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シンボルエンカウントシール選択式ターンバトルのステージクリア型アクションアドベンチャー『ペーパーマリオ スーパーシール』 クリア後レビュー

カートレース、ゴルフ、テニス、オリンピックにスゴロクと本業のアクションゲームを疎かにして、世界で一番有名なヒゲおやじ=マリオは様々な舞台で活躍しているが、ペーパーマリオ スーパーシールでマリオは新たなジャンルに挑戦した。
パッケージ裏には「シールバトルアドベンチャー」などとよくわからないジャンル名が書いてあるが、正確に書き記すならこうだ。「シンボルエンカウントシール選択式ターンバトルのステージクリア型アクションアドベンチャーだ。なんのこっちゃ。


まず戦闘シーンの見た目からして誤解されがちなのだが、これは『スーパーマリオRPG』『マリオストーリー』『ペーパーマリオRPG』と続くロールプレイングゲームではない。かと言って戦闘を完全にアクション化した『スーパーペーパーマリオ』的なゲームでもない。
ペーパーマリオ スーパーシール』ではステージ上の的にぶつかると戦闘画面に切り替わり、おなじみクリボーやノコノコなどと交互に攻撃してHPを削りあう。とてもRPG的ではあるのだが、RPGとして大事な要素の1つ「経験値」が敵を倒しても入手できないのだ。このゲームにはもちろん「レベル」も存在せず、ステータスの成長要素はステージ探索中にごくたまに入手できるアイテムによるHP上限アップのみ。
そしてこのゲームはコマンド選択式バトルではなく「シール選択式バトル」。ステージ上で入手した「ジャンプ」「ハンマー」「甲羅」などのシールを選択して戦うのだが、シールは使い捨てであり、使用するとなくなってしまう。何も考えずに消費していると、シールが空っぽになり手も足も出なくなってしまいあっという間にゲームオーバー。良く言えば、敵と相性の良いシールを効率良く選択して、如何に最善手で敵を殲滅するかというリソース管理が肝である。……しかしマリオについてるその足は、いつから飾りになったのだろうか。
アクションゲームよりも1つの戦闘に時間を要するターンバトルだからこそ、蓄積する要素が欲しいものだが、経験値が貰えないどころか戦闘毎にシールは減る一方。結果、敵は成長の糧ではなく、ただの邪魔者にしかなっていない。これに気づいてからは、とにかく敵とエンカウントしないように避け続けるゲームになってしまった。逃走中@マリオだ。

アクションアドベンチャー部分も、肝はシールだ。本作のマリオは景色を平面化する「ペパライズ」という能力を駆使して、落ちている橋のシールを正しい景色に貼り付けて通り道を作ったり、冷蔵庫のシールを貼り付けて火山を冷やしたりと、使い方は様々。ペパライズなしでも、ゴミ箱を蹴っ飛ばしてくしゃくしゃになったキノピオを見つけたり、登場人物も景色も全て「紙」であることを強調したナゾトキに満ちている
しかしこのゲームはステージクリア型。ステージ1つ1つを淡々とクリアしていくだけで、ストーリー上のつながりが乏しい。というかステージ毎にもほとんどストーリーがない。一部、数ステージを経てハナチャンを救うクエストがあるものの、いつも通り拐われたピーチ姫を救う大目的があるだけ。そのため、15〜20時間程度かかるゲームながらモチベーションの維持が難しい。ナゾトキだけを楽しみにゲームを続けられるほど現代のゲーマーは甘くないと思うのだが。

  • デジタル版「飛び出す絵本」

ただこのゲームは悪い点ばかりではない。
「シンボルエンカウントシール選択式ターンバトルのステージクリア型アクションアドベンチャー」なんてプレイしたのは初めてだし、多分他に例もないだろう。とても斬新なゲーム体験だった
バトルもナゾトキも「シール」を使うという一点で芯が通っている点はとても好感が持てる。下画面に映るキラシールが本体の傾きによってキラキラするのは、SDガンダムのカードダスを集めていた世代としては堪らない。プレイ中、無駄にキラキラさせてニヤニヤしていた。
そしてなんと言っても、ペーパーマリオ世界ならではの「紙らしさ」が3DS立体視効果により遺憾なく発揮されており、まるでデジタル版「飛び出す絵本」。『とびだせ!どうぶつの森』をプレイしている時はいつも切っている3Dスイッチを、本作プレイ時は常に最大まで上げてプレイしてしまう程で、立体視を活かした見た目の素晴らしさは3DSのソフトでも随一じゃないだろうか。「紙らしさ」を押し出した北米版CMは必見。


RPGじゃなくてもストーリーがなくても良い、ただ斬新で見た目が面白いゲームがやりたい人だけに薦めたい(つまり万人には薦められない)、マリオにしてはえらくターゲットの狭いゲーム。それが『ペーパーマリオ スーパーシール』だ。