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ポインティングアクションの決定版『パンドラの塔 君のもとへ帰るまで』

パンドラの塔 君のもとへ帰るまで』は、任天堂より発売されたWiiRPGゲーム。昨年からの『斬撃のレギンレイヴ』『ゼノブレイド』『ラストストーリー』に続く、任天堂が苦手としているRPGプレイヤー・コアゲーマーに向けたテコ入れオリジナルタイトル第4弾。
この流れで出た前作『ラストストーリー』が超ガッカリゲーでもはや任天堂には何も期待できまいと悲観していたのだが、ヒロイン役があの、昨年度のアニメ『君に届け』の主人公爽子役で好演していた能登麻美子さんと聞き、能登麻美子教徒精神半分、任天堂信者精神半分で購入に至った。
ゲームの目的は能登麻美子さん演じるヒロイン・セレスの呪いを解くために12のダンジョンを攻略するという王道だが、ダンジョンの攻略に夢中になっているとセレスの呪いがどんどん侵食し、触手だらけでベチャベチャドロドロのおぞましいモンスターになってゲームオーバーを迎えてしまう。そのため一定時間ごとに帰還して、ダンジョン内の敵モンスターを倒して獲得した獣の肉を食べさせなくてはいけない。ゲームオーバーぎりぎりの時など、ベチャベチャドロドロの触手能登が唇を艶っぽく光らせながら、えずきつつ苦しそうに肉を食べる(セレスは宗教上、肉を食べたことがないという設定)描写が、目を背けたくなるほどおぞましく、それでいてなんともエロティックで……。こんなことに興奮する自分の新たな一面を発見してしまったのが悔しい、が能登麻美子さんの体当たり演技を聞けたことで、能登麻美子教徒としては大々満足。

もちろん任天堂が触手好きのHENTAIのためだけにゲームを作るわけがなく、『ラストストーリー』とは何だったのか?と思うぐらいRPGプレイヤー向けにきっちり良い仕事をしている。とはいえ本作は敵を倒すことで経験値を得てレベルアップをするのでジャンルとしてはRPGということになってはいるが、いわゆるRPGにありがちな街に当たるものはなく、ホームポイントとダンジョンを行き来するだけ。12のダンジョンを一つ一つ攻略して、ヒロインの呪いを解いていくという設定は、ダンジョンを巨像に置き換えれば極めて『ワンダと巨像』とそっくりだし、3Dダンジョンを攻略して巨大ボスを倒すというルーチンワークは極めて『ゼルダの伝説』を彷彿とさせる。プレイ感はRPGというよりはむしろこの2作のようなアクションアドベンチャー
『ワンダ』『ゼルダ』というアクションアドベンチャーの金字塔をそのままパクるだけでは面白くもなんともないが、このゲーム独特のポインティングアクションがうまく差別化している。Wiiの特徴であるポインターを使用したアクションゲームは残念ながら多くはなく、『スーパーマリオギャラクシー』でさえアイテム獲得や移動のためのサブ的な扱いで、攻撃のメインにポインティングを据えた『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラー』は物を投げることにしかポインティングを使えず戦闘がまっったく面白くなかった。
『パンドラ』のポインティングアクションはそれらと違い、ポインティングをメインに据えつつも使用方法が多種多様で飽きさせない。ポインティングで操作するのは鎖。この鎖は攻撃だけでも「敵に撃ちこむ」「敵に撃ちこんだ鎖を溜めて引きぬく(引きぬく部位によって装甲や武器をはずせる敵もいる)」「敵を捕まえて投げ飛ばす」「敵を掴んで自分を中心に振り回す」と様々。他にも「空中の敵の翼に鎖をくくりつけて地面に落とす」「遠くの足場に目がけて鎖をうって緊急脱出」までが出来、考え得る限りのありとあらゆる鎖アクションがリモコン1本で使えるのは大変気持ちがいい。ダンジョン攻略でも、空中移動やスイッチの可動など全てが鎖を中心になっており、シンプルながら絶妙な難易度で頭を捻らせてくれる。Wii末期にして、やっと出たポインティングアクションの決定版といえる出来ではないだろうか。

  • Wiiならではのゲームがやりたい人へ

能登麻美子教徒精神半分、任天堂信者精神半分で買ってはみたが、能登麻美子スキーとして満足なのはもちろん、思った以上にゲームとしての完成度が高かった。後半のダンジョンが前半のダンジョンのアップデート版であるために、似通った景観が続いて退屈に、という欠点もあるが、ラスボス戦へのきれいな盛り上がり、そしてセレスとの好感度MAXで見られるSエンドも文句ない終わり方。
ゼルダの伝説 スカイウォードソード』までやるゲームがなくてWiiを腐らせている人にこそ、「Wiiならではの、こんなに面白いゲームがあるんだよ」と教えてあげたくなる1本だ。