ユウキズ・ダイアリー

アニメ・映画・ゲームについての雑記

『レジェンドオブレガシー』はアガり切らないサガ

サガらしさ

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今年1月にニンテンドー3DS向けに発売されたフリューの新作オリジナルRPG『レジェンドオブレガシー』は、スクエニの人気RPG『サガ』シリーズと何かと比較されがちだ。
『サガ』といえば、偶然性の高い辛口なバトルシステム、熱いバトルBGM、自由度が高く壮大なストーリー、個性溢れるキャラクター、……魅力を挙げだせば切りがない。そんな『サガ』を支えてきたスタッフ、それも小林智美氏(『ロマンシング・サガ』以降全作でイメージイラストを担当)、小泉今日治氏(『ロマンシング・サガ2』以降全作でバトルデザインを担当)、浜渦正志氏(『サガ・フロンティア2』『アンリミテッド・サガ』で音楽を担当)という中核スタッフ3人が『レジェンドオブレガシー』に参加しているとあっては、比較されるのは避けては通れない道だ。

さてこのゲームは結局『サガ』たり得たかというと……、当たり前だが『サガ』ではなかった。ひらめ…ではなくて『覚醒』して技を会得するバトルシステムや、美麗なBGMはまさに『サガ』を思い起こすものがあり、最初の数時間こそ「『ロマンシング・サガ4』キター!」ぐらいの気持ちでプレイしていた。しかしながら、後半になるにつれ長時間化・ルーチン化するバトルに耐えるためのモチベーションを維持するには、ゲームを構成する各要素に物足りなさを感じてしまった。
特にストーリー面。8人の各主人公固有のイベントも最初と最後に用意されてはいるが、島の開拓に絞ったメインストーリーは起伏も乏しく、かといって短いクエストは全く用意されていない(『ロマサガ1』からフリーシナリオを取っ払ったようなものだ)。常に新しい敵と新しい土地だけが楽しみで冒険をするというのは、今の御時世なんとも漢気溢れ過ぎる仕様ではないか。


レジェレガらしさ

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もちろん『サガ』シリーズにはない独特のシステムもある。特に面白いのが地図にまつわるシステムだ。このゲームでは3DSの下画面に地図が表示されるのだが、初めて足を踏み入れた土地で表示されるのは白地図。フィールドを歩き回ることで足元が地図に自動的に書き加えられていく。ここまではよくあるシステムだが、地図を売却できるのが独特だ。
また地図を売却することで、敵の出現数やレベルが低下させ難易度が下げることができるし(売ることで他の冒険者がそのフィールドに足を踏み入れるようになる、という設定)、難易度を下げずに、踏破率を高めてから売れば高値が付く。安易で平和な道を歩むか、プライドと賞金を賭けるかという、リスクとリターンが明確な難易度調整機能は心地良いものがある(こういった手法の先例として『すばらしきこのせかい』『新・光神話 パルテナの鏡』などもあるが)。

しかし独自のシステムは無駄に運が絡む点もあり、長時間プレイしているうちに辟易してしまった。「フォーメーション」は、「ストライク(発動が遅くなるが強い攻撃を与える)」「ブレーク(防御力を犠牲にして最速で行動する)」「ガード(防御性能が上がる)」といったポジションを各キャラクターに振り分け、戦闘の各局面でその組み合わせ(フォーメーション)を切り替えるというシステム。『FF13』を彷彿とさせる面白い試みだと思ったのだが、このポジションの入手方法こそが……運任せである(フィールド上の一定のポイントにランダムに出現するキャラクターと会話する必要がある)。
また「交易」という、一定の金額を支払うと数時間後に強力な武器やアイテムを入手できる艦娘建造みたいなシステムもあるが、ここで何が入手できるかもまた……運任せである。
ただでさえステータスアップや覚醒が運任せなのに、戦闘に絡む重要な要素をなぜ運任せにするのだろうか。小泉今日治氏は『アンサガ』のリールで懲りたのではなかったのか……。


まとめ

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総合的には、表面上『サガ』的なところは懐かしく感じながらプレイできたのだが、『レジェンドオブレガシー』ならではシステムはあと一歩練りきれてないのでは、というのが正直な感想。
とはいえ、真っ当なファンタジーRPGがめっきり減ってしまった中で、これだけのメンバーを集めて完成させたのはそれだけで賞賛に値するし、何だかんだ文句を言いながら30時間超かけてクリアするぐらいには楽しめた。『サガ』シリーズでいえば『ロマンシング・サガ』や『アンリミテッド・サガ』、外伝とも言える『ワイルド・カード』のような、荒削りでシンプルな面白さを持っているのもまた事実である。

スクエニの『SAGA2015(仮称)』に小泉今日治氏が関わっているかは今もって不明であるため、本家とはいえ期待通りのものにはならない可能性も少なからずある。怖いもの見たさの『サガ』ファンが、2015の予習か、2015が駄目だった時の慰めのために手を出してみる分には充分な作品ではないだろうか。