで動くのだからどうかしている。

中身はタイミングよくボタンを押してサムライがどつき合う、和風&ダークソウルテイストのインフィニティブレイドという印象。グラフィックを見せたいのであればこういうシンプルなのがベターなのであろう。3ステージ目であっさり負けてしまったのでやり応えはありそうだ。

 

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他にも会場で見かけたバカVRアトラクションなど。大変勢いよく回っていた。

 

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こちらはVR月面旅行か。時間が許せば触って見たかった。

 

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最後に向かったのは閉会後に開催された「センスオブワンダーナイト2017」。世界各国のインディーゲームの中から選りすぐりの8作品のプレゼンを聞き、各部門の受賞作を審査員と観客で決めるというビジネスデイならではのイベント。センスオブワンダー感じっぱなし、ピコピコ鳴らしっぱなし。

 

 

ようやく会場を後にしたのはすっかり陽が落ちた19時半。今回これまで以上に開発者との距離の近さを感じたのはビジネスデイだったからというのもあるだろうが、各ブースでゲームはもちろん、展示物や直接のコミュニケーションを通して、ユーザーを取り込もうとする熱量の高さを感じたのも事実。『ソニックフォース』に『女神転生DSJ』、『地球防衛軍5』、『とある魔術の電脳戦機』、そして『モンスターハンターワールド』。楽しみなタイトルは限りなく、未来の「センスオブワンダー」との出会いを信じられる濃厚なイベントだった。また来年。

  

アイマスのライブBlu-rayを見るために安価な84インチシアター環境を作ったはずがアイマスKRを見ていた

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84インチスクリーンで見るアイマス最高!

 

  • 経緯

何の因果か今年の7月末から福岡県博多市に一人暮らしをすることになり、わたくしユーキの住環境が劇的に変化。時を同じくして待ちに待った昨年開催のアイドルマスターシンデレラガールズさいたまスーパーアリーナ公演こと『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 4thLIVE TriCastle Story』の模様を収録したBlu-ray BOXが今月8月末に発売することとなり、もうこれは大画面環境でライブBlu-rayを堪能しろということだと思い込んで最低価格で必要製品を買い集めてみたら一応形になったので記録しておく。

 

  • 買ったもの

84インチスクリーン 3,000円

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筒で届く。

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広げる。

 

物干し竿 2,700円

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スクリーンを引っ掛ける。

 

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引っ掛けたの図。右上端にサイズ比較用Suicaをペタリ。縦100cm✕横180cmはとんでもなくでかい。

 

プロジェクター 7,700円

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肝心の安物プロジェクター。海外メーカー製。

 

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比較用に近くにあったSwitchのコントローラを置く。超小さい。映せるのかお前。

映像出力元はPS3。音声はPC用のスピーカーを引っこ抜いてプロジェクターに繋いだので元手なし。しめて14,000円未満の出費なり。

 

  • 試写

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映った!

 

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怪獣映画に大スクリーンはやはりバッチリの相性。2.5m程度の距離をとれば84インチのスクリーンいっぱいに映像が映る。安物プロジェクター恐るべし。

 

  • 改善必要な点

・映写してる時はそんなに気にならないが、安物のスクリーンをきれいに吊るのは難しくてシワが出る。要工夫。

・安物プロジェクターはやはり解像度、発色がイマイチ。解像度は実写だとあまり気にならない。アニメだとちょっと気になる。発色は設定をいじり倒すとまあまあマシになった。コントラスト設定を下げるのは必須。しかしまだ物足りないので使用頻度が高くなれば高額プロジェクターを買ってもいいかもしれない(10倍ぐらいのお値段を許容できれば……)。

・プロジェクター本体のモノラル音声より断然マシだが、PC用の安価なスピーカーではイマイチ。低音が出るスピーカーが欲しい。

 

肝心のBlu-rayを待っているとコロムビア様から何やらメールが。

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……転居に伴う配送先変更が遅かった模様。シアター環境を作る前に真っ先にやるべきことがあったのではないか。

 

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というわけでやり場のない気持ちをAmazonプライムで絶賛配信中の韓国製実写ドラマ『アイドルマスターKR』にぶつける。スジ可愛いよスジ!(面白くて結局4話まで見てしまったのは怪我の功名。続きもこのスクリーンで見る)

 

アイドルみんなが主人公 『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!!』レポート

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さいたまスーパーアリーナで8月12日、13日に開催された最終公演をもって、アイドルマスターシンデレラガールズ初の全国ライブツアー『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!!』がその幕を下ろした。実に全国7箇所2日間ずつ計14公演ものライブが開催された中、プロデューサー(アイマスファンの総称)の身である私はなんとか5箇所7公演(宮城、大阪、静岡、福岡、埼玉)は現地に赴き、2箇所2公演(石川、幕張)はライブビューイングの形で参加することができた。およそ2週間に1度のライブにこの3ヶ月は忙殺され、旅費とチケット代に幾ら費やしたのかを考えるとゾッとするが……素晴らしいライブと、ツアーを通して未だ成長する様を見せてくれたアイドル達には感謝の気持ちしかない。

アイマスについては畏れ多いため筆を取ることを避けていたのだが……、今回こそはライブツアーで受けた感銘を自分なりに記してみたいと思う。

 

  • 全国ライブツアーの意義

全国ライブツアーはアイマスとしては今に始まったことではなく、765プロオールスターズはもちろん、シンデレラガールズの妹分であるミリオンスターズも経験済み。5周年でようやく開催の運びとなったのは、60人以上の大所帯となってしまったことが一因ではあるだろう。しかし今回は、地方公演6箇所分については開催箇所毎に異なる15人のアイドルが参加、さいたまスーパーアリーナの最終公演に限り60人のアイドルを1日目と2日目に分けて配置、という割り振りが行われた。こういった施策のおかげで、所帯が軽くなり、各アイドルの見せ場が十分に生まれていたように思う。

最終公演だけに着目すると、ソロ曲が歌えないアイドルも目に付いたことだろう。しかし各地方公演ではそんなアイドルのソロ曲も聴くことができたし、まだソロ曲を持たない新米アイドルたちも、最終公演にはない企画コーナーで持ち前のトークスキルを遺憾なく発揮していた。残念ながら最終公演に参加できなかった面々にだって、地方公演には活躍の場が用意された。

全国ライブツアーの1番の意義は、普段関東で開催されている公演を地方で開催することで、アイドル達の生の声を、笑顔を全国に届けることだと思っている。ただ結果的には、全てのアイドルの見せ場が長くなったことで、みんなが主役である「アイドルマスターらしい」ライブに立ち返っていたように思う。それこそ、3rd、4thライブと続いたアニメ版ベースの世界観ではなく、私自身ディスク媒体でしか見たことがなかった1st、2ndライブを見ているかのような気分で、毎公演楽しむことができた。

しかしみんなが主人公とはいえ、各公演のセンターを務めるアイドルにも今回は注目が集まった。これまでのライブではセンターといえば島村卯月大橋彩香さんと相場は決まっていたのだが、大橋彩香さんが参加する地方公演は大阪のみ。そこで各公演では毎回異なるアイドルがセンターを務めることとなったのだ。特に1番最初の宮城公演は、私の担当アイドル(アイマスでは推しの娘をそう呼ぶ)諸星きらり松嵜麗さんが驚きのセンター。

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センターアイドルを意識していなかった初回公演で、しかも現地での観賞で不意打ちを食らった事もあり、感極まってしまったのも無理のない事。各公演、全てのアイドルが輝いていたことは確かだが、センターを務めた6人が格段に輝いていたことは、ライブを見た人なら否定できないだろう。

 

さてそんなライブの締めくくりとなったさいたまスーパーアリーナでの最終公演。

1日目はきらり担当としてはもう宮城公演以来の「にょわのわーるど☆」「あんきら狂騒曲」、そして「With Love」が聴けたことで大満足。また福岡公演でも披露された神山奈緒松井恵理子さんの「Neo Beautiful Pain」には再びヤられた。2日目はようやくのお披露目となった「ラブレター」「Treasure☆」が印象深いが、何と言っても「∀NSER」から「サマカニ!!」までの怒涛のユニット曲7連続には燃え尽きた。

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両日通すと、初披露は何曲かありつつもライブツアー中に聴いてきた馴染みの曲ばかりのため「ライブツアー総集編」という面持ちで始終安心して聴くことができた(意外な組み合わせばかりで会場を湧かせたDJぴにゃコーナーは除く)。歌やダンスに滲み出る自信、MCから伝わる演者間の距離の近さには、ライブツアーを通して築かれた成長と絆が見えるようで、なんでもないところで目頭が熱くなることもしばしば。これもまたライブツアーの賜物であろう。

 

  • 夢の単独ドームライブへ

そして最終公演での一番の事件は、最終日の「来年の6thライブはドームで開催」という発表。アイドルマスターとしては2015年に合同ライブが西武プリンスドーム(現メットライフドーム)で開催されたこともあったが、作品単独でのドーム公演は初めての出来事。年々競争率の上がるチケット争奪戦に対し、来年は何枚CDを買わなければいけないのかと思うと今から頭が痛いが……それはさておき、ライブツアーで成長したアイドルたちやまだ見ぬ新アイドルが、来年はどんな景色を魅せてくれるのか想像すると逸る気持ちで胸がいっぱいである。

しかしプロデューサーには片時も休む暇がない。10月には765ミリオン合同の武道館ライブ、1月には765プロ久々の単独ライブと追いかけているうちに、ドームライブまであっという間。プロデューサーになってからもう10年は経とうとしているが(2007年11月にXBOX360版を買って以来の付き合いだ)、ここ最近の忙しくも楽しいプロデューサー生活が、1番充実しているように思う。

来年に向け、まずは来週に発売が迫った4thライブBDでイメトレ開始だ。

 

2017年夏アニメはこれを見ろ!

面白いアニメはわからないが面白そうなアニメならわかる。本日よりスタートの2017年夏アニメから気になる作品をピックアップしてみた。

 

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先月末に念願の『HUNTER×HUNTER』第34巻が発売されたが、同時に購入し、負けず劣らずの迫力に圧倒されたのがこの夏アニメ化される『ボールルームへようこそ』の原作第9巻だった。

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そんなノリにノッている原作を監督する板津匡覧氏は、故・今敏監督の遺作となるはずだった『夢見る機械』の監督代行を務めるはずだった男である(残念ながら制作中止となった)。今回が待望の初監督作品だ。 キャラクターデザインは岸田隆宏氏、作画監督千葉崇洋氏、本田真之氏というとこで『ハイキュー!』作画チームの手腕も再び拝むことができそう。今期最も楽しみにしている作品だ。

とりあえずキレッキレの作画とUNISON SQUARE GARDENの新曲が心地良いPVを見て欲しい。

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miabyss.com

監督はマッドハウスで『マスター・キートン』『MONSTER』『花田少年史』など数々の名作を手掛けたベテラン小島正幸氏。キャラクターデザインは『機動警察パトレイバー』『攻殻機動隊』の黄瀬和哉氏、シリーズ構成は硬軟書き分けが上手いうえに原作付きもオリジナルでもどんと来いな『R.O.D.』『灼熱の卓球娘倉田英之氏というビッグネーム揃い。

つくしあきひと先生の原作は……未読であるが、コナミ勤務時代に美術を担当されてたゲーム『エレビッツ』は好きであるし、過去にはコミケで同人誌も買わせて頂いたことがあるので気になっていた。アニメ開始後に読んでみるつもりだ。何と今なら電子版が10円!(PR)

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  • ザ・リフレクション

公式サイト

このところアニメに力を入れだしているNHK総合の新作はなんとスタン・リーおじいちゃんと『蟲師』長濱博史監督によるオリジナルヒーローアニメ。キャラクターデザインは『蟲師』、『僕のヒーローアカデミア』の馬越嘉彦氏。ストーリーもヒーローアカデミアライクである。

スタン・リー氏原作のアニメといえば過去に『HEROMAN』などもあったが、今回こそはMARVELユニバースの昨今の盛り上がりに乗じた合流なんかも期待してしまう。さてどうなるか。

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今期は原作ものが元気ある印象。引き続き放送となる『レクリエイターズ』『サクラクエスト』の展開も注目である。

 

ガチンコ『ARMS』の危うい面白さ

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今朝起きたら腱鞘炎になっているぐらいに週末熱中していたNintendo Switch用新作ゲーム『ARMS』。こんなにガチンコで良いのかなという疑問半分、しかし当分止められられなさそうでもあり。

 

  • ついに登場した『Splatoon』以来の新キャラクター

まず『ARMS』についてサクッと説明すると、Nintendo Switch用として発売された新作アクションゲームである。Switchの特徴でもある2本のコントローラー(Joy-Con)を両手に構え、ボクシングの要領で伸びる腕で攻撃し合う2人用対戦モードがメインとなっている(2人対2人のチームバトルや、バレーボールやバスケットボール風のおまけ対戦モードなどもある。また実は通常のコントローラ両手持ちプレイもできる)。

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他のゲームで例えるなら、ベラボーマンとダルシムしかいない『電脳戦機バーチャロン……と言うと余計に分かりづらいか。Wiiスポーツ』のボクシングを対人戦用にパワーアップしたようなゲームである。

そして実は本作は、大ヒットタイトルSplatoon』以来2年ぶりとなる任天堂が据え置き機向けに発売する新規キャラクターゲーム。Switchを代表する1本になるのではないかと、密かに注目を集めていたタイトルでもある。

 

  • 間口を狭めかねないガチンコ加減

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Wiiスポーツ』然り、『1-2-Switch』然り、これまで腕を振り回して遊ぶ体感型ゲームの多くは気軽に遊ぶ事、観衆も一緒に楽しめるものが主だった。そのため今作も気軽に遊べるゲームでは……という想像を膨らませていたのだが、開始早々にそんな思いは崩れ去った。

本作のメインとなる対戦モードは「パーティマッチ」「ランクマッチ」に分かれているのだが、この「ランクマッチ」は一人用モード「グランプリ」の全7段階の難易度のうちレベル4(丁度真ん中の難易度)をクリアしなければ解禁されない。これは2D格闘ゲームでいうところのアーケードモードのような、任意のキャラクターを選んでCPU10人と連戦するモード。当然さっさとクリアして対戦を楽しもうと思ったのだが、1人目から負け続ける始末。特に7戦目のニンジャラ戦で1時間以上の足止めをくらったこともあり、クリアするのに結局4~5時間程度かけてしまった。

レベル1から順に時間をかけてプレイしなかったのが悪いということも、トレーニングモードをクリアして上達してから挑戦すべきだったことも、そして私みたいな下手っぴがいきなりランクマッチに行ってボコボコになるのを防ぐために任天堂があえて困難な関門を作って成長させてくれたことも、全てわかっている。わかっているが、なんというガチンコっぷりだろうか。

任天堂のバトルゲームといえば『マリオカート』『大乱闘スマッシュブラザーズ』などの運が大きくからむ乱戦ゲームや、『Splatoon』のようにチームメンバーでリスクが分散される協力ゲームなど、初心者でも気軽に手を出せるゲームが主軸だと思っていた。本作ではそんな甘い気持ちは許されない。全ては自己責任の真剣勝負。しかしこの「体感アクションゲーム」なのに「ガチンコバトル」を強いるアンバランスさは、ゼルダなのに終始リモコンを振らせるWii用ソフトゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』を彷彿とさせるものがある。

 

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ここまで『ARMS』は異質だという話をしてきたが、じゃあつまらないのかというとそんなことなことはない。いざ遊べるようになったランクマッチは想像以上に熱くて面白い世界だった。ガチンコだからこそ、一戦一戦に一喜一憂できる。負けたら反省して対策を考えるし、それがハマると気持ち良い。これはもしかしたら、自分がいつもちょっとやっては挫折して気付くことのなかった、格闘ゲームが本来持っている熱さなのかもしれない。

『ARMS』は多くの格闘ゲームのように「パンチ」「投げ」「ガード」の3すくみが基本になっているが、キャラクターの手が伸びるという特殊性により、お互いに相手の動きを見てから回避or反撃を行うのが容易になっている。また格闘ゲームのようにコマンドを覚えるということも必要ない(全ては腕を振るかワンボタンで技が出る)。これらは任天堂なりに格闘ゲームのエッセンスを昇華した結果に思える。

 

本作はおそらく間口の狭さからしてかなり人を選ぶゲームだと思うし、長いストーリーモードもなければやり込み要素も少ないところはまるで発売当初の『ストリートファイターⅤ』のようだ。『Splatoon』先輩のように喝采を浴びて万人に受け入れられることはないだろう。けれどもランクマッチを通じて真剣勝負の面白さを広く伝えたいという、任天堂の意気込みを強く感じる。だから私個人としては腱鞘炎を押してでも、もっと遊びこんでみたいと思っている。

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そしてゲームを続けるのに一番大事な事は、好みのキャラクターを見つけること。幸いツインテーラの健康的なセクシーさに一目惚れしてしまったので、続けるのに苦はなさそうだ。

 

「湯浅政明の夜明けを告げる」ルーのうた

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夜明け告げるルーのうた』を見た。驚いた。湯浅政明監督が新たなステージに踊り出たのだ。

 

・ドラッグ、トリップ、湯浅政明

湯浅政明監督といえばフジテレビのノイタミナ枠で放送された『四畳半神話大系』『ピンポン』で有名かと思うが、どちらもノイタミナという受け皿があったからこそ放送できたであろう独創的な映像作品であったことは見た人ならご存知かと思う。けれどあの2作が特殊なわけではなく、それ以前にWOWOWで放送されたオリジナルアニメシリーズや、そして監督デビュー作である映画『マインド・ゲーム』に至っては、更にアナーキーでドラッギーな作品であった。だから湯浅政明監督は、なんだかへんちくりんでぶっ飛んでいるトリップ映像作品しか作れない、いわゆる「一般ウケする映画」が作れない人だという固定観念を持ってしまっていた。

『夜明け告げる~』に先んじて公開された『夜は短し歩けよ乙女』は、まさにそんなアナーキーな湯浅監督の集大成ともいえる映画となっており、森見登美彦氏の原作におけるマジックリアリズム的色合いが監督独自の映像表現により一層引き立ち、原作ともまた異なる印象を物語に添える傑作だった。

 

・これまでにない、物語とキャラクターの力


『夜明け告げるルーのうた』予告映像

そして『夜明け告げるルーのうた』だ。予告映像を初めて見た時の印象は、『夜は短し~』に続いて湯浅監督のドラッグ映画がまた一本増えることへの期待と、監督作を見たばかりなのにという若干食傷気味な面持ちだった。それがどうだろうか。いざ鑑賞した映画から受ける印象はとても晴れやかだ。いつもの「なんかやべぇもん見ちまったな…」という困惑がないのだ!

この映画を清々しい印象にしている要因は、瑞々しい物語とキャラクターの力に他ならない。

物語は王道の青春ジュブナイルファンタジー。瀬戸内海を思わせる港町・日無町に東京から越してきた中学生カイが、音楽に引き寄せられて現れた人魚の女の子ルーと出会い、地元の中学生である遊歩と国夫とのバンド結成や、ルーを利用しようとする大人たちとの争いを乗り越え、やがて心を開くというもの。筋だけを追えば宮﨑駿監督の『崖の上のポニョ』や、今敏監督が執筆した漫画『海帰線』を彷彿とさせるものだが、そこは現代アニメで王道を書かせたら他にいない吉田玲子さんの脚本である(代表作は『けいおん!』『ガールズ&パンツァー』)。台詞や仕草の丁寧な積み重ねに自然に引き込めれ、カイを、ルーを応援したくなる気持ちが止められなくなってしまった。

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キャラクター原案を手がけるは漫画家として活躍しているねむようこ先生(『午前3時の無法地帯』、大好きです)。アニメのキャラクターデザインを手がけるのはほぼ初めてのこと。これまでは原作付きであってもどこか異世界の住人ばかりに見えた湯浅作品であるが、本作の地に足の着いた、それでいてキュートなキャラクターの数々はねむようこ先生とのタッグなくしては生まれなかったであろう。

 

・湯浅監督の原点回帰

強い物語とキャラクターを得た『夜明け告げるルーのうた』は、「ユニークで、楽しい、一般受けする」映画となり、湯浅監督の新たな一面を引き出すことに成功した。そしてこの気持ちのいい映像体験こそ、ルーツである『ちびまる子ちゃん』や『クレヨンしんちゃん』で監督が描き、そして世界に向けて改めて本当に描きたいものなのだろう。

新海誠監督に、山田尚子監督、片渕須直監督、そして湯浅政明監督。ベテラン監督の次世代ステージがリアルタイムに更新されていく様を追える、現代アニメ映画はやはりとてつもなくオモチロイ。(湯浅監督風に言ってみる)(やはり監督のセンスはちょっとずれてる)(ダンスシーンだけはサムいと思った)

マチ★アソビで声優さんと飲んだ話

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2017年5月5日から5月7日までの3日間、徳島県徳島市で開催されたマチ★アソビ Vol.18に初めて行ってみたところ、声優である清桜の飲み会イベントに参加できたり色々盛り沢山で楽し過ぎた。

なぜ今まで行かなかったのかというと私の住む東京から遠いからでしかないのだが、距離なんかを理由にこれまで17回もの間参加しなくて後悔する私のような人間を一人でも減らすためにここが良かったというポイントを紹介してみる。

 

  • 清桜との飲み会が楽しい

声優ユニット「清桜」の清水彩香さん、中村桜さんと2,000円で日本酒飲み放題というイベント「清桜 in マチ★アソビ トーク&飲み会」に幸運にも当選したら最高に楽しかった。何せ綺麗な声優さんたちと飲めるだけでなく、日本酒の著書を出されている杉村啓先生の解説付きで飲みながら楽しく学べるのである。

今回は三芳菊酒造の様々なお酒を、ラベルを隠して飲みながら、清桜お二人のイメージに合った日本酒を決めるという変わった趣向。いざラベルを隠して飲んでみると銘柄から受ける先入観がなくなり、目的意識もあることから、普段飲む時よりも嗅覚・味覚を研ぎ澄まして味わうことができた。最終的にラベルが剥がされ解説も聞き、もう一度飲むことで味覚と知識が一体に。これはただの飲み会などではなく、まぎれもなく杉村先生のありがたい講義だった。参加者の持ち込みの酒も振る舞われ、もはや何杯飲んだか覚えていない状態になったとはいえ。

またなんと言っても、声優さんたちとの距離が近い! これはマチ★アソビで開催されるイベント全般に言えることだが、近いうえにやたらと多くて、出演声優も被っているのでどんどん身近に感じてしまう(それは錯覚だが)。しかもこのイベントでは目の前で軽く酔っ払っているのである。夢のような体験である。調子に乗ってサインまでもらってしまった。

イベント詳細はこの記事なども見てもらえればわかると思う。より距離の近さが伝わるのではないか。

dengekionline.com

 

マチ★アソビ最大の目的はアイマスのステージイベントだったのでもちろんこれも楽しかったということはプロデューサー(アイマスファン)の1人として強く主張しておきたい。

1日目は「ガミPとまったりミーティング にかいめ。」という、アイマスの総合プロデューサーであるガミPこと坂上陽三氏にファンが際どい質問をぶつけまくるイベント。メディアの取材禁止、観客のネットへのカキコミ禁止というアナウンスが出ているだけに、ここだけでしか聞けないスレスレな発言が交わされていたので、内容についてはもちろん何も書けない。真のプロデューサーなら次回開催時に来るしかない。

2日目はもちろん「アイドルマスターシンデレラガールズ劇場 スペシャトーク in マチアソビ2017」。双葉杏役の五十嵐裕美さん、依田芳乃役の高田憂希さんという濃い2人が場を盛り上げたのだが、こちらもあんまり過激な内容なので詳細は伏せる。五十嵐裕美さんはマチ★アソビ全18回皆勤という強者なので、五十嵐裕美さんを間近で見たいプロデューサーはやはり次回も来るしかない。とにかくプロデューサーはマチ★アソビに来るしかない。

 

  • 徳島グルメが美味い

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出店の中では半田そうめんがとびっきり美味しい。ハンバーガーもおすすめだ。

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その他、徳島ラーメンに阿波尾鶏と、昼も夜も徳島グルメを食べ歩いた。確実に増えた体重で現在腰回りが苦しいことになっているがそんなことを気にしてもしょうがないので、次回は絶対に深夜0時開店という幻の鯛ラーメンを絶対に食すと心に誓った。

 

  • 聖地が近い

徳島のある四国、そして瀬戸内海を挟んだ中国地方はアニメの舞台、いわゆる聖地が多いので、この機会を逃すまいとものはついでと巡ってきた。

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この世界の片隅に」の舞台となった広島県呉市

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かみちゅ!」の舞台、広島県尾道市

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ついでに岡山県倉敷市では「ひるね姫」のVRコンテンツなんてのも。VRなら瀬戸内海だって飛び越えられる。

 

  • 他のイベントも楽しいものばかり

他に観覧・体験したのは「チャリティーオークション」「春奈るな ミニライブ」「エロマンガ先生ニコ生公録」「眉山ロープウェイ」「徳島VR映像祭」「アニメーションズDJライブ」「アニメガタリトークイベント」などなど。

川沿い・商店街を中心に非常に多くのイベント・展示が所狭しと開催されており、全てをまわるのはとてもじゃないが無理なので厳選したが、どれも時間を忘れるほど楽しいイベントばかりだった。

 

 

最後に、今後に期待する点も書いておきたい。

アニメスタジオufotableを中心に中小の企業が集まって開催されているため、中高生~大きいお友だちに向けたコンテンツが多く集まっている一方で、子供や大人が安心して楽しめるものというのは極めて少ないと感じた。集英社講談社がVRコンテンツのみとはいえ参加しており、それを小さい子らが楽しんでいる姿にはちょっと安心したが(そして空気の読めない知ったかぶりオタクが横から回答しづらい質問を投げて、ただでさえ1人でお客さんの対応に追われている編集者さんがイライラを募らせるという地獄も見てしまった。次回も来てくれるだろうか某社……)

そんな中、1日目夜に開催された「第1回 アニものづくりAWARD」表彰式は、アニメとCM・広告・製品のコラボコンテンツを評価するというもので、大人目線で楽しむことが出来たので大変有意義な時間だった。普段コラボCMなどは気にして見ているつもりでいたが、随分取りこぼしていることに気付かされた。MCの高野麻里佳さんが大変可愛く、利発であったことも特筆しておく。他にもセミナーはいくつか開催されてはいたものの、定員の関係や時間の都合でなかなか足を運べなかったのは残念だ。

下記CMは会場で紹介されていて、おおっ!(知らない or すごい)と思ったもの。やつか整形外科内科のヤバさよ。


【手描きアニメ】「サヨとコウの出発」 駅すぱあと


やつか整形外科内科CM


"Fastening Days 2" Japanese audio version (Subtitles available)

housefoods.jp

www.itmedia.co.jp

 

 

というわけでマチ★アソビ初心者として今回のイベントを通して思ったのは、お子様の方も向いている企業との協力であったり、より広い会場の確保によりセミナー関係の充実を図ることが、地元と長く良い関係を続けるうえで必要ではないだろうか、ということだ。当然そういった施策をすでに打っていて、会場も運営側もキャパ不足だから特化したコンテンツに徹している、という状況は想像に難く無いが。けれどももっと良いものにしていけると思う。

とはいえ地元、出演者・登壇者、そして参加者の強い絆を感じる、都内には無い素敵なイベントだったのは確か。次回以降も是非とも参加してみたい。