キサラギ

感動大作『Always 三丁目の夕日』を手がけ、第29回日本アカデミー賞で最優秀脚本賞を獲得した期待の脚本家古沢良太氏が原作・脚本を担当。いくつもの家族の悲喜劇を織り交ぜた『Always』の反動からか、今作は非常にこぢんまりとした内容に。何せ2時間近い上映時間のほとんどが、主要キャスト5人の1つの部屋での芝居で完結してしまうのだから恐れ入る。

この部屋に集まったのはいずれも一年前に自殺したとされるアイドル「如月ミキ」を偲んで集まったオタクたち。初対面の者同士が会う時の微妙な雰囲気まで見事に再現してしまっているため、登場人物たちと同様不安な気にさせられたのだが、そんなのは序盤のうちだけ。

始めはアイドルグッズ談義に花を咲かせる5人だったが、1人の言葉をきっかけに始まる如月ミキの死の真相を探る議論から犯人探しへと発展。描かれる犯人像は一転二転どころか三転四転、五転六転。最後に待っているのは衝撃的で、おかしくて切なくて、それでいて誰もが納得できる真相。

死を扱っているために下手をすると重くなりそうなテーマなのだが、個性的な5人のキャラクターのおかげで常に劇場には笑いが絶えることはなく、かくいう私自身も笑い涙で顔がぐしゃぐしゃに。感動して顔をぐしゃぐしゃにされた『Always』といい、古沢良太の脚本には人の心を震わせる「何か」があるのだろう。

しかしただの「良い映画」で終わらないように、正統派の『Always』と違ってスタッフロールの途中にはあるとんでもない仕掛けが……。後はお客さんの頭の中で、ということだろうか。反則ギリギリな気がしないでもないが、面白い締め方だ。これから観る人は絶対に最後まで席を立たないように!