ユウキズ・ダイアリー

アニメ・映画・ゲームについての雑記

気分はちはやふる!?「感じ」の良さを鍛える新感覚パーティゲーム『キキトリック』

アニメも好評放送中の、異色の競技かるた漫画『ちはやふる』。この作品の中で主人公「千早」は「感じ」が良い、つまり読み手の発する声のほんの一文字目を聞くだけで、その先に続く文字を予測し即座に反応できる、先天的に耳の良い選手として描かれている。

先日任天堂からWii用に発売された『キキトリック』は、つまりそんな「感じ」の良さを楽しく鍛えられるパーティ向けソフトだ。

  • 自分が「耳と手だけになる」熱い対戦モード

このソフトでプレイ可能な対戦ゲームは以下の5種類。(他にもおまけの隠しゲームが多数収録されているようだが、全てのモードを解禁していないのでここでの説明は省く)
1.ソラミミカルタ:このゲームの基本、ノイズだらけの音声(初音ミクの音声を更に聞き取りづらくしたもの、と言えばわかりやすいだろうか)から何を言っているのかを判断し、画面に表示される4枚の札から正しいものを選択する対戦ゲーム。
2.電器店:スピーカーから流れる一つの音声が、テレビ画面に表示される4つの映像のどれから発せられているのかを瞬時に判断して選ぶ対戦ゲーム。
3.サーカス:ノイズ混じりではない音声、ただし次々と連続で聞こえる単語を聞いて、画面に表示される8つの札を撃ちぬく60秒限定のシューティングゲーム
4.売店:工事現場や美術館といった特殊環境音の流れる中で、来店する客の指示したものを正確に聞き取って販売する売店のおばちゃん体感ゲーム
5.工場:「ワン」と「ニャー」から成る音の組み合わせ(「ワンワンニャー」「ニャーワンニャー」など)を正確に記憶して、素早く対応するボタンを押す(「BBA」「ABA」など)瞬間記憶ゲーム。
どのゲームも「耳に入った音を頭で理解し指で反応する」という一連の動作を様々なゲームの形で体感することができる。対人戦は本当に熱く、集中していると自分が耳と手だけになるかのようなプレイ感覚は他のどんなゲームでも味わった事がない。『ちはやふる』で描かれる競技かるたを私はプレイした事がないのだが、このプレイ感覚はずばり競技かるたのそれに近いんじゃないかと思う。

そしてこれら様々なゲームモードの中でも、電器店モードが大のお気に入りだ。何せ数百種類の映像はアニメも実写も入り混じったカオスなもので、特に実写映像の素人撮影らしいシュールさは、テレビ番組に例えるなら『タモリ倶楽部』の空耳アワー、ゲームなら『ルーマニア#203』に通じる馬鹿馬鹿しさがある。

  • 欠点は対戦モードが最初から遊べないこと

対戦モードは前述の通り大変面白いのだが、この対戦モードが最初から遊べないのがマイナスポイント。5種類のモードを出現させるには、このソフトのメインモードである「ノイズ君となかまたち」という、ノイズ音声聞き取りモードをひと通りクリアしなくてはならないのだ。このモードも最大4人で遊ぶことができるのだが、「音声を聞きとって何を言っているのか当てる」だけでは競技性も達成感も低いので多人数で熱中できるというほどでもない。そして一人遊んでもそんなに……。これだけで1〜2時間はかかるし、私の場合サブゲームの「ミミプロ」モードも同時に進めていたので3時間以上かかった。対戦モードをオープンするためにこれだけかかるのはちょっと酷だ。

2012年1月22日現在、Amazonに投稿されているレビューを見ると☆5つが2件、☆3つが1件、☆1つが1件と綺麗にバラついており、プレイ環境による面白さの違いが明確に表れている。見た目のクセの無さ、すぐに覚えられて熱中できるゲームシステムは『安藤ケンサク』クラスなので、多人数で遊べる環境にいる人なら、パーティーゲームとしては新鮮で面白いので重宝するはず。反面、一人でしか遊べない人がこのソフトをプレイしたら虚しくて死にたくなるかもしれない。
このゲームは対戦モードが解禁されてからが本番。「ノイズ君となかまたち」モードをやり抜いて、是非人を呼んで対戦に興じてみてほしい。絶対熱中して、自然と「感じ」が鍛えられるはずだ。4時間遊んだ私はもちろん充分に鍛えられた!……と言いたいところだが、「サーカス」モードを遊んでいる途中で耳がショートして頭が真っ白になるので、まだまだ千早にはなれそうもない。一緒に遊んだ弟にまで「頭のコアが足りてないんじゃない?」と罵られる始末。千早を目指して、そして脳内コア増量のために、まだまだ遊び込む必要がありそうだ。