ゲーム業界の有名作曲家・ゲームクリエイターらが企画し、ゲーム会社の垣根を越えて昨年初めて開催された『PRESS START 2006』。毎年続けられたら、との想いで「2006」と付けられたこのコンサートですが、よほど好評だったようで今年も無事開催となりました。しかも開催地は東京と大阪。東京のみだった昨年と比べて二倍、しかも東京では昨年の渋谷文化村ホールから場所を移し、遥かに大きいパシフィコ横浜での開催となりました。
会場に向かう間は、たまたまエンターブレインの社長である浜村弘一さん(しかも息子さんも一緒)と同じ車両に乗ってビックリしながらもw、空席が多かったら悲しいなー、なんて不安になっていました。ですが会場に着いたら安心。開場時間はとっくに過ぎていても入場待ちの行列ができるほどの人、人、人。マリオやどうぶつの森のぬいぐるみ、セガのCD販売などが行われているロビーの中も大勢の人で賑わっており、会場内も少なくとも1階席は全席埋まっているようでした。2、3階は見てないからわからないけども。
- OPは『スマッシュブラザーズX』のメインテーマ。これ去年も聴いたような・・・・・・でもかっこいいし好きだしまあいいか!と聴いていたら、なんだかいつもよりテンポ良いし熱い? よく聴いてみたらオーケストラサウンドの中にドラムも入っているおかげでバトルBGMっぽくなってるのでした。錦織健さんと高橋織子さんの生声も良い感じだし、このドラム入りバージョンをバックにスマブラやりてえええ! 桜井さんなら入れてくれるはず。
- 演奏後には司会として、プリンセスメーカー以来ゲーム声優としても20年を数える(本人談)横山智佐さんが登場。久しぶり、じゃないや昨日もナデシコで声を聞いたか。企画者のおじさま方、植松伸夫、桜井政博、酒井省吾、野島一成、竹本泰蔵の登場。昨年からの違いとしては2点、ゲームの多彩な音色に対応するためにドラムやキーボードを導入したことと、昨年パズルゲームメドレーをやったもののどの曲がどの作品かわからないという観客の声への反省から、スクリーンにゲーム画面を映し出すようにしたことだそうで。これは今日やるシューティングメドレーの際にしっかり活かされていました。
- 続いてはゲームをやってない人にもCMソングでおなじみの『ロコロコ』のテーマ。指揮の竹本さんが手拍子を先導してくれて、会場みんなでロコロコ気分です。コンサートが始まったばかりなのにいきなり飛ばしてきます。
- ライプチヒ以来2度目のオーケストラバージョンの演奏になるという『アクトレイザー』メドレーは、大好きな『世界樹の迷宮』の作曲もしている古代祐三さんの曲なんですが、やったことないんだよな・・・・・・。でも『世界樹』にも通ずるメロディラインがあったりして、ああこれが古代節なんだな、と。当時FF4の楽曲を手掛けていた植松さんは、このSFC発売からたった一ヶ月で出たにも関わらず素晴らしい出来だったゲームサウンドに衝撃を受けて、さすがに曲を全部作り直す時間がないもののサンプリングをやり直したとか。
- 横山智佐さんの好きなゲームは中学生の頃に男子に混じってゲームセンターでやりこんだ『ギャラガ』。というわけで『ギャラガ』から始まる全17曲(『ギャラガ』『グラディウス』『ツインビー』『インベーダー』『スターフォース』『アフターバーナー』『シルフィード』『R-TYPE』『戦場の狼』『ダライアス』『ファンタジーゾーン』『スターフォックス』『スペースハリアー』『ゼビウス』『スターソルジャー』『沙羅曼蛇』『スターラスター』)のシューティングゲームメドレー。スクリーンに映し出される映像のおかげで全然シューティングをやらない私でも何の曲なのかわかるよ!しかし大人の都合で一部楽曲に映像を使えないというアクシデントにより、『グラディウス』の時は大きく明朝体で書かれた「グラディウス」の文字の後ろに火を噴く活火山が、『ツインビー』はたまねぎ・ピーマン・イチゴ、『沙羅曼蛇』はこっちを向いた蛇のアップ。コナミの野郎めえ! 笑いをこらえるのに必死になったじゃねえか!
- 続いてまたまたシューティングで『エースコンバット0』。ゲームの中身には不満があったものの、フラメンコ調のこのOP曲は大好きで大好きで何度も見ていました。これがオーケストラで聴けるなんて夢のよう! 高橋さんのソプラノも完全にマッチしていて去年ボーカルがイマイチだった『ICO』のようなことにはなりませんでした。もうこれが生で聴けたことで充分チケット代の元は取った気分になりましたよ。でも元々のOPより長いアレンジになってたから、映像と同期が取れてないのが残念ではあったかな。
- そんなちっちゃな不満も吹っ飛ばしてくれたのは『ワンダと巨像』。マイフェイバリットゲームが生音で! またまた夢のよう!PVの曲と違うのに映像とぴったり合った絶妙な曲構成で、ゲームをプレイしていたときの熱い高揚感が胸に迫ってきました。引っ張り出してきてまたやろうかな。
- 高いテンションのまま最後の曲、と行きたいところでオペラ歌手の錦織さんが再び登場。この人がまたえらい面白い人で、自他共に認めるゲームファンだけあって、以前は公演の際にはPS2やGCを持ち運んでいたほどだとか。今はPSPが旅のお供で『FFT獅子戦争』で主人公1人クリアをやり遂げたり、『FF12ZJS』では全員モンクプレイをするほどのやり込み系FFファンの一面も。それでいて金持ちでかっこよくて歌が上手い。完璧超人かこの人は。
- 1部最後の曲は『ファイアーエムブレム』からあのテーマソング。オーケストラにコーラスにテノール、ソプラノ付きと完璧な布陣でCMの再現映像が目の前で演じられているようでした。もちろん面白い歌詞もそのままw 愉快で盛り上がる締めになりました。
- 休憩を挟んで始まった2部はオーケストラコンサートのはずなのにオーケストラなしで始まりw [H.]による『カルテット』と『デイトナUSA』。昨年は『アウトラン』をオーケストラと合わせようとしてあんまり上手くいってなかった気がしたので、今回の潔さは正解かも。立ち上がって応援するほど盛り上がる元々のファンの方もちらほらといましたね。「デイトナ〜!」
- オーケストラの準備が終わるまで雑談タイム。『スマブラX』の仕事で缶詰状態なので来られるかわからなかったけど、車を出すからと引っ張り出されて来た桜井さん。現在は手をかけられるところもなくなってきて、そろそろデバッグに移るとか。発売はもう間近に迫っているようでファンとしてこの朗報は嬉しい限り。
- RPG2連発。1本目は日本のゲーム業界ゴールデンメンバーが集結して生み出された名作『クロノトリガー』OPテーマ。やりたいなーと思ってこれもやってないソフトなんだけど、やっぱり光田サウンドは最高だな!と再確認。次回は是非クロノクロスかゼノギアスをお願いしたい。
- 2本目は海外を代表する名作であり、日本では発売してまだ日も浅い『オブリビオン』。作曲のジェレミー・ソウルさんもゲストとして来られる予定でしたが、ハリウッドの仕事が突然舞い込んできたために欠席。司会の横山さんも植松さんも、ハリウッドの仕事が入ろうとも自分たちだったらコンサートを優先する!って言い張ってました。へー。
- アクションゲーム2連発。『スーパーマリオブラザーズ』はおなじみ初代のコースBGMをあっさりと。最後はやっぱり昇天して締め。
- 終わりも見えてきたところで司会の横山さん自らが歌い踊る『サクラ大戦』OP。なつかしー! 田中公平の代表曲だよなーと思ってたら作曲家ご本人も登場。田中公平先生はもうじき作曲家歴30周年になるということでイベントも予定しているそうですが、がばいばあちゃんの言葉に感化され、今まで登ってきたアニメ・ゲーム作曲家という山を一旦下ろうかと模索している様子。ゆっくり戻ってきて、また熱いアニメ楽曲をバンバン手掛けてほしいな。
- 最後の曲は『キングダムハーツ』。これまでの曲と違って映像は付いてなかったものの、散々遊びつくしたゲームだけに目をつぶってもゲームの映像が浮かぶようでした。ディズニー×スクウェアってところで色物に見られがちだけど、下村陽子さんの曲があってこそ支えられている世界観。もう一度触れたい。続編が待ち遠しいなとしんみりしながら幕・・・・・・。
- と、ここで終わるわけもなく当然の如くアンコール。曲は昨年のコンサートで一番人気だった『ゼルダの伝説』メドレー。昨年は気付かなかったけど『風のタクト』をやったおかげで同作の海のテーマも入っていたんだという新たな発見もあり、今回限りと言わず何度でも演奏してほしいと思わせる圧巻のメドレー。来年もスマブラX版ゼルダメドレーとかやってもらえないものか。
- もうさすがに終わり?・・・・・・と思わせといて新たな演奏の準備が。そうですまだTHE BLACK MAGESが出ていません! というわけで最後はもちろん彼らによる彼らにしか出来ないあの名曲!『ファイナルファンタジー7』より「片翼の天使」! オーケストラ、バンド、コーラスの全てが揃わないと出来ないだけに完璧に聴ける機会の少ない曲。FFコンサートDVD『VOICES』で散々聴いていた最高の曲が生で聴けるとは思ってなかっただけに最高のサプライズ。『VOICES』のように再び演奏!ってことには流石にならなかったけど、余韻の残る良い締めでした。
これにて全曲終了〜! 会場の雰囲気が少しでも伝わって、今日来れなかった人にも興味を持っていただけたら幸いです。