ユウキズ・ダイアリー

アニメ・映画・ゲームについての雑記

忘念のザムド 第一話『陽炎に現る』


公式サイト


9/24から始まった、この秋最も特殊な放送形態を取った『忘念のザムド』の第一話を観た。
まだ物語は始まったばかり。専門用語だらけで言葉の意味も、ストーリーの行方もまったく分からない状態だけど、圧倒的に美麗で枚数の多い職人芸的アニメーションに圧倒されっぱなしで25分間あっという間だった。迫力のある戦闘シーンは第二話で、という流れみたいだけど、決め細やかすぎる、劇場映画クラス並の日常芝居には開いた口が塞がらなかった。
ボンズは割と一話目で見せる作画から落とさずに、最後までハイクオリティに突っ走るところがあるけど、流石にこの枚数は保てないだろうに。SCEに金出してもらってそうだから、なんとかなるのか?
世界観とか、作品から受ける雰囲気はかなりジブリ寄り。ボンズ作品の中ではザムドに雰囲気の近い『エウレカセブン』も、キャラデザが元ジブリ吉田健一さんだっただけに「ジブリがロボットアニメ作ったらこんな感じなのかなー」ってとこはあったけど、ザムドは冒頭からかなり露骨な。ナウシカみたいな。ガンシップだし。ロボアニメじゃないし。これが初監督になる宮地昌幸さんもジブリ出身の演出家さんだからセーフなのだろうか。エウレカがやってしまったような、露骨なロボアニメパクリに走らなければいいのだけれど。


問題は、その特殊な配信形態か。何せ一話につき、SD画質なら300円。HD画質なら400円で、3日間のレンタル制。しかもPS3でしか観られない。PS3を買うぐらいゲーム好きで、しかも全話レンタルで観るのに7000、または10000円以上出せるぐらいアニメ好きな人間だけに届けられるアニメ。違法動画サイトのはびこる昨今、これがビジネスとして成り立つのかというと、どうだろう。難しいと思う。
今のアニメーションはDVDの売上に頼ってるものがほとんどなわけで、本放送自体もビジネスに結び付けようというのは商魂逞しいし、そこにPS3を、というのは新鮮な試み。そういう新しい発想は歓迎だけど、しかし本放送に10000円以上出してしまうと、それ以上高くつく、今後出るであろうDVD等のディスクメディアにまで金を落とし辛いのが消費者意識じゃないだろうか。PS3を持ち合わせない一般家庭には認知されないからDVDが出ても買うことはないだろうし、観たいけどPS3持ってない人は違法動画サイトに走って、結局動画サイトのアクセスが増える悪循環。制作側は、ディスクでは出さない! PS3で全世界配信するんだから配信料だけでペイできる!とか、そんな楽観的な思考を持ち合わせているのかね。まずは違法動画サイト全部潰さないと、現実的な発想とは思えない。
結局は私みたいな、話数の多いOVAだと思いこんで全話観ることができるような、過度のアニメ好きしか、高い金払って毎週追っかけはしないのでは。出来がいいだけに、いづれは地上波なり、スカパーなり、他の放送形態も模索した方が良いようにも思える。PS3ユーザーにしか届かないまま終わるなんて、勿体無い出来だった。少なくとも一話目は。今後にも期待。