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劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇


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人気のテレビアニメに劇場版が作られるのは世の常だけれど、テレビ版でやりつくしてしまって話を弄る事ができない、必要がない、制作側的にも予算は少なくない、という様々な大人のジジョーによって、テレビ版の映像を切り貼りした映像になる場合も少なくない。悪くするとただの総集編になってしまい、せっかく長い時間をかけて熟成されたテレビ版での魅力がオミットされてしまう、なんてこともある。


今日から劇場版が始まったのは『天元突破グレンラガン』。昨年放送され絶大的な人気を得たガイナックスの痛快娯楽ロボットアニメだが、テレビ版はたったの全27話なのに急展開に次ぐ急展開、息つく暇のない熱血ドラマ。詰め込みに詰め込みまくって主人公シモンの成長譚をみっちり描いていただけに、さらに短くなる劇場版でどれだけ「グレンラガンらしさ」を出せるのか、要所要所切り貼りしただけの総集編になっていやしないかと観賞前は心配の方が強かった。同じガイナックスの『劇場版トップをねらえ!1&2』なんてまさにそうだし。

しかし今回のグレンの編集方法は『劇トップ』じゃなくて『新劇場版ヱヴァンゲリヲン』だった。『紅蓮篇』では4部構成だったテレビ版のうち2部までを再構成したと事前に聞いてはいて、確かに前半は1部の展開をきっちり編集。見せるべきところはたっぷり見せて、切るところはばっさりカットで、特に1部のクライマックスであるところの第8話「さらばダチ公」はほぼノーカットで見せてくれたのには好感。久しぶりのグレン観賞で忘れている部分が多くてもしっかりストーリーにのめりこめたし、「ダチ公」では話の展開をわかっているだけに余計に感涙させてもらった。
そして2部、いじいじシモンの展開もテレビ通りだなー、と思ってたら途中から見たことのない展開、聞いたことのないセリフに新メカまで!? 新規カットは編集上のつなぎ程度だと覚悟していたら、ラスト20分ほどはほぼ完全新規作画、大胆変更の超ストーリーに大変化を遂げていた。
これは、ネタバレしたらもったいないので詳しくは書かないが、ロボットアニメの王道的な……。スタッフがテレビ版でやりきれなかった部分を、良い形で映像できたんだと思う。グレンラガンはもちろんのこと、次第に影の薄くなってしまったヨーコだって劇場版では新たな活躍の場が設けられており、おそらくテレビ版を何度も楽しんでいた人ほどビックリするだろう。そして多くの人は『新劇ヱヴァ』クライマックスのようなカタルシスを感じられる、はず。『劇グレン』は決してただの切り貼りテレビアニメではなく、しっかりテレビ版同様、いやそれ以上の制作側の熱気が大画面から感じることができた。


グレンラガンは元々テレビ版でも迫力のあるロボアクションを描いてきたから大画面でも充分見ごたえがあるし、劇場版に際して加えられた新規カットはさらに圧巻の出来栄え。『新劇場版ヱヴァンゲリヲン』や『劇場版機動戦士Ζガンダム 星を継ぐ者』並の傑作総集編映画と言っても過言ではなし。テレビ版のファンなら、絶対に劇場で観ることをオススメする。