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あれっくすに訊く(前編)

任天堂の新型ゲーム機Wii Uの発売から一ヶ月。任天堂らしいソフト日照りでやきもきしていましたが、1月23日配信のNintendo Directで、『MOTHER2』の配信(30円!)や『風のタクト』HDリメイク版、『ゼノギアス』『ゼノブレイド』を彷彿とさせるモノリスソフトの新作など、やっと今後に期待できる情報が出て来ました。
そこで少しでも追い風になればと思い、昨年末のコミックマーケット83にて頒布した『ウィーゲー2012年12月号[No.2]』という同人誌に掲載した、N-Stylesのあれっくすさんへのインタビュー『あれっくすに訊く』を、あれっくすさん許可の元、全文掲載したいと思います。
本日掲載する前編は、2012年5月に収録。あれっくすさんと任天堂との馴れ初めから、Wii Uの売れ行き予想、そして任天堂の将来予想にも踏み込んだものです。E3前の、まだWii Uの詳細が出揃っていない時期にもかかわらず、価格予想の精度が高いばかりか、今月16日に日経新聞が報じた任天堂の据え置き機・携帯機用ソフト開発体制一本化をも示唆した、非常に興味深い内容になっています。あれっくすさんファンの皆様、ぜひ御一読ください。

  • NINTENDO64の衝撃

―今回は、任天堂の実に6年ぶりの据え置きゲーム機であるWii Uの発売が年末に迫った節目とも言えるこのタイミングで、任天堂ファンサイト1番の老舗であるN−Stylesのあれっくすさんにお話を訊きたいと思い伺わせて頂きました。
 まずはあれっくすさんと任天堂との馴れ初めについてお聞きしたいと思います。

「ゲームはもともと、ファミコンゲームボーイをやっていて。その後しばらくはゲームで遊んでいなかったのですが、大学に入った時期にNINTENDO64が出て。近所のダイエーで遊んだ『スーパーマリオ64』が衝撃的で、気づいたら(ハードごと)買ってました。
 当時のネットは始まったばかりな感じで、任天堂のファンサイトは3つ4つしかありませんでした。少数派だとコミュニティは強くなっていくもので、参加しているうちに自然と任天堂愛が高まって行って、自分のサイトを立ち上げたのが97年の秋」

―長いですね。もう15年ですか。

「『15年も何やってるんだろう』って感じですけどね(笑) NINTENDO64が発売した6月頃はソフトが少なかったですよね。しばらくしてサードパーティのソフトが出るようになって、年末に遂に発売されたのが『マリオカート64』。
 コントローラー4つ揃えてクリスマスに大学の男子寮に持ち込んで、朝まで風船を割り続けてました(笑)」

―風船割り、ということはレースはやらなかったんですか?

「レースはゲームバランスが良くなくて。今のマリオカートみたいに下位から這い上がるアイテムがなくて、コースを覚えてるかどうかで差がでるから、バトル中心でした。
 96年はそんな感じで、97年は『007 ゴールデンアイ』。あれがまた盛り上がって。やはり大学の寮に持ち込んで遊んでました。大雑把なゲームだけど、ルールが細かく設定できて面白かったです。その後が『ゼルダの伝説 時のオカリナ』。発売したのが98年11月21日かな」

―よく覚えてますね!

「11月21日はやたらと任天堂のソフトが発売される日だから。そうそう、『時のオカリナ』の前年には『ファイナルファンタジー7』をやりました。プレイステーションは持ってなかったけど」

―それはやはり・・・、宗教上の理由で?

「欲しいソフトがなかったからですよ(笑) でも『ファイナルファンタジー7』はどうしてもやりたくて、友達にソフト代を半分出して、本体ごと貸してもらって。
 でも、結構当時の任天堂ファンサイトは殺伐としてて」

―やはりNINTENDO64で発売されるソフトが他機種より少なかったからでしょうか?

「ソフトが出ないし、スクウェアが裏切るし。叩いている人が多い中こっそり遊んでました。遊んだら面白いよ、って擁護してましたけどね。『ファイナルファンタジー13』もプレイしましたよ」

  • Wiiのベストゲームは『Wiiスポーツ』

ゼルダの伝説といえば、昨年はシリーズ最新作の『ゼルダの伝説 スカイウォードソードが発売されました。あれっくすさんはプレイされましたか?

「やりましたが、1周しかクリアしていないです。難易度が上がる2周目もやってみたいんだけど、1周分のプレイ時間が長いから」

―今回は1つ1つのダンジョンに入るまでの過程が長かったですよね。

「過程を飽きさせないようにする演出はうまいと思うんだけど・・・、100点のソフトではないという感じでした。すごい良くできているけど、誰にとっても面白くなるように作られていて、尖った部分がないというか」

―Wiiのソフトの話題に移ったところで、この本のテーマでもあるWiiについて深く聞いていこうと思います。Wiiはやはり、それまで任天堂ハードを続けて買ってきた流れがあって購入されたのでしょうか?

「そうですね。発表された時点で買うことは決定していたんですが、千葉まで体験会にも行きました」

―福岡から千葉までですか!?

「2006年の11月かな。幕張メッセでNintendo Worldっていうイベントをやっていて」

―当時のWiiはDSの人気を引き継いで、予約するのも大変な勢いでしたよね。そんなWiiのソフト群で、一番好きタイトルを選ぶとしたら何でしょうか?

「『Wiiスポーツ』ですね。ずーっとやってました。毎日遊べる要素が入っていたのが良かったです。こういう毎日遊ぶゲームは、今後はダウンロード版を買うようになる気がします。3DSの『とびだせ どうぶつの森』なんて、特にダウンロード版を買った方がいいと思っています」

―『どうぶつの森』のように長時間かかるゲームは苦手だと思いましたが、毎日遊ぶゲームは別腹ですか?

「だって出先で草むしりしたいじゃないですか。遊んだ人ならわかると思うんだけど・・・」

―私もやっていたのでわかります(笑)DS版は1年間毎日欠かさず遊びましたよ。

「毎日やりますよね(笑) Wiiで発売された『街へいこうよ どうぶつの森』は、ソフトの入れ替えが面倒なこともあって、あまり長く遊びませんでした。
 Wii Uで発売される新作が、本体にダウンロードできて、タブレットコントローラだけで遊べるなら1年間遊ぶと思います」

―Wiiで発売されたタイトルで、他に思い出深いものはありますか?

「『Wiiスポーツ』以外だと・・・、『大乱闘スマッシュブラザーズX』とか、『スーパーマリオギャラクシー』も良かった。『エキサイトトラック』も地味に面白かったですよね。極めようと思うと相当きつくて、同じステージを何十周も遊びました」

―すごいむずかしいですよね! 発売当時、貪るように遊んでました。

「でもWiiは、「これだ!」っていうタイトルがあんまりない気がします」

―個人的には好きなタイトルが多いのですが・・・。それはやはり、NITENDO64発売当時と違って、あまり他の人と遊ばれていなことも一因でしょうか。

「そうですね。なかなか最近は人と遊びづらいですね。DS初期はまだいっぱい対戦してたんですけどね。次世代ワールドホビーフェアで落とした『メテオス』の体験版を、ずっと電源切らずに対戦したり」

―Wiiは対戦ゲームに強い分、遊ぶ環境によって価値が変わりますよね。最近は輪をかけて発売されるソフトが少なくなって、発売スケジュールは寂しいものです。

サードパーティが離れちゃいましたからねえ。任天堂もまだソフトのストックがあったんだろうけど、売上が見込めるソフトはWii Uに移行したんじゃないでしょうか。
 Wiiで新作が出てしまいましたが、『零』シリーズは絶対Wii U GamePadが合うと思います。テレビとWii U GamePadに違う映像を映して、Wii U GamePadにだけ霊が映りこむ!みたいな表現ができるんじゃないかと」

  • Wii Uはソフト次第

―発売が迫ったWii Uですが、現時点(2012年5月)では発表されていない価格、同梱品はどうなると予想しますか?

「Wii U GamePadがあるけど・・・、30,000円は切ると思います。スーパーファミコン以降据え置き機は25,000円だったから、逆ざやだとしても、インパクトのある25,000円でくるかもしれません。(※1)
 同梱品は、本体とWii U GamePadと、電源ケーブルの3つだけだと思います。センサーバーもリモコンもつかないと思います。リモコンを4本揃えてるような人は、あっても困るから。(※2)
 Wii U GamePadにはNFCのセンサーが付いているので、Miiを保存できるようなICカードが付いてくるかも、とも思っています(※3)。リモコンと違って、カードなら友達の家にも持って行きやすいですし。オンラインIDがあれば、セーブデータをクラウドから引っ張ってきたり、店頭のカードリーダーでゲームの購入手続きができたら楽ですよね。ICカードを使ったゲームセンターとの連動も考えられると思います」
※1 ほぼ正解でした。正確にはベーシックセットが税別25,000円、プレミアムセットが税別30,000円。
※2 こちらもほぼ正解でした。正確にはベーシックセットには上記3つに加え、HDMIケーブルが付いてきます。
※3 付いてきません。

―その辺りの周辺装置を活用したゲームが出れば面白そうですよね。本体の売れ行きはどうなると思いますか。Wiiの時のように最初から調子良く売れるでしょうか?

「いやー、悪いと思います。でも本体同時発売のソフト次第じゃないでしょうか。すごいのが1本でもあればドカンと売れるかもしれません」

―Wiiにおける『Wiiスポーツ』みたいなソフトでしょうか?

「多分Wiiが売れたのもDSが売れたのもそうですが、ゲームだけじゃない、プラスαが必要なんだと思います。Wiiには『Wiiスポーツ』が、DSには『脳トレ』があったから、ゲーム機だけど買っていいかなって思う人が多かったわけです。

 『Wiiスポーツ』といえば、去年のE3で上映されたWii Uのコンセプト映像で、床に置いたWii U GamePadに映るゴルフボールを、リモコンで打つというすごい演出がありました。

Wii U GamePadにはセンサーバーがついてるから、スイングが通る位置をかなり正確に判断できると思います。Wiiリモコンプラスなら角度を検知できるし、本格的なフォーム改善に使えるんじゃないでしょうか」

―Wii Uもそういう、プラスαを提供できるかが鍵ということですね。

  • 携帯機と据え置き機の一体化

―Wii Uの、その後のハードのイメージは湧きますか?

「かなり難しいです。インターフェースの斬新化路線で続けるのか、ダウンロード販売の先を見ているのか。
 任天堂がよくやっているのが、実験的な周辺機器やサービスを始めて、それは結局ダメになるんだけど、5年10年かけて復活するというもので。以前[Ni]という同人誌で、3DSの発表前の2007年末に、『バーチャルボーイは倒れたままなのか?』という記事を書いたんだけど・・・。

―3DSとして復活したと。

「Wii U GamePadもある意味、DSの2画面の概念を据え置きに持ってきた感じがしますよね。
 あと消えてしまった周辺機器だと、ロボットとか。流石にロボット復活はないだろうけど、リアルなおもちゃとゲーム機が連動するっていうのはあるかなって。Wii U GamePadにNFCセンサー付きのおもちゃを置くと、ゲーム画面にそれが出てくる、っていうデモがありましたし」

―ロボットじゃないにしろ、現実とゲームをつなげるものが出てくると。

「あとは、次の世代は据え置き機と携帯機が一体化するんじゃないかって気がします」

―そこまで行っちゃいますか!?

「1つの会社で(据え置き機、携帯機の)2つのラインを持つのがそろそろきついんじゃないかと。家庭でしか出来ないゲーム、持ち運べるゲーム、両方で遊べるゲーム、とソフトの種類は複数になるけど、ハードは1つにして。

 家の方には、テレビと携帯機を繋ぐ受信機と、高性能なプロセッサと大容量のハードディスク。携帯機にはパワーの劣るCPUと、液晶画面とコントローラ。このアイディアは結構いけるんじゃないでしょうか」

―Wii U GamePadを見ていると、近い将来、本当に現実化しそうな気がしてきますね!

(インタビュー後編に続きます)