新釈 走れメロス

大学の先輩の「メロスがさぁ、逃げるんだよ!」というよくわからない薦めによって買ったのが、以前『夜は短し歩けよ乙女』で絶賛した森見登美彦の『新釈 走れメロス』。
メロスが友人を置き去りにして京都市内を走りまくる森見版「走れメロス」は、どうにもふざけすぎてて好かないので先輩好みが合わないですごめんなさい、という残念な感じだったが、原作を知らないで読んだその他の作品「山月記」「藪の中」「桜の森の満開の下」「百物語」は、いづれも舞台を現代京都に置きつつも、趣のある怪異譚を展開していてなかなかに面白い。
じゃあ原作はどうなのよ、と手に取ったのは中島敦芥川龍之介坂口安吾森鴎外の短編集。森見アレンジされる前の原作版が面白いのは当たり前で、ああこれが有名な「山椒大夫」、これが北村薫のネタにもなった「六の宮の姫君」か、と今まで気にはなっていたけどなかなか手を出せなかった有名文学もするすると読んでいた。
森見版新釈を絶賛するつもりはないけれど、有名文学の橋渡しになる存在として、こういう本が売れるのは重要なことだと思う。