レビュー

パンズ・ラビリンス

夜の闇に潜む幽霊に怯えて1人でトイレにも行けず、サンタクロースの存在を信じてクリスマスイブは胸をときめかせていた子供の頃。大人になってしまった今となってはそんな「夜」が特別なものではなくなってしまったけれど、この映画を観て、可憐なオフェリ…

Another Century's Episode 3 THE FINAL

熱いシーンをより燃え上がらせ、悲しいシーンなら情感たっぷりに盛り上げる。そんな音楽の存在は大昔からゲームとは切っても切り離せない関係にあったのは自明の理だが、ハードの進化はゲーム音楽に人類史上最高の楽器「歌」をも導入するまでに至った。それ…

メタルギアソリッド ポータブルオプス

来年は年明け早々任天堂の看板対戦ゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ』にメーカーの垣根を越えて参戦し、続けてシリーズ完結編『メタルギアソリッド4』も発売予定。日本が世界に誇る大ヒットゲーム「メタルギア」シリーズのPSPにおける3作目が『メタルギ…

遠まわりする雛

夏に出版された『インシテミル』では筆者初の本格ミステリー(と言い切るにはややひねくれているが)に挑戦することで「作家としての成長」を見せ付けられたが、今月出たばかりの短編集『遠まわりする雛』は「キャラクターの成長」が物語の焦点。米澤穂信のデ…

ストレンヂア 無皇刃譚

作画のレベルの高さなら業界で1、2を争うアニメ製作会社BONESによる初の完全オリジナル長編劇場映画『ストレンヂア 無皇刃譚』。1年以上前に雑誌にちらっと紹介されていたカットを見た瞬間に一目惚れし今か今かと公開を待ち望んでいただけに、公開二日目…

モノノ怪

度肝を抜いた『化猫』から久しぶりに戻ってきた薬売りの物語。『化猫』での美麗美術や3DCGの使い方はそのままに、脚本や演出で遊びに遊んだ『化猫』応用編といった趣向の全12話。ただ映像にもはや慣れてしまったために『化猫』ほどの驚きがもう感じら…

ぼくらの

敵を一体倒す毎に搭乗者の命が失われていくという衝撃の設定で話題を呼んだ『ぼくらの』だったが、原作分が尽きてオリジナル展開に突入すると『ぼくらの』というよりか『やくざの』とでも呼んだ方がいいような退屈なストーリーになり、序盤のスピード感もな…

天元突破グレンラガン

『フリクリ』や『トップをねらえ2!』といったガイナックスの若手たちによる暴れ馬みたいな作品群を見ていたので、朝から異常なテンションで動き回るこの稀有なアニメを見せられても割と冷静に反応できていた、つもりだった。ラスト2話は感動してもうボロ…

アイドルマスター XENOGLASSIA

声優交代。なぜかロボットアニメ。舞-Himeまんまの暗い展開。誰がこんな形のアニメ化を望んだのだろうか。地球存亡の危機まで風呂敷を広げてしまったが、「アイドル」なんだしもっと地に足ついた話を見せてほしかった。

瀬戸の花嫁

放映開始前こそまっったく期待していなかったのだが、めくるめくアドリブ全開の超ハイテンションギャグの応酬には毎回腹筋が壊れるほど笑わせてもらった。そして最終回には思わず感動の涙。GONZOなのにAICと組んでるおかげで作画崩れも無し。『エクセルサー…

大江戸ロケット

水島監督だから許される『ハガレン』ネタや原作者が中島かずきだから許される『グレンラガン』ネタなど、反則的な小ネタの数々には毎週笑わせてもらったが、そこに嫌味やしつこさを感じないのは「江戸のみんなに上を向いてもらうためにロケットを飛ばす」と…

DARKER THAN BLACK 黒の契約者

東京の中にどでかい壁で囲まれた空間が、という設定は理解できなくもないんだけど、契約者(超能力を殺人に使う人たちのこと)が死ぬと星が落ちるとか、その星があるから昔の星は見えないといった設定が最後の最後まで釈然としなかったので、胸の中のもやもや…

おおきく振りかぶって

原作よりつまらないアニメ、面白いアニメというのはそれぞれ多いが、原作の魅力を100%引き出すことで原作と全く同じ面白さを提供してくれるアニメというのはそう多くない。そんな稀有なアニメがこれ。元々原作のファンだったので見る前はかなり心配していた…

ゼロの使い魔 双月の騎士

原作読者にとっては端折り過ぎだ何だと散々に叩かれているらしいが、釘宮ルイズが真赤になって恥ずかしい台詞を吐くのをニヤニヤ見るアニメだと思えば文句なし。多少中盤ダレていたりとか展開が早かったりとか気になりはしたが、監督が1期から交代したおか…

ぽてまよ

同じく4コマ漫画を原作としながらパロネタなんて一切なしのまったりアニメ。『らき☆すた』と対を成していると勝手に解釈しているのだがあまり注目されていなかったのが残念。京アニに負けじとこちらも完成度がとにかく高い。『あさっての方向』で見せた小林…

らき☆すた

このアニメはまさに事件というか事故というか。作品にたいしては賛否両論色々論議されているが、『涼宮ハルヒの憂鬱』がぶちあけた風穴に無理やりねじ込んできた現代オタク文化の中心として見るべきところの多い秀逸なアニメだったように思う。あきらかにハ…

インシテミル

米澤穂信は北村薫らに類する「日常ミステリの人」という印象が強くあったのだが、そろそろ改めなくてはいけないようだ。 時給112,000円×7日間の超破格アルバイトにのこのこやってきた年齢も性別もバラバラの12人。彼らに与えられたのは鍵の閉まらない個室と…

∀ガンダム・アートワークス

先日の電撃プレイステーションでは『オーバーマン・キングゲイナー』の最終回を自ら失敗だったと言い出した我らが富野監督だが、放映から7年経って発売されたこの完全設定資料集のインタビューですら乗っけから『∀ガンダム』が(商業的な意味で)失敗だったと…

トランスフォーマー

トランスフォーマーと聞いて、未だ物心つかない時分に振り回していたおもちゃだったり、中高生の頃に面白すぎるアドリブで毎週大笑いさせてもらったビーストウォーズを思い出してしまう私はトランスフォーマー直撃世代。だからハリウッドでスピルバーグとマ…

河童のクゥと夏休み

『大人も泣けるクレヨンしんちゃん」こと『モーレツ大人帝国の野望』『アッパレ戦国大合戦』を生み出した原恵一監督待望の、初の長編オリジナルアニメーション映画。 異性物(河童)と少年の交流という手垢のついたテーマを取り扱っているが、河童の存在を認知…

天然コケッコー

もうほとんどの映画館では上映が終わってしまいましたが、駆け込みで観てきました。最近こんなんばっか。 原作はくらもちふさこの少女漫画。 全校生徒6人の小中合同の田舎学校に、突然東京からの転校生。初めてできた同級生にどぎまぎする純情な中学生・右…

アズールとアスマール

今日まで渋谷シネマ・アンジェリカで上映中の、ジブリがプロデュースしたフランスのアニメ映画。ストーリーは極めて古典的で、どこかありそうな御伽噺。アズールとアスマール、2人の青年が寝物語に聞かされていた囚われの王女の存在を信じ続け、彼女を救い…

ゼルダの伝説 風のタクト

ほんの20年前は少ないドットで表示するしかなかったゲームのグラフィックは、ハード性能の進化によって表現できるキャラクターも、世界も、より精緻に広大になっていった。任天堂の『ゼルダの伝説』シリーズもやはりその恩恵を受け、ニンテンドー64の『…

ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リング・オブ・フェイト

「箱庭ゲーム」と云われるタイプのゲームがある。 定義は様々なのでどれが箱庭でどれが箱庭じゃない、といったことは一概に言い切れないのだが、「CGポリゴンで構成されたフィールドを自由に動き回れるゲーム」を指してこう呼ぶ場合が多いのではないかと思…

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

朝6時半に新宿ルミネ1に着くと、朝早くだというのに既に3〜400人に及ぶ長蛇の列。最終的に列は800人を超え、開場後も増え続ける人たちによって1000人を収容するルミネ1でさえも立ち見が出るほどの大盛況。 そんな熱心なファンの中にはいかにもなオタク的…

トムソーヤ

今日で夏も終わり。夏と言えば冒険。冒険といえば『トムソーヤーの冒険』! というわけで今日紹介するのは、暑い夏にどこへも行けなかった悲しい大人たちに少年の頃の気持ちを思い起こさせるべくして生まれた現代の童話『スクウェアのトムソーヤ』・・・・・・じゃ…

ファミコン文庫 はじまりの森

SFC時代最末期である1999年に生まれ、ニンテンドウパワーというローソンのSFC書き換えサービスでのみ配信されていたため、任天堂のソフトとしては非常にマイナーなタイトルなのだが、今夏WiiのVCによって遂に再び日の目を見ることとなった。私も…

傀儡后

帯の「日本SF大賞受賞」の文字とラノベ風の表紙に釣られてよく調べもしないで買ってみたのだが失敗。近未来の大阪が舞台のSFジュブナイルが展開!・・・・・・していきそうなミステリアスな序盤にはわくわくして読み進めていくも、物語は悪い意味で予想を裏切…

ピアノの森

日本の深夜アニメを語るうえで外せない監督といえばマッドハウスの小島正幸、と言っても知らない人は少なくないだろう。 日本テレビは深夜アニメが始まった当初から大人向けの原作付きアニメに積極的に取り組んでいるのだが、ベルセルク以来断たれることのな…

ラッキー・ワンダー・ボーイ

少ない色数で表現された超未来的映像、シンプルなゲーム性。表現力が未熟だろうと容量が少なかろうと、レトロなアーケードゲームには何物にも変えがたい魅力があった、らしい。らしいというのは私自身はインベーダーなりパックマンが流行っていたころの時代…

星のカービィ 夢の泉の物語

「ま〜るかいて」 「おまめがふたつ、おむすびひとつ」 「あっというまに、ほしのカービィ!」ファミコン版が発売されたのは実に今から14年前、1993年のこと。いくらファミコンに憧れようとも買ってもらえなかった当時の私は、テレビCMで聞いた絵描き歌を…

ジーニアス・パーティー

STUDIO4℃の短編集って言ったら『DEEP IMAGINATION - 創造する遺伝子たち』っていうそれはそれは酷いDVDがあったんだけど(中沢一登の『COMEDY』以外つまらんよ!)、それはまあグラスホッパーっていうDVDマガジンに収録されていた作品をまとめただけの…

フォーエバーブルー

プレイヤーはバオウル共和国近海に位置する「マナウライ」にやってきた新米ダイバー。普段気軽にできないだけに憧れるダイビングだが、このソフトならリモコン1本で美しいマナウライの海中散策を楽しめる。もちろんゲームなのでちょっとしたストーリーや後…

アヒルと鴨のコインロッカー

伊坂幸太郎お得意の複数視点からの物語構成は今作でも健在。ボブ・ディランの歌を歌いながら本屋の広辞苑強盗を手伝うことになってしまう哀れな学生「椎名」と、正義感の強さが仇となり動物虐殺犯におびえる「琴美」。2年の時間を隔てた2人の物語が、謎の…

海獣の子供(1)(2)

ドキドキしながら開いた1ページ目。混じり合う空と海の青さ。 タイトルと共に突然現れる、多種多様な海洋生物。新しい伝説に立ち会うことができたような気がして、本編が始まる前から、高揚感で胸がつまりそうだった。 傑作短編集『魔女』から2年半の時を…

キサラギ

感動大作『Always 三丁目の夕日』を手がけ、第29回日本アカデミー賞で最優秀脚本賞を獲得した期待の脚本家古沢良太氏が原作・脚本を担当。いくつもの家族の悲喜劇を織り交ぜた『Always』の反動からか、今作は非常にこぢんまりとした内容に。何せ2時間近い上…

みずいろブラッド

発売して一ヶ月が過ぎようともダラダラと毎日更新される公式ブログや、発売から2週間ほど経ってから銀魂の途中にCMを流しだすとかいう部分にスタッフの妙なやる気を感じたのと、好きな作家の絶賛に後押しされて買ってしまいましたよ『みずいろブラッド』…

ゼルダの伝説 夢幻の砂時計 その3

2Dのマリオシリーズにおいて、マリオがいくつかのステージをクリアして最後に待ち受けるクッパを倒す、という定型が決まっているように、ゼルダにも定型がある。やはり同じように、いくつかのダンジョンを攻略して最後のボスを倒すというものだが、その定…

『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』その2

今や大人気のニンテンドーDS。タッチスクリーンを搭載したその特異なインターフェイスによって、これまであまり日の目を見てこなかったジャンルでさえ脚光を浴びるようになってきた。1つはもちろん『脳トレ』に代表される教育系ソフト。文字を書き込めると…

『きみにしか聞こえない』

乙一の小説に初めて触れたのは今から5年も昔。私がまだ高校生だったころ。その頃あまり一般書籍を読んでいなかった私にとって(つまりラノベばっか読んでた)、小説の面白さがギュッと詰まった氏の数々の短編はとても魅力的で、本の持つ「力」を思い出させて…

『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』その1

ゲームが他の文化、例えば小説や映画などと比べると劣るような印象を持ってしまうのは、それら成熟しきった文化と比べると、誕生からまだあまり年月を経ていないことが原因の1つだろう。またそのために正しい認識をされず、精神への悪影響などといった負の…

『十角館の殺人』

長い春休みを満喫しようと孤島での合宿を決行した7人の大学生。「エラリイ」「ポウ」などそれぞれ著名な作家の名前を持つ彼らミステリ研のメンバーたちは、島唯一の建物「十角館」に泊まりながら自由気ままに過ごす気でいたが、メンバーの1人の死を皮切り…

『ベルカ、吠えないのか?』

この小説の筆者、古川日出男が以前描いた傑作ファンタジー小説『アラビアの夜の種族』は「嘘のような伝説を翻訳したもの、を騙ったフィクション」という一風変わった形式をとっていたが、それ以来の書き下ろし長編であるこの小説は、それを意識してのことか…

『図鑑に載ってない虫』

公式サイト 先日好評のうちに終了したドラマ『帰ってきた時効警察』などでおなじみの三木聡監督の最新作。手に入れれば一度死んでまた生き返ることができるという謎の虫「死にモドキ」を探す、売れないルポライターとその他変な人たちの一ヶ月を描いた物語。…

『もやしもん』

たとえ見えなくても、生活のあらゆる場面に菌は存在する。知識としては理解していてもついつい忘れがちな事実だが、このマンガの主人公・直保はそれを忘れることはない。なぜなら彼は菌が見えるのだから。 ファンシーな菌たちと共に描かれる農大学術系青春ス…

『舞妓Haaaan!!!』

公式サイト 舞妓さんと野球拳することを夢見て生きるサラリーマンのサクセスストーリー? 脚本が宮藤官九郎で、主人公・鬼塚公彦を演じるのが阿部サダヲということで、毎週楽しみに『タイガー&ドラゴン』を見ていた身としては、あの阿部サダヲのハイテンシ…

『∀ガンダム 月の風』

ストリートファイターや∀ガンダムのキャラクターデザインを務めた、全世界で注目のイラストレーターあきまん氏による初のコミックスがついに登場!といえば聞こえはよいのだが、おそらくこのマンガを少しでも読んだ人はページごとにタッチが異なる、というか…

『燃えろ!熱血リズム魂 押忍!闘え!応援団2』

今月号のNintendoDREAMの付録冊子、DSソフトオールカタログを見てみると、シリーズ一作目の『押忍!闘え!応援団』の累計販売本数は6.8万本。それに対して今作の累計販売本数は11.4万本。未だに2万本ペースで売れているようなので、累計20万本も…

『ドラコニア綺譚集』

表紙にはデカデカと描かれたドラゴン。”ドラコニア”というドラゴンに似た響きのタイトル。これはもう十中八九ドラゴンの伝説集に違いないぞこういうファンタジーで心躍る本が大好きなんですよと手に取ったのだが、肝心の中身はというと、最初の章こそ伝説の…

『ドンキーコング ジャングルビート』

革新的インターフェイス 今の任天堂を支えるニンテンドーDSやWiiといったハードは、その革新的で直感的なインターフェイスによって人気を獲得しているが、任天堂が革新的な操作方法を考案したのはこれがもちろんこれが初めてのことではない。それこそ日…