『∀ガンダム 月の風』


ストリートファイター∀ガンダムのキャラクターデザインを務めた、全世界で注目のイラストレータあきまん氏による初のコミックスがついに登場!といえば聞こえはよいのだが、おそらくこのマンガを少しでも読んだ人はページごとにタッチが異なる、というか荒れた絵が気になるだろう。氏の過去にデザインしたキャラクターや、各種雑誌に掲載されている氏の美麗イラスト並のものを期待していた多くの人にとっては、期待に添うものではない。(私自身は氏のブログに掲載されているラフな絵を見慣れているので、あまり気にならないが。これはこれで愛嬌があって好きな絵)


しかしそれゆえに、氏によって描かれる独自のプレストーリーの面白さが純粋に伝わってくる。話自体はガンダムさえ出ないとても小さな規模のものなのだが、このマンガ版にのみ登場する「あるSF的ガジェット」が、全銀河に渡る非常に大規模な背景を想像せさるものになっており、ガンダムに新たな視点を投入することに成功している。これほどのものが描けるのはやはりキャラデザ本人によるものだからか。(これ以外にキャラデザ本人によるガンダムのコミカライズは、安彦良和氏による『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』しか存在しない)


過去と未来のあらゆるガンダムを内包し、ガンダムに時間的な深みを与えたのがTVアニメ版『∀ガンダム』だとすれば、そこにさらに距離的な深みを与えたのが『月の風』だ。


∀好きの人ならば、この作品に触れれば∀をもっと好きになれるはず。逆に言えば∀好きではない人には全くオススメできない。




※マンガ版を読む方は筆者本人による『∀ガンダム「月の風」についての詳細と注意事項』も合わせて読むといいと思う。
http://blog.livedoor.jp/akiman7/archives/50852246.html