ポータル

今年2月にサンフランシスコで開催されたGDC(ゲームデベロッパーズカンファレンス)2008。ここでは毎年各国のゲーム開発者たちによって、それまでの1年間で発売されたゲームの中で最も素晴らしいもの―「ゲームオブザイヤー」が選ばれのだが、個人的には2007年のベストといえば『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』か『パックマン チャンピオンシップエディション』なんだけどどーせ選ばれるのは『バイオショック』か『スーパーマリオギャラクシー』なんでしょつまんない選出だなーと勝手に想像してたら、このご時勢にあって開発者がたった10人という、大変小規模なゲームが栄冠に輝いてビックリした。
そのゲームこそ『ポータル』。昨年紹介映像を見て驚愕し、日本版の発売を首を長くして待っていたゲームだというのにまさかのゲームオブイヤーにまでなってしまい期待が一層募るばかりとなった。
そんな『ポータル』日本語版が、先日XBOX360用ソフト『オレンジボックス』内の1作品として発売された、ので早速クリアしたら期待以上の出来で大満足である。こういうゲームに出会えるのだからゲームを買うのを止められないわな。


まず『ポータル』がどういうゲームなのか知らない人が大半だろう。
一言で言うならばドラえもんの道具「とおりぬけフープ」。
あっちとそっちに輪っかをつけると次元の壁に穴が開く!という藤子・F・不二雄先生的な銃を駆使して、難解なステージをクリアしていくFPSパズルゲームだ(ちなみに桜井政博氏はファミ通の連載記事で「荒木飛呂彦のマンガを思わせるような、不条理感溢れる不思議な世界」と評していた。)こんな説明じゃよくわからん、という人もそうでない人も解説映像を見れば丸分かり、興味を持つこと間違いなしなので是非見てもらいたい。

人を殺さないFPS、というとWiiのローンチタイトルとして発売された『エレビッツ』も該当するし、家具をぶん回して妖精を引きずり出すというシステムもあれはあれで面白い試みだった。が、『ポータル』は次元を超越したビジュアルのインパクトがとんでもないし、システムだけのすごさに頼らず、難易度の上げ方も、ステージの多彩さも、ストーリーとシステムの密接なリンクも半端じゃない。
ネタバレしたくないので敢えて言いたくないのだが、後半の怒涛の展開はPS2で1、2を争うほどの感動を味わった某RPGを思い起こさずにはいられなく、クリアしたときの達成感といったらもう、言葉では言い表せないほど。寝ても覚めても『ポータル』が忘れられず、今朝など信号待ちをしているときに「こっちと向こうに穴を開ければ、一瞬で行き来できるのになあ」と空想の羽を広げて飛んで行きそうになった。
先日読んだ『ワールドサッカーウイニングイレブン プレーメーカー2008』の秀逸なレビューでも、プレイ後に現実のサッカーを観戦すると矢印が見えるようになってしまうというようなことが書いてあったように記憶しているが、まさしくゲームと現実が重なるビジョンを、『ポータル』後にも感じることができるわけだ。


たった3〜4時間で終わってしまうので、買うのを躊躇する人もいるだろうが、ゲームは長ければ良いわけでも、もちろん短すぎていいわけでもない。だが『ポータル』のこの長さは、がんばれば一息にだれずにプレイできるのだから適正な長さだと思われるし、『オレンジボックス』として他の4本とセットになっているのだから、むしろコストパフォーマンスは良いぐらいだ。
FPSに抵抗がなくて、斬新なゲームがやりたくて、XBOX360を持っているゲーマーなら絶対に購入すべき。もしあなたがXBOX360を持っていないのなら、本体ごと買っても決して後悔しないだろう。