小説

現実の芝居から小説の芝居へ bpmと『シアター!』の話

先日、人に誘われて観に行ったのが、劇団bpmの『シーサイド・スーサイド』という劇。 金を払って芝居を見る、というのは2年程前にやはり誘われて観たキャラメルBOXのなんとかという劇以来のことで、別にそれ以来観に行かなかったことに大きな理由はないのだ…

『15×24』が428してて面白い

最近読んでいるのが新城カズマの『15×24』。Wiiの傑作アドベンチャー『428』を彷彿とさせる、複数人主人公が時にはすれ違い時には協力して、長い1日を駆け回るジュブナイルミステリー。スーパーダッシュ文庫から発売されててイラストも箸井地図が描いてるか…

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

今年2008年3月に亡くなったSF界の巨星アーサー・C・クラーク。これをきっかけに(SF好きとしてはいまさらながら、としか言いようがないが)彼がキューブリックと共同執筆を手がけた映画『2001年宇宙の旅』を見たところなんて深遠なテーマを扱った映画なんで…

連射王

だいたい年に360日はコントローラーか携帯型ゲーム機を握ってはいるが、それだけゲームをやっていると流石に年に何度かは「何故ゲームをやるのか」という、答えの出ない疑問の闇に落ちていくことがある。そんな私からすると、純粋にゲームを楽しみ、本気でゲ…

名短篇、ここにあり

日本国内で1年間に出版される本の点数は何千、何万にも及ぶが、1人の人間が死ぬまでに読める本はそのうちの極々わずか。だからこそオリコンの売り上げランキングや『このミス』のようなランキング本が重宝され、「売れている本」「面白い(らしい)本」だけ…

妙なる技の乙女たち

「軌道エレベーター」―――莫大な費用をかけなければ人ひとり宇宙に運べない世の中を一変させ、地球と宇宙との行き来を容易にする長大な筒。現実世界では未だ実現の目処が立っていないものの、SF的には割とポピュラーな存在だ。 先日読んだ野尻抱介の短編集『…

沈黙のフライバイ

SF小説にも様々なジャンルがあるので一概には言えないが、多くは一般小説ではありえない設定や未来技術が作品のテーマになっている、現実とはずれた世界が舞台だ。だからこそどの本屋でも総面積に対して決して広くはないハヤカワSFの棚を見上げる度に、次は…

新釈 走れメロス

大学の先輩の「メロスがさぁ、逃げるんだよ!」というよくわからない薦めによって買ったのが、以前『夜は短し歩けよ乙女』で絶賛した森見登美彦の『新釈 走れメロス』。 メロスが友人を置き去りにして京都市内を走りまくる森見版「走れメロス」は、どうにも…

1950年のバックトス

円紫先生に覆面作家、近作では大正を舞台に展開するベッキーさんシリーズなど、北村薫といえばまずは短編推理モノが思い浮かぶところだが、『1950年のバックトス』は短編集なんてもんじゃない。短いもので3ページからなる、23編に及ぶ筆者初の「超」短編集だ…

夜は短し歩けよ乙女

文章表現の豊かさに感動して思わず涙が出そうになるなんて、初めて村上春樹を読んだとき以来だろうか。それほどの衝撃を久方振りに味わった。 物語はとてつもなく可愛らしい「彼女」と、それを追いかけ続ける「私」の主観が交互に入れ替わりながら進行。夜の…

電脳コイル 1

最終回を間近に控えてもうちょっといいかげん設定増やすのやめてくださいよわけわかんないっすよ?と頭が混乱をきたしてきたので、頭を整理するための副読本になれば、との思いで小説版を購入。 ストーリーはアニメ序盤の流れを踏襲しているんだけど、どこか…

時砂の王

「小川一水が満を持して挑む、初の時間SF」 帯の文句を見ただけだと「筒井康隆『時をかける少女』や新城カズマ『サマー・タイム・トラベラー』のようなタイムトラベル・ジュブナイルに、新世代SF作家の雄・小川一水が遂に挑戦したのか!?」と想像してしまうと…

機動戦士ガンダムユニコーン(1)(2)

初代ガンダムの原作者である富野良悠季が、モビルスーツによる戦争が繰り返される遥か未来の世界―U.C.(宇宙世紀)の歴史を綴らなくなって久しい。このU.C.に魅力を感じた多くのクリエーターたちによって、スピンアウト作品は山のように作られ、消費されてきた…

遠まわりする雛

夏に出版された『インシテミル』では筆者初の本格ミステリー(と言い切るにはややひねくれているが)に挑戦することで「作家としての成長」を見せ付けられたが、今月出たばかりの短編集『遠まわりする雛』は「キャラクターの成長」が物語の焦点。米澤穂信のデ…

インシテミル

米澤穂信は北村薫らに類する「日常ミステリの人」という印象が強くあったのだが、そろそろ改めなくてはいけないようだ。 時給112,000円×7日間の超破格アルバイトにのこのこやってきた年齢も性別もバラバラの12人。彼らに与えられたのは鍵の閉まらない個室と…

傀儡后

帯の「日本SF大賞受賞」の文字とラノベ風の表紙に釣られてよく調べもしないで買ってみたのだが失敗。近未来の大阪が舞台のSFジュブナイルが展開!・・・・・・していきそうなミステリアスな序盤にはわくわくして読み進めていくも、物語は悪い意味で予想を裏切…

ラッキー・ワンダー・ボーイ

少ない色数で表現された超未来的映像、シンプルなゲーム性。表現力が未熟だろうと容量が少なかろうと、レトロなアーケードゲームには何物にも変えがたい魅力があった、らしい。らしいというのは私自身はインベーダーなりパックマンが流行っていたころの時代…

アヒルと鴨のコインロッカー

伊坂幸太郎お得意の複数視点からの物語構成は今作でも健在。ボブ・ディランの歌を歌いながら本屋の広辞苑強盗を手伝うことになってしまう哀れな学生「椎名」と、正義感の強さが仇となり動物虐殺犯におびえる「琴美」。2年の時間を隔てた2人の物語が、謎の…

『十角館の殺人』

長い春休みを満喫しようと孤島での合宿を決行した7人の大学生。「エラリイ」「ポウ」などそれぞれ著名な作家の名前を持つ彼らミステリ研のメンバーたちは、島唯一の建物「十角館」に泊まりながら自由気ままに過ごす気でいたが、メンバーの1人の死を皮切り…

『ベルカ、吠えないのか?』

この小説の筆者、古川日出男が以前描いた傑作ファンタジー小説『アラビアの夜の種族』は「嘘のような伝説を翻訳したもの、を騙ったフィクション」という一風変わった形式をとっていたが、それ以来の書き下ろし長編であるこの小説は、それを意識してのことか…

朝日ソノラマ店仕舞い

http://www.asahisonorama.co.jp/hp/whatsnew/readers.html 私の本棚をいくら眺めてても朝日ソノラマの小説は一冊しか見つけられないのだけれど、それでも長く続いていた小説のレーベルがなくなるというのはひどく悲しい。有名イラストレーターを昔から起用…

『たったひとつの冴えたやりかた』

星野の北方に位置し、星の密度が低いためにまるで黒雲が広がっているかのように見える地帯―通称「リフト」の周辺で起こった3つの歴史的事件を収録した作品集。体内にまで侵入可能な超小型エイリアンから1つ目4本腕のエイリアン、ワープ航法に超高速通信、…