海獣の子供(1)(2)

ドキドキしながら開いた1ページ目。混じり合う空と海の青さ。
タイトルと共に突然現れる、多種多様な海洋生物。

新しい伝説に立ち会うことができたような気がして、本編が始まる前から、高揚感で胸がつまりそうだった。


傑作短編集『魔女』から2年半の時を越えて刊行された本作は、鬼才・五十嵐大介の初の長編漫画。森や山を題材にすることの多い五十嵐だが、舞台を海に移しても独特の筆致は今作でも冴え渡り、相変わらずの雄大な自然描写には舌を巻く。

夏が始まったばかりのこの時期に、あえて1・2巻を同時発売してくれたおかげで臨場感は抜群。キャラクター1人1人の心臓の音まで聞こえてきそうな濃密な絵には目を見張るばかりで、計600ページ超の大ボリュームにも関わらず、1コマ1コマ穴が開くほど見つめてしまうほどだ。


話題の海洋アドベンチャーゲームフォーエバーブルー』とほとんど同時に発売されたことには運命的な何かがあるのかもしれない。あのシノノメサカタザメも、作中においてはその荘厳な光り輝く姿を大水槽の中で晒しているのは皮肉な話。

ゲームに疲れた人は是非本作にも触れて、海中の更なる神秘に胸を躍らせてほしい。