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1回10分の宇宙船共同生活シミュレーション『グノーシア』クリアレビュー

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Nintendo Switch用テキストアドベンチャーゲーム『グノーシア』をクリアした。……いやテキストアドベンチャーと呼んでいいのだろうか。特殊なゲームをプレイすると一般的なジャンル付けがあまりに無力に感じる。

このゲームは体裁こそテキストアドベンチャーであるが、プレイ中に想起したのはシミュレーションゲーム高機動幻想ガンパレード・マーチ』だ(ガンパレもシミュレーションと呼んでいいのか悩むところだが)。テキストシミュレーションゲームという造語でも作るのが適切かもしれない。

 

『グノーシア』は元々Playstation Vita用に2019年に発売されたソフトで、今年4月にNintendo Switch移植版が発売された。2019年に今更Vitaで?と思ってVita版には手を出さなかったのだが、数少ないプレイヤーからはとにかく絶賛の声しか挙がらない。どんなものか気になって仕方ないので移植を機にプレイしてみた次第だ。買う前に聞いていた触れ込みは「人狼ゲームを元にしたアドベンチャーゲーム」。

人狼ゲームは本来、正体不明の「人狼」と「村人」に分かれて争う犯人当てパーティーゲーム。1、2度プレイしたことがあるくらいで特別興味を惹かれる題材ではなかったし、それをデジタルゲームにして面白いものになるのか?プレイ前は疑問符だらけだった。

 

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プレイしてみると、確かにゲームの根幹は人狼ゲームだ。ただし設定はSF風味。タイトルにもなっているグノーシアは、いわゆる「人狼」のゲーム内での呼称。プレイヤーは乗員(村人)として、時にはエンジニア(占い師)、ドクター(霊能者)など力を借りながら、村…ではなく宇宙船内に潜むグノーシアを見抜いてコールドスリープして(吊るして)いく。過半数がグノーシアになったら乗員側の負け、逆にグノーシアを全員コールドスリープすれば乗員側の勝利だ。

慣れれば1ゲーム10~15分程度で、プレイ前に乗員数(プレイヤー含めて最大15人)やその内のグノーシア数(最大6人)、プレイヤー自身の役職も自由に変更でき、グノーシアとして殺戮に興じることもできる。

 

これがなんでそんなに絶賛されるのか、とプレイ当初こそ懐疑的だったのだが、気づくと10周、20周……エンドロールを迎えたときには150周中近くになっていた。

何周遊んでも苦にならないのはひとえにキャラクターの魅力だろう。SF少女漫画風のキャラデザが良いとか、ループの先を目指す壮大なシナリオが良いとかではなく(いやもちろんそれらも秀逸なのだが)、何せ人狼ゲーム中の各キャラの挙動が良い。

 

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始めたばかりの頃は、なんで勝ったのか負けたのかもわからないままもやもやとするばかり。それがゲームに慣れてくるとそれぞれの発言、行動から「このキャラは嘘が下手」「人に媚びて平気で嘘つく」「論理的だけど信用されない」「助かるためには土下座も厭わない」など性格が見えてくる。

キャラクターも周回が進むごとに極端な行動をとりだし、より性格付けがはっきりしていく。はっきりしてくるとキャラクターの動きが読みやすくなり、「こいつとこいつは裏で手を握ってるな」「この発言は嘘じゃないな」というのが分かってくる。目に見えないパラメータをだんだんと手の内に掌握し、コントロールしていく感覚、とでも言えばいいだろうか。

 

そこで思い出したのが前述の『高機動幻想ガンパレード・マーチ』だ。熊本の学校を舞台にしたこのゲームは、毎日学校に通いながら同級生たちと友情や恋愛を育み、時に戦地に赴き死闘を繰り広げるという自由度の高いシミュレーションゲーム。とりわけ同級生たちの自由なふるまいが面白く、まるでゲームの中に生きているかのような錯覚を覚えるものだった。

『グノーシア』はテキストアドベンチャーだが、プレイ感は『高機動幻想ガンパレード・マーチ』に通ずるところがある。人狼ゲームを繰り返しているだけなのに、それが14人のAIとのかけがえのない数日間の共同生活を過ごしている気分になってくるのだ。

なおこのゲームで機能しているのはAIではなく「アフォーダンス」というらしい。詳しくは下記インタビューを参照のこと。

jp.ign.com

 

長い共同生活を過ごしていると時には単調な展開が続いてダレることもあったが……それはそれで『シュタインズ・ゲート』や『涼宮ハルヒの憂鬱』の無限ループをリアルに味わっているような妙な感覚もあり、苦しい時期も良い思い出になった気がする。

そう、今はもうエンディングを迎えてしまったのだ。楽しかった思い出と、大きな喪失感が胸に去来している。なるほど絶賛されるのも納得である。

 

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このゲームを遊ぶにあたって「人狼ゲーム」は入り口の一つすぎない。内容的には『シュタインズ・ゲート』に代表されるループもののゲーム/アニメ、世界観的には萩尾望都手塚治虫といった古典SFが好きな人に特におすすめだ。

『グノーシア 』は14人のキャラクターとの忘れられない思い出作りを楽しめる新感覚ゲーム。ぜひ多くの人に遊んでもらいたい。

 

グノーシア|NintendoSwitch版公式サイト