『ゲーム・レジスタンス』に真のゲーマー原田勝彦の生き様を見よ!

ゲーム雑誌が情報収集源だった時代

同世代のゲーマーから比べると私がゲームにのめり込んだのは随分遅く、ゲーム業界が過渡期だったPS2が発売された頃の事。とにかく周りに追いつこうとゲーム情報を欲していた遅咲きゲーマーの私にとっての情報源といえば、『ゲーム批評』や『CONTINUE』、そして『ユーズド・ゲームス』『ナイスゲームス』(後に2誌は合流して『ユーゲー』に、更に誌名を変えて『ゲームサイド』となる)といった、レトロゲームから新作ゲームまでカバーするコアなゲーム雑誌群だった。

そんな誌面で活躍していたゲームライターが原田勝彦氏だ。当初は無作為に読みふけっていたゲーム情報も、数をこなすと「このライターの文章は面白い」というのが見えてくるもので、特に原田氏の、ゲームに対してとにかく速さと破壊を求める純粋な熱い文章は印象に残るものがあり、自然と原田氏の文章ばかりを率先して追うようになっていった。『ユーゲー』『ゲームサイド』は編集部の体制がコロコロ変わり、誌面の面白さに粗があったので、一時期は原田氏の連載『ゲーム・レジスタンス』だけを目的に買っていたし、たまの休載は本気でガッカリしたものだ。

けれどいつしか誌のレビュー記事は誌面から減り、連載記事1本となって、しかもその連載も鬱々とした様相を呈し原田氏の精神面・健康面が心配になった矢先、氏の訃報が掲載された。2008年の事だ。死因は交通事故。信じられなかった。

 

蘇った原田勝彦

その後『ゲームサイド』は廃刊となり(現在も『シューティングゲームサイド』など後続の雑誌はあるが)、ゲームを取り巻く環境も激変。一時期のソシャゲの 隆盛は落ち着きを見せたものの、新ハードが発売されたからといって大きなムーブメントは起きない、ゲーム世紀末な2014年、原田氏の遺稿集『ゲーム・レ ジスタンス』が発売された。原田氏が亡くなって6年も経過してのことだ。発売の報を聞いた時は、にわかには信じられなかった。

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単行本『ゲーム・レジスタンス』には、主に原田氏の連載と、『ナイスゲームス』に掲載された1999年から2004年にかけての上期/下期の自薦ベストゲームレビューが掲載されている。残念ながら原田氏の全ての記事を網羅したものではないが、原田氏の熱さが充分に伝わる構成になっている。

読む前は原田氏に幻想を抱き過ぎているのでは、という心配もあったが、2014年に久しぶりに読み返す原田氏の文章は、ぬるま湯に浸かる私にとって非常に刺激的で、示唆に富む言葉に溢れていた。

ゲームというのはもっと純粋なものじゃなかったのか? プレイすることが楽しい。それが全てではないのか! 「両手にマシンガンを持って悪党どもを大虐殺! うひょートリガーハッピーイエ―!」という感覚こそが大事なものだろうがっ!!

全然ファッショナブルじゃないし、暴走ばかりしてるけど、ゲームにかけては妥協しない。すごいぜ、あんたらカッコよすぎ。これからが大変だろうと思うが、このセガらしさを失わず己の道を失わず突き進んでくれ! セガ万歳!! 

許そう。心の底から許すんだ、駄目ゲームたちを…。

愉快なゲームを見逃すことは、ゲーマーとして最大の罪である。罪人は死後裁かれるであろー。具体的に言うと、ジャガーを敷き詰めた床に正座させられ、膝の上に次々とPC-FXを積み上げられるような過酷な罰を受けるであろー。そうなりたくなかったら、今すぐXboxを買ってこい!

ゲームが現実の後ろを追っかけてどうするんだ! 頼むから現実をはるかに超えたスピードの世界を俺に見せてくれ…そう常々思っている。

 

しかし連載を読み進めていくと、上手くいかない実生活を吐露する内容、はっきり言ってしまうと文章自体が死の匂いを帯びてくる。けれども文章の勢いは止まらない。

これからは孤独ゲームの時代が来ると確信している。ネタのようだが半分マジだ。もっともこのコーナーでの主張の正しさが現実世界で証明されたことは一度もないんだが、それはそれ。俺が死ぬ頃にはきっと世間も認めてくれるだろう(それじゃ遅いよ…)。

最近死にたくなるようなことばかり起こってよく死にてぇなって思うんだけど、『ブラスターバーン総集編』をやったら本当に死んでも悔いがないって感じになってヤバい。思い残すことがなくなっちゃった。そのくらい最高。

 そして俺たちも、もう少し考えたほうがいい。自分が何と引き換えにゲームをプレイしているのかを。俺たちは一体何をしているんだ? 気が付いたら歳だけ食って、何も得ていない事実に気づくなんて、冗談じゃないぜ。そうこれは決して冗談じゃないんだ……。

とにかく俺が言いたいことはひとつ。メガドラは俺たちが思っているよりずっと黒い。闇を知れ。奴らはまだそこにいる。

終盤はXBOX360に熱を上げ、元気な様子も伺えたのだが。存命ならば、今頃何のゲームを遊んでいるのだろう、と想像して悲しくなってしまう。

 

原田勝彦のいない2014年

しかしながら原田氏はもういない。いないなら生きている私達がハードでコアなゲームを思いっきり楽しむしかない。

このところ遊んでいる『3Dアウトラン』や『ソニック&オールスターズレーシングTRANSFORMED』のような、時代に逆行したレゲーや、速いだけが取柄のバカレースゲーはもちろん、据え置きゲームを遊んでいるだけで「このゲームを楽しんでいるの自分だけではないか?」という疑問が最近幾度となく襲ってくる。

しかし原田氏の文章を久しぶりに読み返して自信がついた。私だけでもいいじゃないか。孤高ゲーム万歳だ。好きなゲームを好きなだけ遊んで、語りたいだけ語る。生きている限り続けていきたい。ゲームに人生を賭してもいいじゃないか!