開かずの踏切に囲まれた世界『怪獣が出る金曜日』

昨日、2013年3月23日から小田急線下北沢周辺が地下化され、「開かずの踏切」と化していた踏切9箇所が解消された。下北沢のゲーム店ド○マでバイトしていた時分、2駅分隣りの実家からの行き来で随分と悩まされた事を思い出すと嬉しい半面、街の景色が変わっていく事に寂しさや不安も感じる今日このごろ。
そんな開かずの踏切に囲まれた世田谷区を舞台にしたゲームが、先日3DSで配信された『怪獣が出る金曜日』だ。



パッケージタイトルとして発売された『GUILD01』の、新シリーズ『GUILD02』として配信限定で発売された本作は、GUILDシリーズらしい尖った設定のアドベンチャーゲーム。ディレクターは『ぼくの夏休み』シリーズの綾部和氏。
時代背景は、特撮怪獣番組が人気を博して、まだ電子ゲームもない昭和のどこか。毎週金曜日に怪獣が出ると噂される世田谷区の一角に引っ越して来た少年そうたが、同い年の少年少女と、商店街で暮らす人々と触れ合いながら、怪獣出現の真実へと迫っていく物語が、『ぼく夏』譲りの優しいタッチで描かれている。住人との触れ合いは『どきどきポヤッチオ』を、スケール感のある怪獣描写は『ギガンティックドライブ』を彷彿とさせる、と言ったら言い過ぎか。

ストーリークリアだけなら2時間程度で終わってしまう、というボリューム不足感は否めないものの、他のゲームではまるで見たことのない「ぼく夏風アドベンチャー」×「昭和」×「怪獣」という斬新な組み合わせには、800円分充分に楽しませてもらった。
そして何より気に入ったのが、主人公が外の世界に出ないようにするため、ゲーム側が配置した設定「開かずの踏切」。映画『三丁目の夕日』等の昭和レトロな作品というのは、その時代を知らない私にとって異世界でしかなかったのだが、「世田谷区」の「開かずの踏切」と言われたら、親近感が湧かざるをえない。
昨日で本物の開かずの踏切がなくなり、現実との接点をなくしたこのゲームの世界はやはり異世界に違いないが、私にとっては最も身近な、ノスタルジーを感じる作品だ。