ユウキズ・ダイアリー

アニメ・映画・ゲームについての雑記

新作アニメはこれを見ろ2018年春

昨年夏に福岡に転勤になったがなんやかんやあってジョブチェンジに成功して東京に戻ってきた。福岡在住中はテレビを買わずにいたが各種定額配信サイトを駆使したらまったくアニメ視聴に困らなかったので定額配信サイトすごい。毎クール判を押したようにお勧めアニメを書いてきたものの、こんなに楽に後から容易に追っかけられるならみんな話題になってから見ればいいのかもしれない。

けどまあ更新ネタとして書くのが楽なのでおもしろアニメがいっぱいあることはいつも声高に叫んでいたいので今期も書く。

 

gundam-bd.net

Figure-rise LABOのフミナさんが何かと話題になっているガンダムビルドシリーズ最新作。フミナさんは出ない。各テレビ局の権利が切れたからか『ガンダムAGE』『Gのレコンギスタ』のアレンジモビルスーツが出るようなのでその点非常に楽しみ(前作では権利関係から『ガンダム00』までの登場だった)。 

 

  • ひそねとまそたん

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hisomaso.com

シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督が総監督を務める完全新作アニメ。脚本は『さよならの朝に約束の花をかざろう』を監督したことで話題の岡田磨里さん。キャラクターデザインはNintendoSwitchの音ゲー『がるメタル』の青木俊直氏で主演声優は『アイドルマスターシンデレラガールズ市原仁奈役の久野美咲さん。大好きな黒沢ともよさんも出演している。好きな要素が多過ぎる。

航空自衛隊がドラゴンを使役するというハードな設定に対して、久野ちゃんの電波ボイスと手書き感たっぷりで再現度の高い青木キャラ。どんな化学反応を起こすのか。

 

手短かだけどもこんなとこで。身の回りが落ち着いたので更新頻度を増やす…増やしたい…どうかな…。

 

雨と雪とファンタジーと『さよならの朝に約束の花をかざろう』

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脚本家として知られる岡田麿里さんの初監督映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』が2月24日に公開日を迎えた。早速劇場に足を運んだのだが、予想を超える出来に心底震え上がった。いくつものシーンで滂沱の涙が止まらなかった。ファンタジーアニメ映画という鬼門に立ち向かい、真摯な答えを提示した岡田麿里監督には敬意を表したたい。

 

鑑賞前は「なぜファンタジーなのか」という点が疑問に浮かんでしょうがなかった。ファンタジー、ましてや国産のオリジナルアニメ映画となると、宮﨑駿監督作以外にヒット作がない(漫画やゲームのタイアップ、テレビアニメの総集編や続編は当然除く)。他は単に面白くないか、面白くないのに売れてしまったか、面白いのに売れなかったかの、いづれかだ。近年に限らず、そんな博打を打つ企画はほとんど通らず世に出ないのが現状である。脚本家としては『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』などのヒット作があるものの、監督としては実績0の岡田麿里さんを監督に据えてファンタジーアニメ映画とは、よくもまあこんな大大博打を打つものである。堀川プロデューサーは肝っ玉だ。

 

人里離れた土地に住む長命な種族イオルフの少女マキアが、あるきっかけを契機に里を離れ、赤子を拾い、女手一つで育てあげるというのが『さよならの朝に約束の花をかざろう』のあらすじ。物語の骨子は細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』とかぶる。おおかみこどもの雨と雪では宮崎あおい演じる主人公・花が人間と狼のハーフを女手一つで育てる姿が描かれた。決定的に違うのは、現代日本を舞台にしたおおかみこどもの雨と雪に対して、異世界を舞台にした純ファンタジーだという点だ。

『さよならの朝に約束の花をかざろうは、女性である岡田麿里監督自身が脚本も含めて手掛けているためか、母と子の関係性とその変化は極めてリアリティがあり、『おおかみこどもの雨と雪』以上に胸を打つ。またおおかみこどもの雨と雪』は公開時、物語の細部が現実的かどうかという無駄な揚げ足取りが一部で行われていたが、異世界ファンタジーであるおかげでそのような隙がない。ファンタジーである理由はここにあるのだろう。現実世界を舞台に据える物語以上に、世代を越え、文化を越えて、誰にでもフラットに受け入れてもらえる。これは所謂俳優の演じるドラマや映画に対するアニメの特性でもあるが、ファンタジーと組み合わさることで相乗効果が生み出される。

 

ただ陳腐なファンタジーであれば逆効果、シラけてしまうところだが、その点『さよならの朝に約束の花をかざろう』のファンタジー強度は高い。歴史、文化、風習、言語を系統立てて構築している。世界観を長々と説明するシーンなどなくても、仔細まで描かれる建築物、衣装、小物で伝わってくる。『十二国記』を彷彿とさせる、と言ったら言い過ぎであろうが、『ブレイブストーリー』『バケモノの子』『メアリと魔法の花』はまとめて束になっても敵わない。凡百のゲームゲ―ムした浅い設定群とは一線を画している。

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監督自身が『オウガバトル』シリーズのファンであるということをきっかけに起用したキャラクター原案・吉田明彦氏が世界感の厚みに寄与しているのは間違いないであろう。

 

ファンタジーアニメ映画というある種のリスクを背負って飛び立った『さよならの朝約束の花をかざろう』は、そのリスク故に世代を越え、文化を越え、更には国を越えて多くの人の琴線に触れるはずだ。リスキーな企画ほど応援したいし、面白い作品なら尚のこと。丁半どっちに転ぶかまだまだ未知数であるが、このご時世なので公開規模に負けず口コミでの人気の高まりに大いに期待したいところだ。

(余談であるが昨年発表されたアトラスの純ファンタジー企画も大いにリスキーだと感じたが、現代日本以外を描くことによるユーザー層の広がりを期待しているのだろうと、今ならわかる。こちらも楽しみにしている)

 

sayoasa.jp

 

2017年映画ベスト20

2017年に見た新作映画を思い返していたら58本もあったので忘れないうちに面白かった映画上位を記録しておく。範囲は2017年に私ユーキが見た新作劇場映画もしくは配信作品。番号は面白いと思った順位。一般的なランキングよかアニメが多いかと思う。

1.メッセージ
2.スター・ウォーズ/最後のジェダイ
3.ベイビードライバー
4.ブレードランナー2049
5.SING
6.イカロス
7.皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
8.ラ・ラ・ランド
9.ダンケルク
10.夜は短し歩けよ乙女

11.帝一の國
12.レゴバットマンザムービー
13虐殺器官
14.劇場版 響け! ユーフォニアム~届けたいメロディ~
15.スパイダーマンホームカミング
16.ガーディアンズオブギャラクシーリミックス
17.夜明け告げるルーのうた
18.LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五右衛門
19.IT/イット “それ”が見えたら、終わり。
20.キングコング:髑髏島の巨神

 

いくつかコメント。 

 1.メッセージ

テッド・チャンの傑作SF小説であり、私がSF小説にハマるきっかけともなった『あなたの人生の物語』の映画版。原作ファンなだけにどう料理するのかと期待半分不安半分であったが、宇宙生物の奇妙な形態、宇宙船(?)、象形文字といったSF要素を文面から想像していた以上の表現で映像化しており、またなにより巧みな編集技術には感嘆の声しか出ない。深い思い入れも込みだが、個人的には2017年ナンバー1。同じくドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作である『ブレードランナー2049』と共に必見。
 

2.スター・ウォーズ/最後のジェダイ

過去作を否定する内容に賛否両論巻き起こっているようだが、私は絶賛側。全編通して撤退戦という(スターウォーズとしては)今までにない筋書きが大変面白かった。カイロ・レン役アダム・ドライバー主演の2017年公開映画『ローガン・ラッキー』も、アダム・ドライバーの変わらない素朴さが見れて大変おすすめ。


「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」本予告 

 

6.イカロス

このランキングに挙げるかえらく迷ったNetflixオリジナルのドキュメンタリー作品。劇場公開はしていないが、映画は映画だろう。4gamerの年末企画プラチナゲームズ稲葉敦志氏が絶賛していたのをきっかけに見たらぶったまげた。

途中からのあまりにも劇的な展開に頭をブン殴られるような衝撃を受けました。こんなドキュメンタリー映画はたぶん二度と作れないですし、作ろうと思っても絶対ムリだと思います。

本当に稲葉氏のコメント通り。バレないようにドーピングで自転車レースに挑むというギリギリアウトな内容なのに、途中から更にやばい方向に企画が一変。登場人物らがいつ殺されてもおかしくない状況にヒリヒリしながら最後まで一気見してしまった。世界の裏側を知る、まさにドキュメンタリー映画はかくあるべしな内容だ。www.netflix.com

 

7.皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

イタリア産だが題材は日本の古典アニメ『鋼鉄ジーグ』。2017年に見たどんなヒーロー映画の中でも一番熱く、恐ろしく、面白かった。続編希望。


日本のアニメ文化から生まれたイタリア映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』が公開

 

10.夜は短し歩けよ乙女

 2016年の『君の名は。』『この世界の片隅に』大旋風に比べると静かだが本数はやたらと多かった2017年のアニメ映画界で一人気を吐いていたのが湯浅政明監督。原作を読んで以来待ちわびていた『夜は短し歩けよ乙女』を最高の形で映像化してくれたことに本当に感謝したい。湯浅監督のオリジナル作『夜明け告げるルーのうた』も素晴らしく、2018年作品になるがNetflixの『デビルマン』もすごいことになっている。日本にとどまらないイマジネーション力に、量産体制まで整えてしまった湯浅監督の今後の活躍が楽しみだ。


『夜は短し歩けよ乙女』 90秒予告

 

 13.虐殺機官

以前感想を書いたのでそちらをどうぞ。

yuki222.hateblo.jp

 

  14.劇場版 響け! ユーフォニアム~届けたいメロディ~

2017年もアニメ映画が大量生産される中、総集編映画という悪しき風習もまた多く生み出されていたわけだが、そんな中でも頭一つ抜けていたのが『響け! ユーフォニアム』TVアニメ版2期の総集編映画。2期後半のエピソードに絞り、主要キャラクターの心情に沿った追加映像と大胆な構成の変更で、まるで違うアニメを見ているかのような印象まで受けた。総集編映画の新しい一面を見せてもらった。


『劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~』WEB予告

 

 

新作アニメはこれを見ろ2018年冬

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福岡と東京を行ったり来たりで忙しくしていたら早々に新作アニメが始まってしまった。未放送作を中心に期待作を書いておく。

 

月刊Newtypeで連載されていた長谷敏司氏のSF小説をアニメ化。『楽園追放』『コンクリート・レボルティオ』などを手掛けた、ハードSFにかけてはアニメ界で右に出るものがいない水島精二氏が監督するとあっては期待しないわけにはいかない。氏が繰り返し描いてきたのは、この世界と、ここではないどこかの対比構造。『BEATLESS』ではどんな未来を見せてくれるのか。GARNiDELiAが主題歌を手掛けるのも楽しみだ。(Amazonプライム・ビデオでも配信予定)
 
  • ダーリン・イン・ザ・フランキス

darli-fra.jp

TRIGGERとA-1 Picturesによるオリジナル新作ロボットアニメ。TRIGGER的には前身であるガイナックス制作『天元突破グレンラガン』以来となるロボットアニメ。行き場のない少年少女たちがぴっちり制服で戦う設定からは『トップをねらえ2!』を想起せずにいられない。

監督はアニメ『THE IDOLM@STER』以来の登板となる錦織敦史氏。錦織監督の持ち味はキャラクター、特に女の子の多面的な表現であろう。繊細さ、儚さ、そしてとびっきりの可愛らしさ。共同でシリーズ構成を務める『シュタインズ・ゲート』の林直孝氏と紡ぐ危うい物語には、今から期待が高まる。(Amazonプライム・ビデオでも配信予定)

 
  • ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン

violet-evergarden.jp

京都アニメーションお抱えであるKAエスマ文庫からのアニメ化作品5本目。監督は『境界の彼方』以来となる石立太一氏。作画の美麗さでは業界屈指の京都アニメーションにあってなお目を引くのが、同スタジオ作では今までにない大人びたキャラクター像と、それを形作る密度の高い描き込み。『響け! ユーフォニアム』という大傑作を生み出してもなお留まるところを知らない京都アニメーションからは今年も目が離せなさそうだ。(Netflixでも配信予定) 

 

話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選

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冬コミの待ち時間が寒くて長いので、今年も新米小僧さんの企画に参加してみる。

ルール
・2017年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。

「話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記

 

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脚本:田辺茂範/絵コンテ・演出:たつき作画監督:伊佐佳久
サーバルちゃんのピンチに旅を通して出会ってきたフレンズたちが一堂に会するシーンには感極まった。最終話に集まる期待、それを超える熱い展開は近年のまどか☆マギカ、ガールズ&パンツァーに勝るとも劣らないだろう。たつき監督ありがとう。

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冬コミでは新作告知チラシを監督から直接いただいた。"TVアニメ始"とは。

 

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脚本:野﨑まど/絵コンテ・演出:りょーちも作画監督:澤良輔、真庭秀明
映画「シン・ゴジラ」と「メッセージ」のミキシングかのようなSF群像劇「正解するカド」。第5話では電力を無尽蔵に生み出すワムを受け渡すように国連から命じられた日本政府が、ワムと同じ形であれば折り紙でさえワムになり得るという事実を全世界に公表する一大プロパガンダが繰り広げられる。

世界がひっくり返る瞬間は痛快極まりなく、これから世界の変容する様が描かれると確信してドキドキしたものだ。このあと尻すぼみになったのは残念で仕方ないが、第5話が最高に面白かったのもまた事実である。

 

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脚本:待田堂子/絵コンテ:Team P.A/作画監督藤井康雄作画監督:森島範子、杉光登、川面恒介、秋山有希
矢一郎の玉蘭への告白、弁天の惨敗が描かれる納涼船合戦。京都上空に浮かぶ叡山電車で告白という摩訶不思議でセンチメンタルなシチュエーションが如何にも森見登美彦氏で大好きだ(同じく森見登美彦氏原作で今年映画化された「夜は短し歩けよ乙女」も大傑作であった)。

 

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脚本:入江信吾/コンテ:倉川英揚/演出:筑紫大介/作画監督:鍋田香代子、辻智子、阿部美佐緒、髙橋瑞紀、市原圭子、岩崎亮、福井麻記、末田晃大

バス路線の廃止が決まった限界集落の爺さん婆さん達が、失われる文化のデジタルアーカイブという継承手段を得て、果てはデマンドバスを確保する挿話。今までデジタルデバイスに親しみがなかっただろうに物覚えが良すぎる様はおとぎ話のようであるが、高齢化の進む日本社会においては目の前に起きている問題として真面目に取り組まないといかんわけである。

あと単純に絵面として、田舎と電子化社会のミスマッチが「攻殻機動隊S.A.C.」や「電脳コイル」、「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム」を想起して大変好みだ。

 

  • NEW GAME!! 第6話「ああ……すごいなあ……」

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脚本:得能正太郎/絵コンテ:おざわかずひろ/演出:守田芸成/作画監督:久保茉莉子、天﨑まなむ、板倉健、海保仁美、谷口元浩山崎淳総作画監督:菊池愛

原作者脚本回。2期は後輩との衝突や目標である先輩との別離など、もう新人とは言っていられない社会人2年目である青葉の苦難と成長を描いているが、とりわけ青葉が実力の壁にぶつかり涙する第6話は大変身につまされる。もういいおっさんなので仕事と家族の話に弱い。今年選出した作品、話数にもそんな傾向が自然と現れてしまった。

あと主演の高田憂希さんは北九州出身声優として今私が住む福岡で凱旋イベントをよくやってくれる元気っ娘なので推したいというのはとても個人的な感想である。

 

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脚本:ふでやすかずゆき/絵コンテ:柳沼良和/演出:松浦直紀/作画監督:長尾祐希子
木の上からにゅるっと現れるリリィの笑顔に胸を撃ち抜かれた。夢中で遊んでたら朝5時になってた、というMMO RPGに初めて触れた頃のあるあるネタも胸に込みあげるものがある。

しかし「ネト充のススメ」は仕事で疲れた体に能登麻美子さんと上田麗奈さんの声がスーッと入ってくる清涼飲料水のようなゆるくて甘いラブコメだった。毎週欠かさず聴いていたタイアップラジオ番組にも大変楽しませてもらった。

 

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脚本:井上美緒/絵コンテ・演出:京極尚彦/CGディレクター:茂木邦夫
松本憲生氏の作画をCGでトレースしたことでも話題になったアンターク篇後編。異形になり、それでもアンタークを追いすがるフォス、そして演じる黒沢ともよさんの芝居には息を止めて見入ってしまう。この静謐で美しくも儚い、宝石たちによる遥か未来の物語には今年1番夢中になった。

 

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脚本:三輪清宗/絵コンテ・演出:伍柏輸/作画監督:伍柏輸・浜友里恵・りお
歪む空間、唸る轟音、天高く伸びる爆発光。空間認識能力の限界をはるか飛び超えて描かれる対アタランテ、カルナ戦はまさに超人たるサーバントならではのもの。シリーズを通して戦闘描写に定評のあるApocryphaだが、伍柏輸氏の手掛けた22話は出色の出来。動いてなんぼであるアニメーションの真髄をここに見た。NARUTO 133話にも匹敵する伝説として後世語り継がれることだろう。

 

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脚本:加茂靖子/絵コンテ・演出:佐々木美和/作画監督:長谷部敦志、横屋健太、藤田しげる、林祐己、佐々木美和/総作画監督川元利浩
授業参観に来てくれないのかとひがむ子供に対し、VRメガネで作戦行動に務めつつ授業参観に出席するK・Kのクレイジーな母の愛情が重くて尊い。K・Kと、それを演じる折笠愛さんにはママオブザイヤーを与えたい。

松本理恵監督のはずれた2期には物足りなさを感じることも少なくなかったが、それでもやはりこういう回を見るとBONESの地力の高さを感じる。

 

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脚本:末満健一/絵コンテ・演出:板津匡覧/作画監督:名倉智史、奥野治男、折井一雅、千葉崇洋、本田真之
多々良の瞳に映る千夏。いつ訪れるかも知れないと思った2人が1つになる瞬間がついに訪れた。コミックス既刊9巻では未だ描かれていない試合の行方には泣いた。原作漫画の濃密な作画をどう料理するのかと放送前は心配で仕方なかったものだが、想像を超える熱く丁寧な演出にはシリーズ全編を通して感心しきりだった。

ボールルームへようこそ」は今年1番の、誰にでもオススメしたいアニメ。Amazonプライム会員は全話無料なのでこんなとこ読んでるぐらいなら見てほしい。原恵一氏参加の11話、米林宏昌氏参加の21話もおすすめだ。

縦画面HD振動にシビれるSwitch版『Pinball FX3』

Nintendo Switch向けにデジタルピンボールの金字塔Pinball FXシリーズの最新作『Pinball FX3』の配信が12月12日より開始された。PS4XBOX One、PC向けには9月から配信されているので何をいまさらという話ではあるが、Switch版は本体の縦画面とHD振動に対応しているのである。もはやSwitchが最強のPinball用携帯ゲーム機と化したと言っても過言ではない。

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HD振動は、『1-2-Switch』のカウントボール(Switch本体を傾けて実在しないビー玉の数を数えるミニゲーム)を遊んだときこそ神機能では?と震えあがったたものの、その後HD振動を活かすゲームが全く出ず、ついに出た『シノビリフレ』でさえもおっぱいの感触と呼ぶには程遠い有様。しかし本作では左右のコントローラから細かく伝わってくる玉の感触が心地いい。シビれる。やはりHD振動を活かすのは玉転がししかないということに気づいてしまうが仕方のないことだろう。おっぱいの感触はいずれ出るやわらかエンジン搭載コントローラーに期待している。

また縦画面は非常に視認性が良い。スマホタブレットでも縦画面で遊べるピンボールゲームが多く出ており片っ端から触っているが、ボタンの感触も振動もないのが味気なく長続きしたことがなかったが、これは全く別物だ。個人的には、HD振動の細やかさが減じるものの、縦画面携帯持ちが遊びやすいので推奨したい。

残念な点としては、そもそも国内のeショップで配信されていないので海外ストアにアクセスする必要があり(海外アカウントを無理やり作ればアクセスできる)、ダウンロードすれば無料で1台遊べるものの、追加の台は海外でも使えるクレジットカードや、海外向けプリペイドカード(プレイアジアなどで買える)がないと購入できないところだ。後日追加されるのかもしれないが、PC版などでは既に配信されているマーベルやスターウォーズの台が遊べないのもつらい。

 

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『Pinball FX3』は購入ハードルが非常に高いうえに残念な点もあるが、ピンボールファンと振動マニアには強くお勧めしたい。国内向けの販売は見込めないので(PS4版でさえ日本国内向けには販売されてない)、本作をきっかけに海外アカウント作成も普及すればいいと思う。 

 

『スーパーマリオ オデッセイ』に見る回帰と革新、もしくはスーパー"ハッカー"マリオ

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マリオ、都会に立つ

Nintendo Switch用新作マリオ『スーパーマリオ オデッセイ』をクリアした。始まり方こそクッパにさらわれるピーチ姫を助けに行くという毎度おなじみのマリオだが、そこから始まるオデッセイ-長い冒険旅行-は驚きの連続。新しい地に足を運ぶ度、まだまだ遊び足りない、けれど次の土地を見たいという気持ちにさせられるのは毎度のことで、そんな葛藤を繰り返すうちにあっという間にエンディングを迎えてしまった(とはいえクリア後ミッションが大量に解放されて、さらにうれしい悲鳴をあげてしまったが)。

最近の任天堂の作品、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は特にそうだったが、徹底した美学と貪欲な作りこみを感じることが多い。『スーパーマリオ オデッセイ』においては「原点回帰」と「改革」という、一見矛盾するテーマが両立し、しかも終始貫かれているように感じた。

 

  • 箱庭3Dマリオへの原点回帰

本作は原点回帰を強く感じるが、とはいえもちろんファミコンの『スーパーマリオブラザーズ』まで遡るわけではない。かつてNintendo64スーパーマリオ64』として生み出された箱庭3Dマリオだへの回帰だ。意外にも箱庭3Dマリオは寡作で、続くゲームキューブスーパーマリオサンシャイン』以来、15年間もの間沈黙を守っていた。『サンシャイン』がヒットしなかったことや、任天堂がハードもソフトも「より多くの人が楽しめるものへ」とシフトしたことなど様々な要素が起因しているだろうが、この15年間に作られた3Dマリオはいずれも探索要素を絞り込んだ、ステージクリア型のアクションゲームだった。

本作が箱庭3Dマリオに回帰したのは一番の理由は、箱庭マリオを作る下地が整ったから、と想像している。本作を手掛ける東京制作部は、その名の通り京都に本社を持つ任天堂の東京開発チーム。処女作『ドンキーコング ジャングルビート』を経て、『スーパーマリオギャラクシー』以降の3Dマリオシリーズを手掛けてきた。彼らは「視点変更をしなくても遊びやすいマリオ」を制作する技術を長年培ってきたからこそ、普段3Dアクションゲームを遊ばない人にも嫌われない箱庭3Dマリオを作れる確信が生まれたに違いない。発売以来飛ぶように売れている現実を見るに、任天堂の思惑は間違っていなかったのだろう。

 

  • アクションと構成の大改革

もちろん回帰だけでは新しいマリオは生まれない。箱庭を用意して挑んだのはこれまでの「お約束」の縛りを解き放つ大改革。特に革新的だと感じたのがアクションと、ステージ構成だ。

今回のニューアクション「キャプチャー」はコントローラーを振ることで(ボタンで代替もできるが)帽子を投げつけ、当たった敵キャラクター-おなじみのクリボーハンマーブロス、ワンワンにだって-に乗り移れるというもの。クリボーになれば他のクリボーと連なることで秘密のスイッチを解除できるし、ハンマーブロスはハンマー攻撃が超強力。ワンワンはもちろん無敵。これまで進路を邪魔する障害物でしかなかった敵キャラクターが、コントローラーの一振りでステージギミックの攻略のカギや、強化手段に変化するのだ。

敵への乗り移り、というアクションは本作に始まったものではない。始祖こそ知らないものの、私自身が初めて体験したのはPS2攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』。フチコマの壁張り付きアクションが楽しいPS1版攻殻ほど有名でないPS2版だが、草薙素子となって高所のスナイパーにハッキングして乗り移ることで、敵陣を真ん中から崩すのは爽快だった。言うなれば本作のマリオはスーパーハッカー。医者にレーサーにと手を広げてきたなんでも屋マリオの可能性は30年を超えなお拡大の一途を辿るのである。

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ワンワン電脳ハック

またステージ構成にも驚かされた。今回一番楽しみにしていたステージは、PVでも大きく取り上げられている、ニューヨークを模したかのようなビル街「ニュードンクシティ」。いつ訪れるのかとワクワクしながら旅を続け、ようやく都会に辿り着いたのは終盤の一歩手前。進行度7割方というところ。しかしこの街のクリア時イベントが本気も本気で、マリオシリーズ初となるボーカル曲を流すだけでなく、詳しくは書けないがこんなことやられては古参ファン涙もの、ということをやってのけた。もうこのゲームのクライマックスはこのイベントで間違いないだろう。その後のクッパ戦に向かう過程や、クッパ戦からエンディングまでのシークエンスも熱いことは否定しないが、それでもニュードンクシティがナンバー1のクライマックスである。道半ばなのに、だ。

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ゴッサムシティではない

こういった構成の崩し方は随所に見られる。普段であればなんやかんやあってスターやコインを集めて最後にボスキャラクターを倒して次のステージへ、というのがマリオに限らずアクションゲームのおきまり。けれど本作においてはステージ開始直後にボスを倒して別のミッションが課せられたり、初めから可視化されているボスをステージ全体を駆け回って倒すなんてことまである。

クライマックスのずらし方やステージ進行の多様さからも、マリオかくあるべしというお約束からの脱皮、そして新しいマリオを作ろうという強い意志を感じさせるものがあった。

 

  • 回帰✖改革=驚き

プロデューサーの小泉歓晃氏はファミ通のインタビューで次のように語っている。

でも、『マリオ』シリーズはいろいろなことにチャレンジするタイトルでもあるので、多くの方に理解していただける“共感”は大事にしつつも、それだけではなく、ちゃんと驚きを与えることを肝に銘じて作るようにしようと。やはり、商品には心に刺さるという点があることが大事だと思っていまして。いまおもしろいというよりも、5年後10年後にも“あのシーンを思い出す”とか“あの手応えが忘れられない”と言ってもらえるような驚きを与えられるものを作ろうと、開発チームに伝えました。

 原点回帰、そしてアクションや構成の改革は、こうした驚きを生むためのチャレンジ(の一要素)だったに違いない。狙い通り、おおいに驚かさせてもらった。3Dマリオは箱庭、ステージクリア型問わず傑作揃いであるが、『スーパーマリオ オデッセイ』はそれらに比肩する、もしかするとそれらを超える最高傑作であると、5年後10年後に思い返すことになるかもしれない。

Nintendo Switchユーザーにとっては『ゼルダの伝説BotW』『スプラトゥーン2』に続く必携タイトルだ。