ゲーマーズライフ

ゲームとかアニメ

FF13ティザートレーラーの実現化とコンフリクト――『ファイナルファンタジーⅦリメイク』クリアレビュー

f:id:massan-222:20200517143315j:plain

ファイナルファンタジーⅦリメイク』(以下FF7R)をようやくクリア。タイムは43時間。PS版『ファイナルファンタジーⅦ』(以下FF7)の序盤――ミッドガル編までのストーリーをリメイクした内容だと事前に聞いていたのでここまでの大ボリュームだとは思っていなかった。長く楽しめた一方、このボリュームこそが『FF7R』の優れた演出のパワーを削いでしまったように思う。

 

  • FF13ティザートレーラーの呪いとその実現化

『FF7R』の最も気に入っている点は戦闘時の演出だ。

そもそもファイナルファンタジーというシリーズはゲームという媒体で物語を如何に表現するかという点で長年挑戦し続けてきた。戦闘中にセリフを挿入し、召喚獣をど派手に呼び出すなど様々な工夫を続けるなか、プレイヤーに特別な衝撃を与えたのが『ファイナルファンタジーFFXIII』(以下FF13)のティザートレーラーだった。

www.youtube.com

2006年のE3(14年前!)で発表されたこのトレーラー内の、カットシーンなのかプレイアブルシーンなのか判別できない流れるような戦闘演出は次世代のゲームを予感させるのに十分すぎるものだった。しかしあまりに先駆的だったためか、実際の『FF13』では実現されなかったのだが……。

そして時は流れ『FF7R』では、このなんちゃって演出を完全に実現。派手な敵登場カットシーンからそのままに戦闘へ移行し、特別な攻撃演出や敵の形態変化も流れるようにバンバン挿入。これが1度や2度の特別な演出ではなく、何十回も出くわすもはや当たり前のものなのだ。

www.youtube.com

『FF7R』の野村哲也ディレクターの携わった過去作品(『キングダムハーツ』シリーズや『ファイナルファンタジーXV』)でもこのカットシーンとプレイアブルシーンの一体化には長年挑戦し続けてはきたが、14年の時を経てようやく完成形になったと思うと胸が熱くなる想いだ。

 

  • 演出とボリュームのコンフリクト

ただ、このバトル演出とカットシーンの美しい連続性に水を差すのが、度々挿入される水増し要素だ。FF7』では10時間にも満たなかったミッドガル編を1本のゲームに仕立てるためか、『FF7R』は幾度となく原作にはなかった脱線をしながら物語が進行していく。

序盤のジェシーの両親を訪れるシークエンスはまだ良い方で(ジェシーがかわいいので)、幽霊を昇天させるだの、逃げたコルネオを追っかけるだのといった長時間の寄り道で、危機感ある物語が弛緩していく一方だ。

f:id:massan-222:20200517144552j:plain

幽霊退治の一幕。このパートいる?

またダンジョンがいちいち複雑化しており、あっちのスイッチを押しこっちのスイッチを押し、と行ったり来たりを繰り返すこと多数。終盤、もうすぐクリアだと意気込んで新羅ビルに突入したのに、ダンジョン化した北条の研究室内を行き来しているときは本当にゲンナリしてしまった。

 

  • 気持ちよくないバトルバランス

バトル演出自体は大変気持ちいい反面、バトルバランスが気持ちよくないのも問題だ。

今回はバトルシステムがガラッと刷新されており、アクションバトルとコマンドバトルの良いとこどりとなっている。敵の攻撃を避けつつ通常攻撃(□ボタンを連打)でATBゲージ貯める→貯まったらアビリティor魔法を発動、という繰り返しが基本の動き。アビリティor魔法の選択時は時間が止まるのでじっくり考えながら行動を選択できるので、ここはコマンドバトルっぽさがある。

この流れ自体は面白いアイデアなのだが、バトルバランスがなんとも気持ちよくない。何せ通常攻撃は非常に微弱で、序盤から終盤まで通して2桁台の攻撃しか与えられない。対するアビリティ・魔法は3~4桁台。序盤~中盤の雑魚戦こそ気にならないが、ボス戦や終盤の敵は4桁5桁が当たり前。通常攻撃をいくら繰り返しても微動だにしない壁を殴っているかのようで、完全にATBゲージを貯めるための手段にしかなっていない。

難度もかなり高めで、ゲームオーバーになった回数は数知れず。本作は敵の総数が決まっているため、レベルを上げて物理で殴る作戦は無効だ。知恵とテクニックが必要なゲームは好きではあるが……、少々やりすぎに思う(とはいえイージーモードもあるので、アクションが苦手な人もご安心を)。

 

  • まとめ

そんなわけで手放しでおすすめできるゲームではない。本作だけでストーリーは完結しないし、そのくせ水増ししているから冗長で、バトルは気持ちよくない。

けれども最初から最後まで、バトル演出とカットシーンは途轍もなくかっこいい。投入されている技術も、制作規模も、業界トップクラスなのは間違いない。最新のすごいゲームを味わうのにこれ以上のものはそう無いだろう。

そしてストーリーは、非常に意味深だ。序盤から出てくる旧『FF7』には存在しない謎の存在"フィーラー"は終盤にかけて存在感を増していき、物語は謎を残しつつ一旦の幕を引く。本作単体で見たときには旧作からの物語上の決定的な変化があるわけではないが、もしかしたら次作以降、カミーユが壊れない『新訳Ζガンダム』のように、トウジが死なない『新劇場版ヱヴァンゲリヲン』のように、何かが起こるのかもしれない。

その時をリアルタイムで迎えることを考えれば、完結してから一気にやるなどと言うものではない。そもそも10年先に完結しているとも限らない。何せ『キングダムハーツ』は3部作完結に17年も要したのだ。この先のお祭りに参加したいなら、今すぐに遊ぶことをおすすめしたい。