
鶴巻和哉監督最新作である劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』(ガンダムジークアクス ビギニング)を公開初日の1月17日に池袋グランドシネマサンシャインのIMAXレーザーGTで観た。
鶴巻和哉氏が25年前に監督を務めたOVA『フリクリ』は当時学生だった自分が強く影響を受けたオールタイムベストアニメだ。その後の鶴巻監督も楽しみに見守ってきたものの、同じくOVAの『トップをねらえ2!』や、NHKで放送された中編作品『龍の歯医者』など露出の限られた作品が多いため一ファンとして悔しい想いを抱いてきた(もちろん『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの監督としての活躍は目覚ましいものだったが、世間的には庵野秀明総監督の作品としか思われてないだろう)。
そんな氏がガンダムシリーズ最新作の監督を務めるということで、ようやく鶴巻和哉監督が広く世に知れ渡る時が来た!と多大な期待をしながら迎えた 『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』。見終えた現在の気持ちとしてまずは、とても鶴巻和哉監督らしさの溢れる映像を再び見られたことが嬉しかった。
鬱屈を抱えた青少年がパッション全開で大人たちに反目する眩しさ、主人公マチュと、謎の長身少女ニャアンや不思議少年シュウジとの先が気になる危うい関係性、疾走感あふれる立体的機動の超絶バトル、そしてそれらを彩る軽快なボーカルサウンド。
『フリクリ』『トップをねらえ2!』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』で培われた愛と情熱とテクニックが出し惜しみなく全力で詰め込まれており、鶴巻和哉監督の新たなフィルムが産まれ落ちた感慨でいっぱいである。
気になったのが庵野秀明氏が脚本・コンテを務めたパートの存在。面白がって見てしまったのも事実だが、本編パートとかなり雰囲気を異にするものなのでそこはもっと短くてもいいんじゃないかと思ったし、「俺は鶴巻和哉監督のアニメを見に来たのだが…?」と困惑させられた。
とはいえこのパートがあるからこそ映画としてのリズムが生まれているとも思えたし、スタジオカラーが制作する意味性が表れている。こんなに臆面なく「オタク」できるのはやはりスタジオカラー最大の武器と言えるだろう。ガンダムの看板でなければ描けないロボットアニメを真剣に描いている点は高く評価したい。

というわけでちょっとした引っかかりは覚えたものの、新作ガンダムとしてこれだけ楽しみな作品は富野由悠季総監督による『Gのレコンギスタ』以来なかったし、シリーズ序盤を見た今もその気持ちに変わりはない。テレビ放送が始まるのが今から楽しみで仕方ない。
最後になるが、この機会に『フリクリ』をテレビ特番で流してくれてありがとう日本テレビと米津玄師(嬉しくて思わずツイートしたらここまでバズるとは……)。
米津玄師がフリクリ愛を語ってくれたおかげで地上波TVでフリクリの映像が流れてるやばい pic.twitter.com/Yt9kcAcfRN
— マッツ・ユウキ (@yukkii22) 2025年1月18日