シリーズを離れていた人をも動かすオープンエアーの魅力 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』ファーストインプレッション

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遡ること1週間ほど前、離れて暮らす兄から久しぶりの連絡があった。こういう時は良い知らせか悪い知らせと相場が決まっているが……、今回は良い知らせだ。Wii Uを送ってくれないか、と言ってきたのだ。当然、Wii U版、Nintendo Switch版が3月3日に同時発売となるゼルダの伝説シリーズ最新作『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(以下ゼルダの伝説BOTW)』をプレイしたいがためのことだろう。『スプラトゥーン』がしばらくできなくなるな、という気持ちは抑えて快く送ることにした。

兄はかつて、『ゼルダの伝説 夢を見る島』や『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』をプレイしていたものの、最近はPCやPS4洋ゲーに傾倒していると聞き及んでいた。なぜ兄が今になって、とも思ったが、今回の『ゼルダの伝説BOTW』がオープンワールド、ではなく任天堂の提唱するオープンエアーであることが大きな理由に違いない。シリーズを離れていた兄までも呼び戻した。それだけ今回のシステム大刷新が衝撃的だったのだ。そして兄は今頃存分に満喫していることだろう。発売日から約15時間プレイした私にはわかる。ゼルダの伝説BOTW』は大傑作なのだから。

 

まずオープンエアーとはなんぞや、というとつまりはオープンワールドである。『グランドセフトオート3』を皮切りに海外で大流行した、とにかく見渡す限りの世界まるまるを、ロードもなく駆け回れるゲームシステムの総称だ。リアリティ・没入感が段違いで高まることから現在ではヒット作には必須の条件のようにもなっているが、総じて製作側の負担も増すことから国内では二の足を踏まれている節があった。しかし近年はようやく『メタルギアソリッド5』や『FF15』などでも採用されており、任天堂としてはモノリスソフト開発の『ゼノブレイドクロス』以来の2作目となる。

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ただし世界的には周回遅れで参入した任天堂は、ただのオープンワールドなど出して来るわけがなかった。ゼノブレイドクロス』においてさえ、驚異的な高低差のある地形による「感動を呼ぶ情景」を生み出してた任天堂は、その技術をゼルダの伝説に導入するばかりか、ゲームがもたらし得る最大限の自由度をプレイヤーに与えることに成功した。これをオープンエアー名付けたのだろう(と解釈している)。

ゼルダの伝説BOTW』はとかく自由だ、なんでも出来る、と喧伝されている節があるが、所詮ゲームなので開発者の用意した選択肢の中にしか自由はない。しかしその選択肢の多さが驚異的なのだ。これまでのゼルダの伝説シリーズであれば、用意されたダンジョンを、決められた通りの順番で周って、手に入れたばかりのアイテムで謎を解いての繰り返しというのが常であった。

しかし今作は、ダンジョンをどんな順番で攻略するか、そもそも攻略するかどうかもプレイヤーの手に委ねられている。主要な攻略アイテムは序盤に全て手に入るので、どれを使うかの試行錯誤が必要となるが、無数にあるダンジョンは何れも小規模。いつものように相当な覚悟をもって挑まずに済むのも良い(謎解きによっては複数解や、アイテムの組み合わせもあるので奥が深い)。

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自由度の広さは敵の倒し方にも及び、複数の武器種のどれを使うかで戦法が変わるばかりか、ダンジョン攻略アイテムや火・氷・雷を制御することで無限の戦い方が見えてくる。例えばゲーム序盤から、松明で野焼きに巻き込んで倒したり、矢でランタンを撃ち落として爆弾に引火させたりと、とにかくボコブリンが出る度にどうやって焼こうかと考えるのが楽しくて仕方がなくなる。

戦うばかりでなく、食べ物の採取と調理、動物の写真撮影など脱線要素も数多く用意されており、美麗な地形と相まって、新たな土地を走り回るだけでただただ楽しい。オープンエアーという単語を聞いた時は、またなんだかわからない小洒落た単語を作りやがって、などと思ったのは本当のことだが、プレイした今はわかるような気がする。今までのゼルダの伝説シリーズも、数々のオープンワールドゲームをも過去にする、新しいゲームシステムを任天堂は生み出してしまったのかもしれない。

 

ここまで自由だ自由だと聞くと、過去のゼルダの伝説シリーズとは別物のような、特にストーリーが薄味になっていることが心配になるかもしれない。けれどそこはゼルダの伝説だ。攻略の順番は自由とはいえ、お馴染みの各種族絡みのエピソードはかなり骨太なものが用意されている。現時点で攻略したのはゾーラ族のみだが、ちょっとこれは、あんまり切なくて泣きそうになってしまった。おっさんはこういう話に弱いんだ……。オープンエアーならではの、ゼルダとのエピソードの積み重ね方にも唸らされる。

また世界中には多くの集落や村が点在している。シリーズでお馴染みとも言えるユニークな人々との交流やサブクエストも多数あるので、過去作のようなメインクエストとサブクエストを交互にクリアするプレイ感はそのままだ。そしてなんと言っても、女性キャラが魅力的。

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最初に惚れたのはカカリコ村のパーヤちゃん。しかしその後も、ハテノ村のあの娘のインパクトにやられ、そしてゾーラのあの娘にはハートを鷲掴みにされた。人種を問わず女性に悩むのもまたゼルダの常ではないだろうか。

 

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ゼルダの伝説BOTW』にとって大事なことを書き忘れるところだった。Wii U用タイトルとして開発されていた本作は、新ハードNintendo Switchでも発売されたのだ。Wii Uを送り出してしまい、そもそも任天堂の新ハードを買わないわけがない私はハードごとSwitch版を購入したわけだが、これが『ゼルダの伝説BOTW』とめっぽう相性が良い。

Nintendo Switchは据え置き機ながら液晶画面を本体に備えているため、手軽に携帯も出来るハイブリッドゲーム機。だからこの3日間だけでも、謎解きに詰まったときにはアニメ『正宗くんのリベンジ』をながら見しながら頭を捻っているうちに閃くことができた。お台場ガンダムの有終の美を拝みに行きたいけどゲームを止められない時にも、止めずに移動中もプレイできた。

このひと回り大きなPSVitaのようなNintendo Switchは、あんまり手軽に携帯可能なのでもはや任天堂の新型携帯ゲーム機のような気さえしてくる。そして本作のような、長時間のプレイを要するゲームには最高に最適なハードだ。

 

  • まとめ

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ゲームに触れ始めた幼少の頃、画面の向こう側のキャラクターが思い通りに動くだけで楽しかった。数多のゲームをプレイするうちにそんなキラキラした気持ちは薄らいでしまっていたが、そんな私の原体験を『ゼルダの伝説BOTW』は蘇らせてくれた。遠くで暮らす兄も、そして世界中のプレイヤーもきっと同じ気持ちを抱いているはずだ(世界中のゲームレビューを集計したメタスコアで98点と、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の99点に次ぐ歴代2位のスコアを叩き出してしまったのだから!)。

ゼルダの伝説BOTW』は、任天堂史上最高のソフトとして今後語り継がれるかもしれない伝説級タイトル。ゲーム好きはもちろんのこと、ゲームがかつて好きだった人や、シリーズ未プレイの人であっても、万難を排して遊ぶべきだ。