男の魂に火をつけろ!さんの企画に乗ってみます。
1993年/押井守監督
政治、経済、戦争、男と女…アニメで描かれる事の少ない、ヘビーな要素をめいいっぱい詰め込んだ傑作アニメ映画。作中時間は(架空の歴史上の)2002年とはいえ、テロが身近になってしまった現代だからこそ、描かれる事件が真に迫る。
初見時はレイバーの活躍しない退屈な映画に思え、終盤のアクションシーンばかり繰り返し見たものだが、時間を置いて再視聴した際はそこに至る過程こそが面白かった。見る度に印象の変わるスルメのような映画。押井守監督ならではの長回し演出が癖になる。
初見時はレイバーの活躍しない退屈な映画に思え、終盤のアクションシーンばかり繰り返し見たものだが、時間を置いて再視聴した際はそこに至る過程こそが面白かった。見る度に印象の変わるスルメのような映画。押井守監督ならではの長回し演出が癖になる。
2位 ベルヴィル・ランデブー
2003年/シルヴァン・ショメ監督
The Triplets of Belleville - Movie Trailer - YouTube
今年公開された『ぼくを探しに』では実写でもその才能を発揮したシルヴァン・ショメ監督だが、アニメ畑への帰還を期待したい。
3位 時をかける少女
2006年/細田守監督
単館上映ながら、口コミで話題を呼び全国を行脚。次作では全国拡大公開を果たした細田守監督の出世作。
ベースは筒井康隆氏の有名原作だが、舞台を現代に移した続編的な位置づけ。瑞々しい脚本と、細田監督らしい影を排した、活き活きとしたキャラクター描写が絶妙にマッチ。
監督が演出した『おジャ魔女どれみドッカ~ン』40話と併せて見ると一層味わい深い。
4位 マインドゲーム
2004年/湯浅政明監督
原作の魅力を遺憾なく発揮したアニメ化で今年話題となった『ピンポン』を手掛けた、湯浅政明氏の監督デビュー作。
大胆過ぎるレイアウトや、キャラ作画を役者自身の写真に置き換えるなど、湯浅監督独特の技法が次々と繰り出されて目眩がすること請け合い。ドラッグのような映像表現を味わえる。
1998年/佐藤竜雄監督
時は人を変える。アニメキャラにもその現実を突きつけた非情な映画。
テレビ版の主人公たちが一様に変貌して姿を見せるこの映画は、コメディ風ロボアニメだったテレビ版とは打って変わって、全編緊張感みなぎる作風となっている。
最近に限らず、テレビアニメの延長線で作られるアニメ映画も多いが、ここまで明確な線引きをしたアニメは珍しい。
7位 耳をすませば
1995年/近藤喜文監督
坂の多い街並み、やりたい事と出来ることの間でもがく焦燥感、見てるこっちが恥ずかしくなる告白。丹念に描かれる青春の1ページはいつ見ても眩しい。壁ドン映画の最高峰。
8位 虹色ほたる 〜永遠の夏休み〜
2012年/宇田鋼之介監督
少年少女のひと夏の思い出を描いた感動作。流行りの「ネット発小説」のアニメ映画ではあるが、凡庸なライトファンタジーではない。2Dアニメーションならではの情感のこもった筆致に圧倒される。
なお『ヤマノススメ セカンドシーズン』第13話がこの映画の影響下にあるのは有名な話である。
9位 楽園追放
2014年/水島精二監督
『鋼の錬金術師』『機動戦士ガンダム00』にも通じる水島精二監督の作家性と、何かと話題の虚淵玄氏のSFマインド溢れるシナリオ、エウレカセブンの京田知己氏による目にも留まらぬ空中戦が融合し、最上のオリジナルSFアニメ映画に仕上がっている。
日本ならではのセルルックCGアニメの現在の到達点。こんなのを見せられたらこれからの日本発のCGアニメに期待してしまう。
10位 秒速5センチメートル
2007年/新海誠監督
見る度にディスクをフリスビーにしたくなる、苦味の強い恋愛映画。
アニメの美術に実在する風景を描写する手法はもはや目新しくもないが、そのはしりである新海誠監督の作品では、実在するそれよりも何倍も美しく描かれる。
そして私の実家近くの何の変哲も無い風景が新海カラーに染め上げられたのにびっくりして本作は何度も見返したものである。
以上。
ところで本当はこのベストテンに、幼少の頃に見て大変感動した『チスト みどりのゆび』(1990年公開、作画監督黄瀬和哉!)を入れたかったのだが、そもそも物理的に手に入らなくて再評価できなかった。どこかの石油王がDVD化してくれないだろうか。