『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』その2

今や大人気のニンテンドーDS。タッチスクリーンを搭載したその特異なインターフェイスによって、これまであまり日の目を見てこなかったジャンルでさえ脚光を浴びるようになってきた。

1つはもちろん『脳トレ』に代表される教育系ソフト。文字を書き込めるというDS最大の特徴を活かした数々のソフトの発売によって、これまでほとんどなかった「トレーニング」や「教育」といった新たなジャンルを確立し、最近では教育機関にまで注目されるようにまでなった。

そしてもう1つが「アドベンチャーゲーム」だ。謎を解く楽しみに重点を置くこのジャンルは『かまいたちの夜』など一部の例外を除けば最近ではあまり振るわなかった。これは「システム」と「お得感」に問題があるからだろう。

極論で言ってしまえばアドベンチャーゲームのシステムといえば、長い間「選択肢を選ぶ」か「画面内の気になるものを指定」という2つ操作方で完成仕切っていたが、そこにはストーリー意外に新しいものは何も無かった。そしてそれゆえに高くなり続けるハードのスペックに見合ったものが生まれず、ユーザーが買い控えるようになってきたのだと思う(ここでは所謂「恋愛アドベンチャー」は除いて考える)。

そこでこのニンテンドーDS。タッチスクリーンのおかげで「気になったものを直接タッチする」という直感的な操作が可能になったばかりか、マイクやメモ機能のおかげで「謎解きの楽しみ」に新たな可能性が開けた。もともとハードのスペックも必要としていないので、DSの性能に見合ったものが多く、他のジャンルと比べても見劣りはしない。そんなわけで、オリジナルタイトルながらも50万本を突破した『レイトン教授』や、シリーズ最高の売り上げを記録した『逆転裁判4』など、成功作も生まれるようになってきたのである(全然売れていないが、個人的には『探偵・癸生川探偵事件譚』もオススメ)。



さて。ゲームジャンルには確固とした定義は存在しないため『ゼルダ』シリーズのジャンルをアクションRPGなどと勘違いする人もいるが、それは間違い。任天堂曰く「アクションアドベンチャー」である(まあ『リンクの冒険』だけはアクションRPGなんだけど)。アドベンチャーと付いているだけに「謎を解く楽しさ」というのが従来の作品でも重視されていたのだが、やったことのない人にはただの見下ろし型のアクションゲームにしか見えない。更に『ゼルダ』シリーズもゲームの進化の上で避けられなかった「3D化」に際する操作の複雑化よって、(昔から難しかったとはいえ余計に)「難しそう」という印象をユーザーに抱かせるようになってしまった。これが最近の『ゼルダ』シリーズ売り上げ減少の1つの要因として考えられている。

夢幻の砂時計』が成功した1番の理由は、CMによって「タッチペン1本で簡単に操作できそう」「書き込み機能を利用した謎解きぐらいなら簡単に解けそう」と、DSでアドベンチャーゲーム好きになった新規ゲーマーたちに訴求することができた点にある。そして彼ら彼女らを満足させられるほどにタッチペンでの操作が快適だったために口コミ人気に火がついたのか、今なお販売ペースをを維持している。このまま売れ続ければ『時のオカリナ』以来の100万本突破も夢ではない。

アドベンチャーゲームとして」の『ゼルダ』シリーズの可能性を切り開いた本作の意義は大きい。