ユウキズ・ダイアリー

アニメ・映画・ゲームについての雑記

宝島Z バルバロスの野望



http://www.capcom.co.jp/takarajimaz/

最終面を3時間悩みに悩み抜いた末に見えた「ステージクリア!」の文字に狂喜乱舞していたところ、画面には本当の最終面が……。(さらに1時間かかったけれど)見事クリアしたともさ!

充実のゲームプレイに、王道ながら熱いストーリー。総プレイ時間は20時間ちょっとになるが、こんなに脳味噌に汗をかいてプレイしたのは初めての体験かもしれない。今年プレイしたゲームのなかでは『世界樹の迷宮』『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』に並ぶ傑作ゲームだったと胸を張ってオススメできるのだが、一見子供向けの絵柄や古典的なゲームシステムのためなかなか魅力を伝え辛い。どこかで見かけた「『ゼルダ』を謎解きだけにしたようなゲーム」とする評はなかなか的を射ているのだが、遊んでいない人にとっては「敵との戦闘がない『ゼルダ』って面白いの?」「じゃあ『ゼルダ』やれば良いんじゃない?」と思わせかねない。本文では他のゲームを例に挙げることで、買おうか買うまいか迷っている人購入意欲を微力ながら後押ししてみようと思う。

『宝島Z』の基本は「画面の気になるところをクリックし、ギミックを機動させ、主人公をゴール(宝箱)へと導く」というもの。コレは製作者曰くPC用の古典的アドベンチャーゲームに着想を得たものらしいが、近年私が実際にクリアしたゲームの中では『ワンダと巨像』を思い起こすものだった。『ワンダ』は様々な巨像との戦いを主眼においたゲームだが、その実「あそこに見えるゴール(巨像の弱点)にどうやって行こうかしら」とプレイヤーに考えさせる思考ゲームの色合いが強い。『宝島Z』のゲームシステムの面白さというのは、『ワンダ』を超えるバリエーションに富んだステージを如何に征服するかという知的探究心に満ちたものである。

ギミックの機動の際に生じるのがWiiリモコンを使ったナゾトキ。ノコギリに傘にラケットに……リモコンを様々な道具に見立ててナゾを解き明かす行為は新鮮さにあふれ非常に楽しい。まさかマッチに見立ててあんな操作をするなんて! これから遊ぶ人の楽しみを奪いたくないので言えないが、多くの人はこれを聞いたら感嘆の声を挙げることだろう。この新鮮さは初代DSの発売から程なくして生まれた『アナザーコード』というアドベンチャーゲームで味わったものに似通っている。このゲームはボリュームの少なさが非難されることも少なくないが、2画面やタッチペンを初めてナゾトキに応用した新鮮さの面においては何物にも代えがたいものがあった。『宝島Z』はその新鮮さだけにとどまらず、手に入れた道具をどこでどうやって使うかという点で非常に悩ませてくるので、やり応え充分、ボリューム満点。私の場合クリアまで20時間以上を要したし、これ以上かかる人も多いことだろう。コアゲーマーも満足できることだろう。

『宝島Z』のナゾトキの難易度は高い。一回もミスしないでクリアできる人などこの世にいまい、と断言できる。けれどもどんなに難しかろうと理不尽なものなど一つもないのが『宝島Z』の良いところ。外部要因が一切絡まないので、ゲーム画面内のものを使えば、必ず、誰でも、クリアできるようになっている。ゲームの上手い下手は関係なし。頭の柔らかい人ほど早く答えに辿り着くというナゾトキの巧みさは『ゼルダの伝説』シリーズと共通のもの。『宝島Z』のステージは『ゼルダ』におけるダンジョンよりも行動範囲が限定されて構成されているので、より理不尽さを感じることは無いだろう。特にゲーム後半の、敵の行動を把握して一歩一歩進む某空のステージは珠玉の出来。ヒントなしでクリアできた自分を褒めたくなる。


なんとなくゲームの全容がわかってもらえただろうか。多分私の文章なんかを読むより実際にやってもらった方が何万倍も良いのだが、如何せん本日発売の『スーパーマリオギャラクシー』を優先してしまったという人は少なくないだろう。もしちょっとでも興味を惹かれた人は騙されたと思って『マリオ』と一緒にパッケージを手に取るなり、「『マリオ』でゲームが楽しかったから他にもWiiのゲームをやってみようかな」という際の新たな選択肢として選んでみてはどうだろうか。こんなに楽しいゲームはなかなか無い。