アヒルと鴨のコインロッカー

伊坂幸太郎お得意の複数視点からの物語構成は今作でも健在。ボブ・ディランの歌を歌いながら本屋の広辞苑強盗を手伝うことになってしまう哀れな学生「椎名」と、正義感の強さが仇となり動物虐殺犯におびえる「琴美」。2年の時間を隔てた2人の物語が、謎の青年「河崎」を中心に綴られていく。


伊坂の小説にはいつも膨大な伏線が散りばめられながら進んでいくために、そういう意図で書いてないにしろ、ミステリ作品のような「謎」に驚かされる楽しみがある。『アヒルと鴨』では物語の構造自体が大きなトリックの一部になっており、終盤、2つの物語の噛み合った瞬間の驚きと言ったら……文字通り心臓が止まるほどのもの。


今まで文庫化された作品でしか伊坂に触れていないのだが、『オーデュボンの祈り』と並んで非常に気に入った。やはり伊坂は面白い。