ユウキズ・ダイアリー

アニメ・映画・ゲームについての雑記

スカイ・クロラ イノセン・テイセス

公式サイト

小説・アニメ映画が原作、映画の公開から日を空け過ぎ、そもそも映画がヒットしてない、フライトシューティングユーザーが少なそうなWiiでの発売。売れなさそうな要素がこれでもかと並んでいる以上、

エースコンバット」チームが開発を担当した「スカイ・クロラ」は約3000本と
映画がコケたことを差し引いても想像以上の厳しさ。

という忍之閻魔帳調べの初日販売本数のやばさも納得できる、、、と言おうと思ったが、クリアした今ではこんな本数納得できん。もの凄く良い出来だった。
スカイ・クロラ イノセン・テイセス』はエースコンバットの名を冠してても不思議じゃないぐらい、真っ当にエースコンバットしてるし、斬新なシステムも邪魔にならないで、むしろ従来作以上の爽快感をプレイヤーに与えることに成功していました。ブラボー。

  • キジューで殲滅

敵の尻について、ロックオン、シュート。
従来のエースコンバットシリーズや多くのフライトシューティングでの攻撃方法といえばこれに尽きるが、『スカイ・クロラ』はここが決定的に違う。この作品に出てくるのはレシプロ機。ミサイルなし。だから基本的に機銃で戦うしかない。ということはちまちました体力の削り合いの爽快感の欠片もないゲームに……なるんじゃないかという購入前の不安は全くの杞憂だった。むしろ爽快。遠くからミサイルシュートしまくるより爽快かも、というぐらいに。それを可能にしているのが2つの新システム。
まず「タクティカル・マヌーヴァ・コマンド(TMC)」。ボタン1発でTMCを発動すれば、自機が人の手では出せないような超機動を描いて敵の尻に付いてくれる。あとは機銃を撃ち込むだけで撃破!と超簡単な仕様。この軌跡を描くときだけは俯瞰の華麗な映像に切り替わるから、これまではリプレイ画面でしか確認できなかった、「俺つえー」「俺かっこいー」感が、プレイと切り離さずに感じることができる。機銃でのプレイを簡易なものにし、爽快感もアップ。斬新かつ合理的な、ミサイルがないからこその救済策。
もう1つのマヌーヴァが、マニュアル・マヌーヴァ。こちらもスティックの方向+ボタン1つで発動ながら、これまでは自力でやってみるしかなかった有名な飛行技術「インメルマン・ターン」やら「バレル・ロール」なんかを瞬時に、簡単に行うことができる。これまで以上に激しくなった接近での機銃の打ち合いにとって、これは非常に助かる。尻につかれてもくるっと反転して避けまくり。エースコンバット本家への導入も前向きに検討してもいいんじゃないだろうか。

  • 彩り豊かなステージバリエーション

エースコンバットシリーズは今やXBOX360でまで発売されているわけだから、プレイヤーも目が肥えてはいるだろう。『スカイ・クロラ』はWii用のため、流石に『エースコンバット6』と比べれば見劣りはするが、PS2時代のエスコンだって充分キレイだったのであんまり不満にも感じない。むしろ火山とか巨大な城とか、エースコンバットにないシチュエーションも多くて新鮮。これは『スカイ・クロラ』を題材にしたおかげか。緑や海とか、目に優しい明るいステージも多目。最終面の景色なんて、思わずため息の漏れるほどの美しさ。赤い夕日、ピンクに染まる足元、流れるヴェイパートレイルの軌跡……。
ステージを彩る音楽も秀逸。元ナムコ、現在はモナカに所属する中村和宏氏の音楽は民族音楽あり、ロックありと非常に多彩。重く勇壮な音楽に寄っている最近のエースコンバットシリーズとは全く別ものだが、個人的には、『スカイ・クロラ』の音楽の方が好み。劇場版を手がけた川井憲次氏の音楽にも負けない存在感を示せている。


ここまで褒めちぎっているけど、もちろん不満点もなくはない。リモコン+ヌンチャクの操作(ヌンチャクが右手!)は慣れればしっくりくるけどそこまで慣れるには時間がかかる、ステージは17面しかない、ラスボスが強すぎる(3時間やっても倒せず、操作方法をエキスパートからノーマルにかえてなんとか)、なぜか次ステージに行く度に出てくるチュートリアルのメニューが邪魔、アニメパートは悪くはないけど映画に比べるとさすがに見劣り、とか。
これだけ不満点をあげつらおうとも、『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』はそんなもの軽く覆すぐらいの魅力には溢れている、のに、映画のファンや重度のエースコンバットファンがやっと手を出して3000本、という現状はあまりに寂しすぎる。フライトシューティングとして、こんなに面白くて画期的なものは久しぶりだといのに、だ。画一的になってきた最近のエースコンバットシリーズとは違う、こういう変化の大きい挑戦にこそ価値があると思うんだけどなあ。この分だとレシプロエスコンとか望めないんだろうか。少なくともエースコンバット好きなら、本体ごと買っても後悔させないぐらいの出来ですよ!


ここまでスカイ・クロラが面白いとなると、いづれ出るであろう本家7にも、スカイ・クロラで受けたぐらいの驚きを期待したくなってしまうな。何だろう。エレクトロスフィア2が出るなら驚く自信ある。