ユウキズ・ダイアリー

アニメ・映画・ゲームについての雑記

NO MORE HEROES

NO MORE HEROES(以下NMH)』のプレイ中は口を開けば「すごい」「ヤバイ」「面白い」なんて言葉が次々にあふれ出てきたのだが、こんな感嘆詞は言えば言うほど胡散臭くなってくるので敢えてこのゲームの話題には触れずにいた。やっとこさクリアしたので冷静に感想を書いてみる。

  • 『NMH』はぶった切り楽しい!

『NMH』はビームカタナを振り回して並み居る強敵をぶった切り、殺し屋ランク11位から1位を目指して成り上がるゲーム。となるとやはり基本アクションは剣での攻撃になるのだが、このアクションが本当によくできていて敵を切り倒すのがやたらと楽しい。
Wiiで似たようなゲームというと『ゼルダの伝説 トワイライト・プリンセス』『戦国BASARA HEROES』あたりが挙げられるが、前者はリモコンを振ればリンクも剣を振るというダイレクトな感覚の代わりに、腕への負担も避けられないものだった。後者はAボタンで切るというPS2版と何ら変わらない操作法を取り入れたが、新鮮味はまるでない。
『NMH』はこの中間、「基本はAボタンでの攻撃、フィニッシュはリモコンを振る」という操作法を導入。新旧の操作体系の混合、というか『ゴッド・オブ・ウォー』のコンテキスト・センシティブ・アタックをリモコンに置き換えたようなものだが、リモコンを操作する場面を搾っているおかげでフィニッシュ時に得られる爽快感は相当なものに。さらにリモコンの角度によって上段下段の切り分けや、ヌンチャクを使った飛び切り、ダウン時に決められる多種多様なプロレス技と、リモコンを使ってこれだけ幅の広いアクションができるのかと驚かされた。
「動かすだけで楽しい」。『スーパーマリオギャラクシー』を遊んでいたときに感じた最高の褒め言葉だが、『NMH』にもこの言葉を捧げたい。

  • 『NMH』はムズ楽しい!

ゲームを進める目的であり障壁でもあるランカー戦は、毎回ステージもキャラクターも趣向を凝らしていて楽しいのだが、難易度の上昇曲線にかなり急なアップダウンがあるのでなかなか一筋縄にはいかない。私は難易度Mildで始めたのだが特に8位、6位、1位の戦いがしんどく、それぞれパターンを読んで攻略するまで2時間、3時間、2時間ほどかかった。これは決して悪いものでもなく、スパスパ切りまくれる雑魚戦とは違うギリギリの熱い攻防は、ゲームの良いアクセントになっている。ランカー1位戦でこちらの残りHPが1で勝ったときは思わずガッツポーズ!
こういうマゾい難易度が嫌いという人は難易度Sweetで始めればいいし、1位との戦いでもアレをあーしてから挑めば攻略も楽になるらしい。知らなかったので時間がかかったが、この苦労もクリアした今は良い思い出。2週目は武器持ち越しなのである程度楽に進められることだろう。

  • 『NMH』はクレイジー楽しい!

ディレクター須田51氏の作品といえばいずれも狂気に満ち溢れた個性的なものばかりだが、本作もやはりその枠を出ない期待通りのクレイジーぶり。
とはいえ世界にその名を知らしめた『Killer7』の理解不能のテキストからはちょっとばかり趣向を変え、テキストを少なめに数々のアクションや広い舞台、個性的なキャラクターで魅せる方向になったので、かなりわかりやすいエンターテインメント志向の作品に良い意味で変化。『Killer7』はわけわからなすぎて引いてしまう程だったので、これぐらいがちょうどいい。
須田分が控えめになったとはいえやっぱり謎だらけで終わるので、従来作が好きな人も期待していい。


街が広いのに活かし切れてないとか、ドリフトが気持ちよくないとか、バイトと斡旋所の往復が面倒、回避するとロックオンが解除されるのが嫌とか不満はいくらでもあるのだが、本当のEDの疾走感溢れる無理やりな幕引きに爆笑させてもらったので全部帳消し。すごいゲームだった。
スーパーマリオギャラクシー』を安全安心な遊園地とするならば、『NMH』はジェットコースターから振り落とされかねない危険で毒のある遊園地。人を選ぶが、私は危険な遊園地の方が好みかもしれない。