これはまさに"海ノ旅ビト" 『ABZŪ』レビュー

夏といえば海。海といえばそう、海洋探索アドベンチャーゲーム『ABZŪ(アプスー)』の、PCゲームサイトSteamでの配信が始まりました。

公式サイト

 

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『ABZŪ』は何といっても、アーティスティックな海の描写が格別。『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』を想起させる温かみのある映像表現で作り込まれた海の世界は、これまで生み出されたどんなゲームよりも、いやこの世界に広がるどんな海よりも美しいと言っても、言い過ぎではありません。息を呑む美しさとは、まさに『ABZŪ』のためにある言葉です。

 

このゲームをプレイしたきっかけは、PS3の傑作『Flowery』『風ノ旅ビト』でアートディレクターを務めたMatt Nava氏の率いる新興スタジオGiant Squidのデビュー作だから。遊んでみると確かに、短時間のゲームプレイに美しい描写をぎゅっと詰め込んだ点は過去作ゆずりです。大きく違うのは「密度」と「変化」でしょうか。

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画面いっぱいに多彩な海洋生物を映し出すのは相当な演算処理が必要なはず。PS3では表現できなかったことでしょう。

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また過去作はいずれもシンプルな世界感でしたが、今作は彩り豊かな生き物たちで溢れかえっています。彼らの存在により画面が絶えず変化するので、ぼーっと眺めていても飽きることがありません。

ただあんまりにも過去作に寄りすぎているきらいもあります。ゲームの展開が『風ノ旅ビト』そのもの……。ただもうそこは、砂漠が海に変わった続編と思うことにしました。私は『風ノ旅ビト』大ファンなので問題なし。過去作に触れていない人は新鮮な気持ちで驚きをもってプレイ出来ることでしょう。

 

本作は現在Steamで英語版のみ購入可能。海外ではPS4でも配信中ですが日本からは買えず、国内販売予定も未定、とハードルは少々高いですが、台詞は一切なく、画面に出る文字は魚の名称くらいなのでSteam版でもプレイには全く支障はありません。

プレイ時間は駆け足でクリアすると映画1本分くらい(社会人に優しい)。短くとも濃密なゲームプレイは、値段分以上の満足感を得られるはずです。

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過去作や、『ICO』のような所謂「雰囲気ゲー」が好きな人には、この夏1番のおすすめです。