Oculus Riftを買うべきではない5つの理由と、それでも魅力的な3つのソフト

『アイドルマスター シンデレラガールズ』のVR対応ソフトも発表され益々話題沸騰のVR界隈ですが、私はいち早くVRヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)を手に入れることができました。Oculus社製の『Rift』です。

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この『Rift』は、2014年春のニコニコ超会議で心を奪われてから約2年間待ち焦がれ、製品版予約開始日に即ポチって手に入れた念願の代物。もう興奮が抑えきれず諸々環境を揃えてからこの1週間は寝る間も惜しんで触り倒しました。現在最高に楽しんでいます。

ですが……現状この『Rift』には超えなくてはいけないハードルと欠陥が多すぎます。決して万人には薦められるものではありません。とはいえ永年ゲームに触れ、バーチャルリアリティに憧れ続けた私にとっては、非常に魅力的なハードウェアであることもまた事実。

せっかく手に入れた高価なおもちゃですので、良いも悪いもひっくるめて、この『Rift』を解説したいと思います。

 

 

1.VRHMD、そして『Rift』とはそもそも何なのか?

VRHMDとは何かを知らないと後段を読んでもよくわからないと思うので、まずは簡単に解説したいと思います。

とりあえずざっくり例えるなら、VRHMDは「ゲームの世界に入れるすごいメガネ」です。

これまでいわゆるテレビゲームは、自分とモニタの間に超えられない壁があり、どんなにドラマチックなイベントがモニタの中で繰り広げられても、あくまで客観的に操作する、鑑賞するだけものでした。

ですがVRHMDをかぶると、360度どこを見渡してもゲームの世界が広がり、まるでゲームの世界に入ったかのように、主観的に体感できるようになる、というハードウェアです。『マトリックス』や『ソードアート・オンライン』、『攻殻機動隊』、『ニューロマンサー』等々、数々のSF作品で描かれたヴァーチャルリアリティーに、ついに現実が追いついたのです。

今年はこのVRHMDの本命と言われる3機種が発売されるため、VR元年などと呼ばれメディアで取り上げられることが多くなりました。PS4と連動するSONYの『PlayStationVR』、PCゲーマーにお馴染みのSteamを運営するValveとHTC社が開発した『Vive』、そしてOculasの『Rift』です(他にもスマホのGalaxyと連動する『Gear VR』、視線誘導機能も備えた『FOVES』など、3機種に限らずVRHMDは増え続けています)。それぞれの機種に細かい違いはあるのですが、追い追い書いていきたいと思います。

 ※なお現在発売されているVRHMDはほとんどが単体稼働するものではなく、あくまでモニタ代わりのデバイスなので、稼働させるための機器(PCやゲーム機)が別途必要になります。

 

 

2.購入意欲を削ぐ5つのハードルと欠陥

さて前述のように『Rift』には、購入するまで・購入してからのハードル、触ってわかる欠陥がいくつもあります。一つ一つ解説していきたいと思います。どこかで挫ける人は回れ右しましょう。

 

① 高価過ぎる

まず初期投資費用が高すぎます。私の場合は30万円近くかかりました。

Rift本体: 83,800円(599ドル)※日本への送料約1万円は納品遅延に伴い割引

PC  :180,144円(Core i7-6700/メモリ16GB/グラボGTX1070

モニタ : 18,900円(24インチ)

合計  :282,844円(税込み)

まあこれはゲーミングPCを一から購入したから、また長く使うことを考慮して高めのスペックのPCを買ったから、という理由があるのですが、そもそも『Rift』を動かすのに必要とされるPCのスペックが高すぎるので(Core i5-4590、メモリ8GB、グラボGTX970またはAMD290)、ゲーミングPCを持っていても相当数の人はスペックアップが必要になると思います。

なお現在は円高により1ドル=約100円になっていることや、今週安価なグラボGTX1060が発表されたばかりということもあり、もっと安く環境を整えられるはずです。

ちなみに他のVRHMDに目を向けると、『Vive』も同程度の仕様のゲーミングPCが必要で、本体価格は更に高い税別99,800円/税込み107,784円。ただし国内販売が今週から開始されたので法外な送料はかかりません。『PlayStationVR』は最も安価な税別49,980円/税込み53,978円ですが、別途PS4も必要となります(税別34,480円/税込み37,778円)。要はどれもそれなりに高価です。

 

② 納期が長過ぎる

予約開始日は今年1月7日、出荷開始が3月28日。アメリカの製品なのですぐには届かないだろう、と覚悟はしていたものの、ようやく届いたのは6月6日のことでした。発売日に予約しても出荷開始から2か月かかるっておい……。

今から注文したらもっと納期短いだろうとは思いますが、ある程度長期戦になることを覚悟しておいた方が良いと思います。なお『Vive』は国内発売が始まったので、店頭在庫さえあればすぐに入手できるはず。『PlayStationVR』は10月13日発売予定です。

 

③ 英語が多過ぎる

『Rift』は日本国内の販売代理がありません。なので公式サイトから注文しないといけないのですが、販売ページのほとんどが日本語化されていないため、日本の通販サイトしか触ったことがない人は住所の入力の仕方でさえ戸惑うと思います。

ようやく手元に届いても、セットアップ手順が全て英語。私の場合は下記ブログを参考にさせて頂きました。

VR HMD「Oculus Rift CV1」をレビュー ~セットアップ方法紹介編~ : 自作とゲームと趣味の日々

それでも途中どうしてもエラーが出てセットアップが完了しないため、こちらのブログをさらに参照。

Oculusのインストールにはまる - Tutti Lab

エラーログが「%LOCALAPPDATA%OculusOculusSetup.log」に記載されているということがわかったので、ソフト側で開けなかったフォルダに飛んでアクセスを許可する、マカフィーをアンインストールする、という2つの手順で解決しました。

しかし現在もSteamの一部ソフトがVRモードで起動しない、Oculusで購入したソフト『Project CARS』のゲームデータがセーブできないというバグが発生中。海外のフォーラムを読んで周っているものの解決の目途が立たない状況です。困った。英語こわい。

なお同じく海外製の『Vive』(開発のHTCは台湾、運営するValveはアメリカの会社です)は、Steamサイト内に日本語のセットアップガイドが掲載されています。Steamで日本語化には一日の長があるとはいえ、Oculusにも頑張ってもらいたいところです。

 

④ サイズがアメリカン

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アメリカ人は鼻が高いんだなあと改めて痛感。『Rift』はちょうど鼻の位置にスペースが空いているのですが、あまりに大きいので光が漏れまくり、外界見えまくりです。解決するためにはスポンジや布を充てるなど、工作して穴を埋める必要があります。

また私の場合は細いフレームのメガネを使用しているので難なくメガネの上から装着できたのですが、メガネの形状によっては『Rift』内に収まらないため、新調が必要な場合もあるようです。

平たい顔族のメガネ野郎には相当厳しい設計となっています。

 

⑤ コントローラが有線

『Rift』は頭を振り回すので、ケーブルが邪魔にならないよう、せめてコントローラは無線式で、と願いたいところですが無慈悲にも付属のXBOX Oneコントローラは有線式。しかも日本だけ。

これはXBOX One用の無線LANアダプタが国内の電波法に則った技適の審査を受けていないからなのですが、マイクロソフト株式会社は仕事しろ!と声を大にして文句を言いたいところです(同梱品のうちXBOX Oneコントローラのみマイクロソフト製)。

今のところ、両手の動きに連動する無線モーションコントローラ『Oculus Touch』が発売予定ではありますが、今年後半発売と発表されているのみ。『Vive』はモーションコントローラが同梱、『PlayStationVR』は発売済みの『PlayStationMove』が対応していますので、少しでも早い発売を望みたいところです。

  

 

3.非常に魅力的な3つのソフト

ここまで『Rift』の悪い点ばかりを挙げてきましたが、それでも買って良かったと思っています。なぜなら、私にとって魅力的なソフトに出会うことができたから。ただしいずれも、今ままでに無い先鋭的なソフトばかりです。

 

① 無限に広がるVR世界を体験できる『Destinations Workshop Tools』

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公式サイト

価格:無料(Steamで配信中)

対応HMD:『Rift』『Vive』

『Destinations Workshop Tools』はValveの作ったVR空間作成ツールです。特筆すべきなのは『Star Wars バトルフロント』でも使用されたフォトグラメトリー技術が使われている点で、写真をもとに真に迫る空間を構築できるというものです。

さすがに自分で作成するのは難度が高いので、Valve製のサンプルや、他のユーザーが作成した空間に行くばかりですが、質の高いVR空間に入ると本当に声が出ません。イギリスの協会、火星の地表、seattle gum wall、本当に自分がそこにいるような気さえして、ぼーっと雰囲気を楽しんでしまうほどです。

またここで活躍するのが『Rift』の優秀な画素密度。残念ながら『Vive』は直接触ったことがないので直接の比較はできないのですが、GAME Watchの以下のエントリによれば、視野角は『Vive』が勝るものの、画素密度の勝る『Rift』の方が鮮明とのこと。

【佐藤カフジのVR GAMING TODAY!】3Dキャラを鮮明・魅力的に描くハイエンドVR「Oculus Rift」 - GAME Watch

実際、VR上の壁に迫って緻密なテクスチャを鑑賞できたりするのでとても優秀です。『PlayStationVR』は何度か触ったことがありますが画面の鮮明さは一段落ちる印象がありましたので(安価な以上やむなしですが)、この点はどのVRHMDよりも『Rift』が長けています。

なお『Vive』にはルームスケールといって、一定の大きさのVR空間を歩き回る機能があって、このソフトでも活用することができます。ここは心底うらやましい。

 

②モーションコントローラの可能性を感じる『The Climb』

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公式サイト

価格:4,990円(49.99ドル/Oculusストアで配信中)

対応HMD:『Rift』

『The Climb』は非常に珍しいロッククライミングを題材にしたゲーム。私は他に『DEAD OR ALIVE Xtreme3』しか知りません(あれはロッククライミングをする水着女子鑑賞ゲームみたいなものですが)。

私はボルダリングをかじったことがある程度なのであまり専門的なことは言えませんが、このゲームは確かに、自分の体験したものに非常に近い感覚を味わうことができました。

操作は至ってシンプル。つかみたい岩に視線を向けて、XBOX OneコントローラのR/Lトリガーを押すと右手/左手でつかむというもの。この視線でつかむ岩を探す感覚と、高所にたどり着いたときの達成感、高所のドキドキ感(下を向くと怖い!)はまさにクライミングのそれだと感じました。

ただしこのソフトはまだ本領を発揮していません。年内発売予定の『Oculus Touch』に対応して、手の動きまでリアルにゲームに投影される、らしいです。『Vive』より高性能と言われるこのモーションコントローラがあればVR空間への没入感が格段に増すはずなので、『Oculus Touch』の発売は本当に待ち遠しいです。

www.youtube.com

 

 

③ アダルトサマーレッスン『カスタムメイド3D2』

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公式サイト(18禁注意)

価格:税抜き9,800円(各種ダウンロード販売サイト及び専門店で発売中)

対応HMD:『Rift』『Vive』

『PlayStationVR』ではバンダイナムコが『サマーレッスン』という女子とイチャラブできるゲームを発売するということで大変話題となっていますが、PC用VRHMDにはPC用にしかできないことがあります。そう、アダルトです。どんな先進的なメディアの拡大もアダルトが先陣を切って推し進めてきたと言っても過言はありません。

細かい説明は割愛しますが、このソフトは自分の好きな容姿にカスタマイズした女子とアレやこれやできるという、男子の夢を体現したかのようなゲームです。通常のモニタでも遊べますが、VRHMDを使うと大変なことになります。母親にプレイ中の姿を決して見られてはいけないやつです。『火の鳥 未来編』のムーピーゲームってこんな感じだったのでしょうか。

出生率の低下を危ぶんで政府が規制しないことを望むばかりです。

 

 

4.まとめ とにかくどこかで触ってみてほしい

上記のソフトに魅力を感じ、多少の欠点はものともしないVR紳士にはぜひとも『Rift』の購入をお勧めしたいところですが、そこまで出来る人はそう多くないということはわかっています。

ですが少しでも気になる要素がある人には、ぜひとも一度触ってもらいたい。VRHMDは本当に面白いのですが、新し過ぎるハードウェアなのでいくら私が文字を書き連ねても魅力を伝えきることができません。

幸いVR元年と言われるだけあって、国内で安価にVRHMDを触れる機会が増えてきました。特にバンダイナムコの運営するVR ZONEは、『装甲騎兵ボトムズ』を題材にしたシミュレータが登場することでも話題になっています。

project-ican.com

skycircus.jp

www.interpia.ne.jp

こういった機会に触ることでVRに魅力を感じた人は、まずは安価で大手パブリッシャーの有名ゲームが揃うであろう『PlayStationVR』を、そしてもっとマニアックな体験を求める人は、『Rift』や『Vive』の購入を検討されるのが良いと思います。いやもう本当に、VR『カスタムメイド3D2』が凄いですから。私はそれを言いたいだけです。

現実世界にお別れを言う日はそう遠くなさそうですが、その日が来るまでの間は、面白いVRソフトに出会ったら紹介していこうと思います。