南仏プロヴァンスの12か月

もやしもん』最新第6巻にて完結したフランス結婚騒動編。これを読んだせいで発症した「フランスに行きたい病」を沈静化するべく手にとったのがこの『南仏プロヴァンスの12か月』。


原書は1989年に出版され世界に空前のプロヴァンスブームを巻き起こした、らしいのだが当時幼かった私には知る由もない。『神戸在住』第1巻を読むまでこの本のタイトルさえ知らなかったぐらいなんだからしょうがない。
しかしこの本を読み終わった今ならブームが巻き起こるのもわかる。チーズ、ぶどう園、ワイン、庭にはプール、フォアグラ、山羊レース、<シェ・ゾーゼ>のバネット、<ビストロ・デュ・パラドゥー>の自家製のソーセージの薄切り、<シェ・ミシェル>のトリュフ入りオムレツ……。フランスの風景や隣人の様子はそれだけでももの珍しいものだが、圧倒されるのは全編に散りばめられた料理の数。見たこと聞いたこともないフランス料理であっても、筆者の食へのこだわりによって、全てのプロヴァンス料理がいずれ劣らぬ逸品であるように思えてくる、いや、実際その通りなのだろう。空きっ腹に読むとお腹がキューキュー、よだれがダラダラ垂れるので注意。
1年間を1か月ずつ、計12の章に分けエッセイの形をとっているが、イギリスからフランスに引っ越した筆者が、慣れない慣習に翻弄されながらも理想の家に近づけていく様が季節を通して描かれているので、私のようなエッセイ苦手人間でも小説のつもりで読める。実際小説だと思い込んで購入してしまったし、読んだら読んだで「プロヴァンスなんて素晴らしい場所がこの世に実在するはずがない」と変な錯覚に陥った。
フィクションだろこれ!? あるなら行きたいよ! いいないいなプロヴァンス行きたい行きたい行きたい!


かくして「フランスに行きたい病」は悪化の一途を辿るのであった……。