『田尻 智 ポケモンを創った男』感想

ポケットモンスター』ブームを肌で感じていたのは、私がまだ小〜中学生だったころ。初代ポケモンが発売されてすぐは、一部の人の人たちが集まってプレイしているだけだったのに、瞬く間に大ブレイク。人気はクラス中に、学校中に。休み時間はポケモンカードゲームで競い、放課後は友達の家に集まって、通信ケーブル挿して対戦。
当時ゲームソフトを買ってもらえなかった身としては、兄がプレイしてる『ポケモン緑』を覗き込んだり、わずかなお小遣いをポケモンカードに注ぎ込んだり、ちょっとでもその「輪」に入ろうと必至だった。『ポケモン金』を発売日に買ったときは、それこそ夢中でプレイして、ED後には『緑』の舞台だった「カントー地方」にも行けると知って、うわー!って感動。なつかしい。


その後は随分といろんなゲームをプレイして、『ポケモン』からは離れてしまったけど、そんなポケモン熱を思い起こさせてくれたのが『田尻 智 ポケモンを創った男』。以前から、田尻智さん(ポケモンシリーズのディレクター。現在は第一線から引いて同シリーズのエグゼブティブディレクターを務めている)率いるゲーム制作会社「ゲームフリーク」が私の自宅の近所、の学習塾の上階、にあることまで知っていたので、親近感は抱いてたのだけれど。この本を読んだら、それ以上に敬意を抱かずにはいられなくなった。

ゲームフリークはここ数年、『ポケモン』以外のゲームをほとんど作っていない。唯一『スクリューブレイカー 轟震どりるれろ』というアクションゲームがあるのみ。『ポケモン』以前は、どちらかというと通好みのインディペンデントなゲームばかりを手がけていたのに、だ。どうして『ポケモン』ばかりを作っているか、というと 「責任」なのだという。

それ(『ポケモン』)以降はアマチュアではいられない、ワールドワイドに市場が広がったことによる非常に複雑で多層化した責任とか、法体系の学習とか。やっぱりそういう面で大人にならないと、これだけ爆発的に売れた後の責任が取れない。そこをキチンと取るのが、プロフェッショナルであるっていうことだとも思うし。

かといって、『ポケモン』をこれまで支持してくれた人たちに対しても、責任を負うつもりでいるし。僕はそういう、ちょっと生意気な、大層な気持ちで作っている男ではあるんだけども。

そんな強い業に駆られて『ポケモン』の続編が作られ続けていたとは……。確かに『ポケモン』シリーズは世界出荷1億超の爆発的ヒットゲーム。続編を期待している人の数は並大抵ではないのだろう。でも会社の全精力を1本のシリーズに注ぎこむなんて。
一方で国民的RPGと持て囃されながらも発売日を延期し続けるようなゲームや、グラフィックばかりに力を注ぐばかりに肝心な部分がおざなりになっているゲームがある中で、田尻智の、ゲームフリークの、定期的に『ポケモン』のニューバージョンを高いクオリティで供給し続け、責任を全うしようという態度には、敬意を抱かずにはいられない。


ポケモン』からはしばらく離れていたが、この本をきっかけに再びプレイしてみる気にさせられた。先日発表された『ハートゴールド』、は待ち切れないので『プラチナ』を買って来よう、と強く決心。