『ゲームになった映画たち』

「まるで映画みたいなゲーム」

全世界同時発表された『Gears of War 2』の、とんでもなく美麗ですぐれた演出で素晴らしいゲームプレイを予感させる映像を見た時思わず漏れた言葉は、あまりに使い回されて、陳腐で、それでも説得力のある1つの言葉だった。


「まるで映画みたいなゲーム」
「映画的な」ゲームの映像を見た時に私たちが思わず口にしてしまうこの言葉には、エンターテインメント的な地位が「ゲーム」よりも「映画」の方が高いという意識が暗に含まれると思われる。確かに「ゲームが趣味」って言うよりか「映画が趣味」って言う方がまともっぽく聞こえるしね。不思議!
しかも粗悪なキャラものゲームが乱造された歴史があるためか、はたまたゲームに適した邦画が少ないためか、日本国内において映画とゲームは「混ぜるな危険」という認識が強くある。アニメ映画を除いたらパッと思いつくだけでも、えーーと、『マルサの女』ぐらい? それだけ? 本当に思いつかない。
しかし打って変わって映画大国アメリカでは、『E.T.』などというアタリショックの張本人みたいなゲームが生まれようともゲームの映画化は留まるところを知らず、最近の映画では製作段階からゲームと手を取り合ってCGデータを流用し、全く同じ雰囲気を味わえる高品質なゲームが生まれるまでになってなっている(『キングコング』『トランスフォーマー』『スパイダーマン』『ロード・オブ・ザ・リング』などなど)。


そんな「映画」と「ゲーム」の黒歴史から現在の栄光までぜんぶひっくり返してまとめあげた奇本が『シネマゲーム完全読本 ゲームになった映画たち』。
監督別、俳優別、ジャンル別、とまるでレンタルビデオ店のように理路整然とカテゴリー分けをされている本書だが、全ページカラーなうえに大量の画面写真(しかも国内発売タイトル多数!で見たことのないものばっかり!)で溢れかえっているために、「こんな映画までゲーム化!?」「このグラフィック……何?」とパラパラとめくって眺めるだけでも充分楽しめる。
さらには「小島秀夫」や「須田剛一」といった著名ゲームクリエーターへのロングインタビューに加え、著者が過去にインタビューしてきたという「ポール・バーホーベン」や「ジョージ・A・ロメロ」などというゲーム本的にはレアな方たちの発言もまとめられており、ゲーム好きにとっても、映画好きにとっても読み応え満点。昔の『CONTINUE』誌から飛び出してきたような無茶な企画本だが、こんなやばいゲーム本は他に知らない。


漫画的、ゲーム的になっていく「映画」と、次世代機を手に入れより美麗になっていく「ゲーム」。これらの進化は今後も加速し密接になっていくと思われ、年内でも既に『ナルニア国物語』や『インディ・ジョーンズ』など多数の大作映画のゲーム化が新作ラインナップに並んでいる。
この流れが国内にも!ということはまず文化的な問題からありえないだろうな。そうなるとしてもまだまだかなりの時間を要することだろう。
とりあえずはアニメ映画になってしまうが、Wii版『スカイ・クロラ』に日本のシネマゲームの未来を期待することから始めようか。「エースコンバット」シリーズのスタッフなら、きっと日本の閉塞した映画ゲームに風穴をぶち開けてくれるに違いない。