「大丈夫じゃない、問題作だ」『エルシャダイ』クリア後感想

昨年秋の東京ゲームショウで触って以来嫌な予感がしていたのだが、予感は的中した。あれだけ「大丈夫だ、問題ない(cv.三木眞一郎)」と言っていたのに、エルシャダイ』は大丈夫じゃなかった。問題作だ。

  • 大丈夫な点

1.音楽:全般的にかなり良かった。なにより『モンスターハンター』シリーズの作曲でお馴染みの甲田雅人さんが担当されているので、壮大な音楽は作品のイメージにマッチしていた。アザゼル戦の曲が特に好き。


2.美術:この世のものとは思えないビジュアル、特にchapter1の美術は素晴らしいと思う。あとchapter2の、塔の遙か下方に街が見えるというビジュアルも想像力を掻き立てられた。ゲームとしてのステージデザインは置いておいて、他のゲームでは見ない鮮烈なビジュアルの数々は新鮮だった。

  • 大丈夫じゃない点

1.ストーリー:PVで聞ける数々の印象的な台詞回しから、素晴らしいストーリーを期待していたのだがそんなものはなかった。大丈夫だ、問題ない」「一番良い装備を頼む」以外一切しゃべらない(!)主人公イーノックには何の感情移入もできないので、モノローグで「苦悩していた」と言われてもプレイヤーはただただ置いてきぼりにされるだけ。
最悪なのは、最初の目的(7人の堕天使を捕縛する)が達成されることなく、物語が唐突に結末を迎えること。「ワンダと巨像」しかり「ノーモアヒーローズ」しかり、数量的に明示された目標をクリアしていくのは短いスパンで達成感を味わえるというのに、それさえも与えてくれない。このゲームはプレイヤーを失望させるために作られたのだろうか?


2.アクション:一見『デビルメイクライ』や『ベヨネッタ』に似た3Dアクションアドベンチャーに見える本作だが、驚くべきことにステージの3割ほどは2Dのジャンプアクション。ちょっとしたステージ間のボーナスステージならまだしもボリュームがあり、道中に倒す敵もほとんどおらず落下死多発でストレスがたまるだけ。3Dステージのジャンプアクションは着地点の座標軸がさらに読みづらいので、落ちて落ちて落ちまくる。こんなステージデザインが本当に楽しいと思って作ったのだろうか。
敵とのバトルは面白くもなくつまらなくもなく。ノーマルモードの割には固く、短調な雑魚敵との戦いには爽快感を感じられなかった。


今年プレイしたゲームだと、『ラストストーリー』にも随分がっかりさせられたもだが、斬新なバトルシステムだけはキラリと光っていた。『エルシャダイ』の良いと思えたのは、音楽、美術といったゲームの本筋じゃないところだけ。ゲームで表現するべき題材じゃなかったのか、デザイナーあがりの竹安佐和記ディレクターの力量不足か。いろいろ計画されているようだが、今後の活躍には全く期待していない。
エルシャダイオンリー即売会が開催されたりと、発売前の異様な盛り上がりから新規IPの大規模な立ち上がりを期待したのだが、肝心のゲームの出来で全てが真っ白になるとは。ゲーム内で語られたストーリーはもちろんのこと、期待されていた経済効果にとっても、二重で残念な結末。