ゲーム機を買うベストタイミングとは一体いつだろうか?
私はいわゆるアーリーアダプターなので、気になったゲーム機は四の五の考えずにとりあえず発売日に買う主義なのだが、世の中そんな酔狂な人ばかりではないことは知っている。多くの人は何かと理由が積み重なって買うものだ。
でもそんな理由の最たるものは「"そのゲーム機ならでは"のソフトが発売されたから」ではないだろうか。かつてはニンテンドーDSの『脳トレ』や、GCの『ピクミン』が発売された時、新しいゲーム体験や斬新なキャラクターが大きな話題を呼んで、ゲーム機本体の売り上げを牽引したものである。
今週5月28日に発売されたWii U用ソフト『Splatoon(スプラトゥーン)』は、遊んで数時間、いや数分で、そんなかつての名作に比肩する"Wii Uならでは"のタイトルだと感じてしまった。だからみんなWii U本体ごと買うべきである。
……べきであるが、勢いに任せて買って後悔されても困るので、『Splatoon』がどんなソフトで、そしてWii Uは何が出来るのか、この際きちんと説明しておこうと思う。
1. 『Splatoon』って何だ?
- 敷居の高いオンラインマルチプレイTPS
『Splatoon』を既存のジャンルに当てはめるなら、いわゆる「オンラインマルチプレイTPS」である。
TPSとはサードパーソンシューティング、つまりキャラクターの後方視点で撃ち合うゲームの総称(主観視点ならFPS)。『Splatoon』はキャラ同士が撃ち合う、しかも4対4のオンライン対戦モードがメインのゲームだ。ネットに繋がないと、ボリュームの少ないストーリーモードと、変則ルールの2人対戦しかできない。
だから任天堂と聞いて多くの人がイメージする、マリオのように1人で黙々と遊ぶアクションゲームではないし、テレビの前に集まってワイワイと遊ぶゲームでもない。1試合3分で終わる、顔も知らない人と競う対戦ゲーム、という前提は知っておいてもらいたい。
- 敷居の低い『Splatoon』
『Splatoon』の1番の功績は、そんな敷居の高い殺し合いゲームを、誰でも遊べる、遊びたくなるカジュアルなゲームにまで敷居を引き下げたことにある。
敷居を低く感じる最たるところは、このゲームが「敵を倒す腕前で勝敗が決しないという」点だ。一般的なTPSは銃を手に戦う以上、どうしても敵を倒す事に重点が置かれてしまうのだが、『Splatoon』の銃に篭められているのはペイント弾。このペイント弾で、より多くの地面を自チームの色で塗る事が勝利の条件だ。
当然、塗るのを邪魔する敵を排除するのはチームにとって有益だ。しかしそんなことより、とにかく塗りまくる事がチームへの最大の貢献になる。銃が嫌ならローラーなんて武器まである(掃除に使うコロコロを思い浮かべてもらえば間違いない)。ローラーなら敵に照準を合わせる必要がないので、TPS初心者でもアクションゲーム感覚でプレイすることができる。
- クールな外見と機能美を追求したキャラクター
『Splatoon』がそれらと一線を画すのは、クールな外見と機能美を追求した、任天堂ならではのキャラクターにある。
本作のプレイヤーキャラクターはイカガールとイカボーイ。ヒト状態ならペイント弾を手に塗りまくるが、ワンボタンでイカ状態に変身できる。イカ状態は攻撃こそ出来ないが「ペンキで塗った床/壁に潜れる」「潜行中はヒト状態より速く動ける」「潜行していると敵から発見されづらくなる」「壁に潜れば手の届かない所まで昇れる」といったゲーム上の利点が数多くあるので、常に切り替えながらプレイすることになる。「ペイント」×「イカ」の組み合わせは、どこでもフープとFPSを掛けあわせた『Portal』に勝るとも劣らない、TPS史上に残る大発明ではないだろうか。
そしてイカガールの外見が、これまた最高にイカしてる。セガの『ジェットセットラジオ』や『スペースチャンネル5』を彷彿とさせるポップでスタイリッシュなデザイン。良い意味で任天堂らしくないキャラクターには、任天堂の底力を垣間見た。
2. Wii Uは何ができるのか?
最近はゲーム機を買ってまで遊ぶ人は減っていると聞くので、『Splatoon』のためだけにゲーム機に投資するのに尻込みする人も多いのではないかと思う。ここでは簡単にWii Uは何ができるゲーム機なのか整理しておく。
- Wii Uの後継機
- 任天堂のゲームが遊べる
任天堂のゲーム機なので任天堂のゲームが遊べる。裏を返すと殆ど任天堂のゲームしか遊べない。これは他メーカーの主流ハードであるPS4とXBOX ONEがWii Uよりも高性能であり、低性能で2画面のWii U用に移植するのが大変だから。また任天堂の据え置き機では結局任天堂のゲームしか売れない、という実績をWiiの時代に築いてしまったため。任天堂専用ゲーム機と割りきって買うしか無い。
とはいえ発売から2年以上が経過して、それなりにタイトルも揃ってきた。コアゲーマー向けには『XenobladeX』『ベヨネッタ2』『ゼルダ無双』『零 ~濡鴉の巫女~』『ドンキーコング トロピカルフリーズ』『ドラゴンクエスト10』、ライトゲーマーやパーティープレイ向けには『マリオカート8』『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』『進め!キノピオ隊長』『ピクミン3』『スーパーマリオ3Dワールド』あたりを買っておけば間違いない。というかこれだけ遊べるのだからゲーム目的でも買って充分元は取れるはずだ。
- Wiiのゲームが遊べる
- 昔のゲームが遊べる
- 各種配信動画が見られる
Youtube、ニコニコ動画、hulu、バンダイチャンネルが見られる(バンダイチャンネルが対応しているゲーム機は現状Wii Uのみ)。もちろんどれもPC、スマホで見られるだが、やはり映画やアニメはテレビで見たいもの。コントローラーのみに動画を表示することも可能だ。huluで全話配信中の『ブレイキング・バッド』は絶対見るべき。
- カラオケができる
カラオケアプリを立ち上げれば、Wii Uの画面付きコントローラーがデンモクになる。あとは別売りのマイクさえ買えば部屋がカラオケルームに様変わり。1日歌い放題300円、1ヶ月歌い放題1,000円という価格設定も良心的だ。JOYSOUNDなので新曲ももちろん網羅している。(参考までに調べたところUNISON SQUARE GARDENの新曲『シュガーソングとビターステップ』もちゃんと配信されていた)
- これからのWii U
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『Splatoon』の魅力とWii Uについて自分なりにまとめてみたのだが如何だったろうか。
それでも踏ん切りが付かない……という人は、やはり百聞は一見に如かず。店頭や友人宅などで一度でもプレイしてみることをオススメする。きっと本作の魅力に取り憑かれること間違いなしだ。