世界で初めて「アニメ」をゲームにした『Cuphead』という驚異的なアクションゲームを遊んでほしい

先週末発売された驚異的なゲーム―鉛筆とインク、水彩絵の具でが描かれたキャラクターがアニメーションするアクションゲーム『Cuphead』に胸を打たれてここ数日毎晩のように遊んでいる。

難易度の高さに泣かされゲームオーバーになった回数は数知れないが、それでも止められない、先に行きたい、いやこの先に待つアニメ的表現を見たいという衝動に突き動かされる。それと同時に、昔見たディズニーアニメ、昔遊んだ2Dアクションゲームの記憶が蘇る。

ただのアニメ絵を動かすゲームではない。クラシックなアニメとゲームへのリスペクトが最新のゲームデザインと融合した、これまでに見たことのない傑作2D[アニメ]アクションゲームだ。

 

  • 1930年代風の驚異的ビジュアル

前述のとおり『Cuphead』は背景からキャラクターに至るまで全部手書きというのが売り文句。これは1930年代のアニメーションー『蒸気船ウィリー(1928)』から始まるミッキーマウスの短編映画や、フライシャー兄弟ベティ・ブープポパイといった古典アニメ―を模したものと謳っており、現代の日本の流行りや、アメリカのアニメーションとも全く異なる。

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ゲームの大半を占めるのがボスステージ。ほとんどのボスはダメージを受ける毎に第2、第3の姿を見せてくれる。その変化が見たいから、いくら負けても先を見たくなる。

愛らしくもシニカルなキャラクターは、かつて見たクラシックアニメと、確かに重なるものがある。また個人的には30年代アニメインスパイアな映画『ベルヴィル・ランデブー』も彷彿とさせるのが嬉しいところ(大好きな映画なのだ)。

 


Cuphead E3 2017 Trailer (1080p)

そしてこのビジュアルがヌルヌルとアニメーションするのである。一見すると古めかしいが、一周まわって新しい。ゲーム界隈では見たことのない新しいビジュアルが、過去と現在の技術の融合で生み出されたのである。

たった1枚の静止画で開発者のこだわりは伝わると思うが、動画でこそ本当のすごさがわかるのでとにかく一度トレイラーを見てもらいたいところだ。

 

  • 鬼畜かつ絶妙な難易度

このゲームの印象をより際立たせているのが、あまりにも高い難易度だ。どのステージも敵の攻撃は苛烈で容赦なく、アニメーションに見とれているとたった3つしか無いライフは瞬時になくなりゲームオーバーまっしぐらとなる。

ビジュアルを見せたいゲームだろうに何でこんな難易度なのか、というのが最初は甚だ疑問だったが、遊べば遊ぶほどクラシックな日本産アクションゲームへの深い愛情を感じずにはいられず、どうやら高難易度なのも意図したものであるらしい。激しい攻撃に晒されるボスステージはロックマンの記憶が蘇るし、横スクロールステージは魂斗羅ガンスターヒーローズだ。 

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アニメ化して舞い戻った『ロックマン2』のメカドラゴン

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数はさほど多くないものの2Dスクロールステージも存在する。大量の雑魚キャラの細やかな仕草からアニメーターの苦労を想像すると涙を禁じ得ない。


しかし難しい難しいと言いつつも、ほとんどの攻撃に予備動作があるので、パターンを覚えれさえすれば避けられないことはない。

ステージクリアで貯めたコインを使ってHPの増加アイテムや無敵ダッシュ、溜め打ちや追尾弾などの攻撃バリエーションを購入すればパワーアップも図れる。選択式なので全てのアイテムを一度に装備することはできないが、戦い方や敵の攻撃に合わせて戦略を練るのもまた楽しい。

ステージのリトライも素早いので、総じて理不尽さもストレスも感じることはない。鬼畜だが絶妙な難易度設定。止めどころが見つからなくなる。

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スーパーマリオブラザーズ3』な平面マップでステージやショップを選択

 

  • アニメとゲームの原体験をもう一度

普段アニメもゲームも息をするように接種していると忘れがちだが、このゲームのプリミティブな面白さ―それこそ絵が動くだけで面白いし、動かすだけで楽しい―に気づくと、忘れていた幼いころの原体験、初めてアニメやゲームに触れた頃の感動が蘇ってくる。思い出させてくれた『Cuphead』には感謝である。

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理不尽ではないとはいえそれでも高い難易度や、PC(Win10のアプリストアと、ゲームプラットフォームSteamで購入できる)とXBOX One向けにしか現在発売予定がないこと、今後予定されているとはいえ未だ日本語字幕がないことなどプレイするまでのハードルは低くはない。

それでも、後にも先にもないであろうこんなにも見事なアニメとゲームの融合作が、多くの人に遊ばれてほしいと願わずにいられない。今年のベストインディーゲーム候補はこれに決まった。

 

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