ユウキズ・ダイアリー

アニメ・映画・ゲームについての雑記

ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リング・オブ・フェイト

「箱庭ゲーム」と云われるタイプのゲームがある。
定義は様々なのでどれが箱庭でどれが箱庭じゃない、といったことは一概に言い切れないのだが、「CGポリゴンで構成されたフィールドを自由に動き回れるゲーム」を指してこう呼ぶ場合が多いのではないかと思う。
しかし3Dアクションのスタンダードを築いた傑作ゲーム『スーパーマリオ64』から始まったこの箱庭ゲームの進化は、米ロックスター社の『グランドセフトオート3』を経て延々と続く広大な街並までもを再現するに至ったのだが、フィールドが広く、より精緻になるに従い本来箱庭ゲームが持っていた「プレイヤーが隅から隅まで把握できる」という箱庭らしさを失っていった。
そういう意味ではボリュームが手ごろでプレイヤーが全体を把握しやすく、かつ見える範囲のところにはどこにでも行け、さらにドラマチックなストーリーを乗っけて「箱庭の成長過程」まで眺められるという、箱庭要素が全て詰まっていた『ロックマンダッシュ』シリーズや『テイルコンチェルト』などのPS・64時代に発売されたいくつかの3Dアクションゲームこそが最も箱庭ゲームらしい箱庭ゲームだったのだと私は思っている。
昨今のゲームの必要以上の大規模化によってこれらのような「箱庭っぽさ」を感じられるものはなりを潜めているのだが(ここ数年だとPS2の『バンピートロット』なんかも箱庭っぽいけど、あとは、んー、思いつかない)、前述した2作には未だに根強いファンが続編を待望していることからも、「箱庭ゲーム」には他には換えがたいプレイヤーを惹き付ける力があるのだろう。


さて今日紹介する『ファイナルファンタジークリスタルクロニクル リングオブフェイト』(以下FFCCRoF)だが、プレイする前はDSには珍しいマルチプレイ可能なアクションRPG、という程度にしか認識していなかったのだが、プレイしてみると以外や以外、箱庭ゲームとしての非常に魅力的な作品に仕上がっていた。

「FF」という冠をつけている以上大規模なゲームを想像してしまうところだが、ゲームの中心となるのはたった一個の城下町。ポリゴンで表現された町の全体マップは決して広くはない、というかむしろ狭いぐらいだが、狭いゆえにどの住民のがどこにいるのか、といった情報を把握しやすい。しかもストーリーを進行するにしたがって住民の台詞も次々に変化を見せるので、必要はなくてもついつい全員から話を聞きたくなってしまい、自然と架空の世界の住民たちの「息遣い」を感じ取れるようにできている。

「広くはない」とは書いたが、立体的に構成され屋根の上まで歩けるという移動範囲の自由度の高さはいかにも箱庭ゲーム的。この良さは敵と戦うことになるダンジョンマップでも活かされており、ただ奥へ奥へと進むだけではない立体的な謎解きはやり応えがあり、ゲーム全体に一層の奥行きを感じられる。

シングルプレイのボリュームは手頃で初プレイ時のクリアタイムは12時間ほどだったが、やりこみゲーマー向けにレベル・装備を引き継いで難易度の高い2週目3週目にも挑戦可。しかも見た目にも反映される大量の装備品も相まって、周回プレイが苦にならない。もちろん別データで最大4人までのマルチプレイ(無理やり1人プレイも可)もできるのでやりこみ要素は充分。


DSのボタンをフルに使ううえに、さらにタッチパネル上の擬似ボタンを15個も使用するので(魔法・アイテムで8、キャラ切り替えで4、その他3)インターフェイスが煩雑、しかもタッチパネルが指紋でベトベトになるとか、ストーリー重たすぎであの終わり方で本当にいいの?とか、雑魚敵に比べて一部のボスが強すぎじゃないのか?とか突っ込みたいところは山ほどある。
あるのだがクリア後すぐに2週目を始めてしまうぐらいにはアクションもストーリーもかなり面白いし、これだけの箱庭ゲーを久しぶりに触れたのが何より嬉しいので、マイナス面はあまり取り上げるべきところではないだろう。

この作品のみならず、スクウェアエニックスは『FF3』といい『チョコボと魔法の絵本』といい、DSではハードの性能を充分に活かしきった良作を発売している最も頼りになるサードパーティ。次世代ハードも頑張ってほしいのはもちろんなのだが、DSでの中規模ソフトの生産ラインの火は是非とも絶やさないでもらいたい。次はリメイク版『FF4』に期待。