FLIP-FLAP

「高校卒業式に思い切って好きな子に愛の告白をしたら、付き合う条件はなんとピンボールでハイスコアをとることだった……」ってなんとも強引な導入から始まる、"世界初のピンボールブコメ"(自称)が先週発売されていたので紹介。


主人公・深町はそんな不純な動機でピンボールを始めるも、次第にピンボールの魅力に取り付かれていき腕はメキメキと上達。場末のゲーセンを飛び出して舞台はアメリカへ!と、巨大なスケールに話は広がりあまりのジャンプ的展開に不安にさせられたが、最後は話の風呂敷をスッとキレイに畳んで幕。
ゲームに純粋に夢中になれる深町はかっこいいし、山田さんなんて変な女の子とピンボールできるのはうらやましくて仕方がない。側にこんな子がいれば……と世のゲーム好き男子は思わずにいられないだろう。


「本で表現するゲームと恋愛」というと以前当blogで紹介した『連射王』を想起させる。「シューティング」と「ピンボール」。ハイスコアを狙って筐体と自分だけの勝負に興じるゲーム、という点でもテーマに相関性を感じるが、決定的に違うのは分量の大きさ。
『連射王』の唯一の短所はハードカバー2冊分もある長大な文章量だと常々思っているのだが、似たテーマを扱いながらも『FLIP-FLAP』の著者とよ田みのるは、同じだけの(またはそれ以上の)感動をたったコミック1巻分(しかもたったの4話!?)で表現してしまっており、そこに筆者の優れた構成力を感じさせられる。


深町の放つ言葉

「世界は俺と・・ピンボールだけ!!」

ゲームへの集中の果てに待ち受ける、真っ暗で孤独で純粋な空間。パズルゲームやシューティングなど、「自分とゲームだけ」の関係にあるゲームをやっている際に、これを感じたことがある人は少なくはないだろう(そしてそんな空間を味わった人は、目を瞑っても脳裏にゲームプレイが焼きついて離れなくなっているもの)。
FLIP-FLAP』ではこれを見開き2Pの印象的な画で表現。ついつい読んでいるこちらまで、マンガに引きこまれそうになってしまった。いや引きこまれたからこそ、私はここにこうして紹介文を綴っているのだ。


ピンボール筐体なんて幼少の時代にわずかに触った記憶があるぐらい、『ポケモンピンボール』や『メトロイドプライムピンボール』なんて任天堂のキャラものデジピンしかまともに遊んでいない私でも熱くなれたのだから、きっとこのマンガは誰でも熱くしてくれること間違いなし。
ピンボール好きでなかろうとも、昔ながらのゲームセンターの雰囲気が好きな人には強くオススメだ。